アルフレッド・ニューマン
September 14, 2004
あるときはジェリー・ゴールドスミス、あるときはバーナード・ハーマン、そしてときどきはマックス・スタイナー(またはエーリッヒ・ウォルフガング・コルンゴルト)……そのときどきの気分によってコロコロ変わる「(俺にとっての)ハリウッド最高の映画音楽家」ですが……いまはアルフレッド・ニューマンにハマってます。
いや、ホントに素晴らしい。
『偉大な生涯の物語』(俺が持っているのはRyko盤)……これ買ったときに一通り聴いてそのままにしてたんだけど、久しぶりに聴いてみたら、スゴイのなんのって。
ガチャガチャうるさいばかりのMV系が主流になっているご時勢ですから、いまの若いもんには、キリストの生涯を描いた辛気くさい映画のサントラ(しかも3枚組)なんて相手にしてもらえないだろうけど。
なが〜い目でみるとこういう音楽のほうが後世に残るんじゃないのかな。作曲家の気迫っていうか意地っていうか、ビンビンに伝わってきます。
現代作曲家を代表して、イエスの生涯を(未来永劫に)音楽で残そうとしている。この仕事を担当することの栄誉、誇りを背負って作曲したに違いない(と思わせる)充実した内容です。生涯に作曲した255本の映画の中の1本、今度はイエスの伝記ですか、ホイホイ……なんて軽いノリで書いたスコアでは、ない。
量産されるハリウッド大作の1本としてではなく、J・S・バッハの「マタイ受難曲」や「ヨハネ受難曲」を目指して(それらに匹敵するカンタータにするべく)この仕事に取り組んだに違いない……そんな気迫に圧倒される1作であります。
でも正直CD3枚は長いです。
続けて『西部開拓史』も聴いたけど、こちらも2枚組(Rhino盤)。
メイン・テーマの「I'm Bound for the Promised Land」は、『大空港』の「メインタイトル」と並ぶ名旋律で、開拓一家に歌い継がれていく「A Home in the Meadow 牧場の我が家」と共に、この2曲で映画全体を牽引。随所に民謡風の唄を散りばめているので退屈はしないけど(「When Johnny Comes Marching Home ジョニーが凱旋する時」も入ってますぜ)……やはり長い。
映画未使用のPlayback VersionとかAlternate Versionとか、オマケが10曲も付いていて、全部で2時間15分。
先の『偉大な生涯の物語』も約2時間15分。
併せて4時間30分。
そんな長時間、音楽に集中できる人なんて、そういないでしょう。
アルフレッド・ニューマン入門編としては、チャールズ・ゲルハルト指揮ナショナル・フィルの『Captain From Castille / Classic Film Scores of Alfred Newman』という極上のカバー演奏盤がRCAから出ていましたが、残念ながら現在廃盤。
現在入手が容易なコンピ盤としては、当サイトではお馴染みのSilva Screenから『Man of Galilee: The Essential Alfred Newman Film Music Collection』が出ています。
2本のキリスト関連映画『偉大な生涯の物語』と『聖衣』を元に、新たに編纂されたシンフォニック・カンタータ「Man of Galilee」(6曲:約31分)、『西部開拓史』組曲(5曲:約26分……但し「A Home in the Meadow」が網羅されていない)、他に『アンネの日記』組曲(4曲:約13分)とか……珍しいところでは『王国の鍵』序曲、『剃刀の刃』組曲など。
ま、興味のある方は聴いてみてください。