惑星ソラリスの軌道上に浮かぶ宇宙ステーションで異常事態が発生。調査のため心理学者のクリスが派遣される。到着したステーションに生存していた乗組員は正気を失ったような状態。船内を調べていくうちに、クリスは自殺したはずの妻の姿を目撃する。
スタニスワフ・レムのSF小説「ソラリスの陽のもとに」2度目の映画化。
宇宙時代の哲学風西洋怪談噺。
死んでしまった人が夢に出てきて、その人は生前大好きだった人で、いつまでもこの夢を見続けていたいから、このままずっと眠ったままでいよう、みたいな話。
前回はソビエト連邦で製作された本格SF映画として、今回はジェームズ・キャメロンとスティーヴン・ソダーバーグの異色の組み合わせで話題になった。
ほんとはSF好きのキャメロン自身が監督もしたかったんだろうが、これまでのアクション路線からハズレてしまうし、かといって派手な活劇入れたら原作を冒涜するみたいで嫌だし、題材が題材なので今までみたいなビッグなヒットは望めないだろうし、「似合わんことやるから失敗したんだ」みたいに言われてキャリアに疵つけそうだし、そんなことになったら次の製作費を集るのに苦労するだろうし。そんなこんなでソダーバーグがやりたいって言ってるんなら彼にやらせちまえ、みたいな(憶測)。
そこんとこ台所事情どうだろって思ったので、DVDの音声解説も聞いたのだけど、お互い内輪褒めに終始していて詰まらなかった。どちらかというとキャメロンのほうがソダーバーグに遠慮してるように聞こえた。
タルコフスキー版は2時間45分で(そして前半の展開が緩やかだったゆえ)とても長く感じられた。今回は1時間40分なのでサクサクいくのかと思っていたが、雰囲気はしっとり、同じくらい長く感じられた。
平凡な感情を意味ありげに撮るのが好きなソダーバーグ。深刻な顔してやってるが、おれは騙されないよ。
1970年代のソビエトで作られた映画と、21世紀の特殊技術で撮られた映画を比較したくはないけど、タルコフスキー版のほうが衝撃は大きく感銘は深かった。新作はセリフで説明してるところが多くて、うざいというか、雑に感じられた。
なにをやりたくてリメイクしようなんて思ったんだろ?
点