ミュージック映画3本立て(3本)
2021/05/15
ボヘミアン・ラプソディ
BOHEMIAN RHAPSODY
2018年(日本公開:2018年11月)
ブライアン・シンガー ラミ・マレック ルーシー・ボーイントン グウィリム・リー ベン・ハーディ ジョー・マッゼロ エイダン・ギレン トム・ホランダー アレン・リーチ マイク・マイヤーズ アーロン・マカスカー ダーモット・マーフィ メネカ・ダス エース・バティ プリヤ・ブラックバーン マックス・ベネット ジャック・ロス
「X-MEN」シリーズのブライアン・シンガー監督が、イギリスのロックバンド「クイーン」誕生からライブ・エイド公演まで、ボーカル&ピアノ担当のフレディ・マーキュリーを主人公に描いた伝記映画。このタイプの音楽にまったく詳しくないけど、製作スタッフに「クイーン」のギタリスト、ブライアン・メイとドラマーのロジャー・テイラーが加わり、実話に忠実なストーリーらしい。全編に彼らの音楽(歌唱はフレディ本人の音源を用いたとのこと)が流れる。
バンド結成からフレディが抜け駆け的にソロ活動するまでの前半はよくある出世物語で、そっくりさんによる再現ドラマ風。「クイーン」に興味ない人にはどうでもよく、ファンはそんなのもう知ってるよという感じだろうか。
フレディがAIDSを発病し、バンド仲間と和解してエイド公演を成功させる後半は、良くできている。ロックな息子を嫌悪していた父親が改心する場面は(唐突に挿入されるエピソードだが)感動的でなかなか良い。
クライマックスは1985年7月にウェンブリー・スタジアムで開催されたバンド・エイド公演の再現。様々な撮影技法を駆使して最大の盛り上がりをみせる。そこに集約させるテリングに(実話を離れてでも)もう少し工夫があれば良かったのにと思う。
映画の最初の方で、フレディ(ファルーク・バルサラ)が移民差別されているあたりが「X-MEN」のブライアン・シンガーらしさ、だろうか。全体にストーリーが施されたミュージック・ビデオといった印象。誰が監督しても同じ。
あと個人的に、むさいおじさん同士のキスシーンは勘弁。
60点
#ミュージック映画3本立て
2021/05/17
イエスタデイ
YESTERDAY
2019年(日本公開:2019年10月)
ダニー・ボイル ヒメーシュ・パテル リリー・ジェームズ ケイト・マッキノン ジョエル・フライ エド・シーラン ジェームズ・コーデン ロバート・カーライル
このタイプの音楽にまったく疎いけど、ザ・ビートルズは知ってるぜ! メンバーの名前だって全員言える、ジョンとポールとジョージとリンゴだ。終わりの方で主人公が会いにゆく老人が、1980年12月に暴漢に射殺されたジョン・レノンだってことも説明不要。映画で使われていた曲も半分以上知っていた。やっぱビートルズは凄いな!
そんな、おれだって知ってるザ・ビートルズを、誰も知らないパラレルワールド設定で描いたファンタジー・コメディ。監督は「スラムドッグ$ミリオネア」でぞっこんファンになったダニー・ボイル。
アイデア一発勝負の映画だけど、これが実に巧く作ってあり、最後まで退屈しない。脚本は「ラブ・アクチュアリー」のリチャード・カーティス。この脚本家はキャラを立たせるのが本当にうまい。主人公にインド系移民のダサい男(ヒメーシュ・パテル=歌も本人の歌唱)を置いたところなんか見事と言うしかない。
スターになってもドラッグやセックスに溺れることなく、最後まで盗作の後ろめたさを抱いているのがいいし、「エリナー・リグビー」の歌詞を思い出せず試行錯誤する場面もいい。主人公の他にもビートルズを記憶していた人物がいた設定をぶち込んでおきながら、それを深追いしない。このさじ加減が絶妙。音楽ギョーカイの皮肉もたっぷり。
脇の描き方がまたうまい。中学校の教師でマネージャー役のリリー・ジェームズは可愛いし、ツアーに同行する腐れ縁の友人ジョエル・フライも面白すぎる。最高なのは女性プロモーター(ケイト・マッキノン)のゲスっぷり。主人公の両親(サンジーヴ・バスカー&ミーラ・サイアル)もばっちり笑わせてくれる。
学校教師に復職した主人公が、心の底から楽しそうに子供たちと歌う「オブラディ・オブラダ」はマジで感動した。音楽のちからって凄いな!
やっぱビートルズは凄いな!
70点
#ミュージック映画3本立て
2021/05/16
ロケットマン
ROCKETMAN
2019年(日本公開:2019年08月)
デクスター・フレッチャー タロン・エガートン ジェイミー・ベル ブライス・ダラス・ハワード リチャード・マッデン ジェマ・ジョーンズ スティーヴン・マッキントッシュ スティーヴン・グレアム テイト・ドノヴァン チャーリー・ロウ トム・ベネット
エルトン・ジョン自ら製作総指揮を務めた伝記ドラマ。不幸な家庭環境で育ち、音楽の才能を認められ、やがて作詞家のバーニー・トーピンとコンビを組んでヒット曲を連発、ロックスターへの道を駆け上る。監督は「ボヘミアン・ラプソディ」で製作総指揮を務めたデクスター・フレッチャー。
鳥みたいな奇抜な衣装のエルトンが、グループセラピーに参加し、アルコール依存症で薬物依存症で買い物依存症を告白しつつ、半生を回想する。本当の自分を知られるのが嫌で派手な外見を装って(自分を)誤魔化す心理(変身願望)が、うまくヴィジュアル化されているように思った。
ファーザー・コンプレックス、クスリ依存、同性愛は「ボヘミアン」と同様だが、「ボヘミアン」より汚らしい感じが薄れているのは、本人が製作に関わっているからでしょう。自画自賛(自己弁護?)っぽくもある。
エルトン・ジョンとポール・ウィリアムスの違いも分からんくらい、このタイプの音楽にまったく疎いんだけど、「ボヘミアン・ラプソディ」よりちょっとだけ好感が持てたのは、エルトンのヒット曲をミュージカル仕立てでストーリーに組み込んでいたから。
エルトンの音楽はメロディがなかなか心地よい。主演のタロン・エガートンが吹き替えなしで歌っているのも良い。ポール・ウィリアムスもメロディ・メイカーだし、この短躯でメガネな二人はよく混同してしまう。「トミー」でピンボールの魔術師を歌っていたのがエルトン・ジョン、「ファントム・オブ・パラダイス」がポール・ウィリアムス。ポール・ウィリアムスは「ダウンタウン物語」もチャーミングな映画だけど、エルトン・ジョンで最も有名なのは(日本では)「ライオン・キング」だね?
65点
#ミュージック映画3本立て