破局|映画スクラップブック


2021/01/28

破局

破局|soe006 映画スクラップブック
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THE BREAKING POINT
1950年(日本公開:1951年09月)
マイケル・カーティス ジョン・ガーフィールド パトリシア・ニール フィリス・サクスター ワレス・フォード シェリー・ジャクソン

ヘミングウェイの同じ原作を元にしているため、ホークス&ボガートの「脱出」(1944)のリメイクと思われているようだが、まるきり別物。出来も雲泥の差がある。もちろん「カサブランカ」の焼き直しみたいな「脱出」より、この「破局」のほうが数段上出来。
漁船の船長ジョン・ガーフィールドとその妻フィリス・サクスター、そして二人の幼い娘たち。この夫婦愛、家族愛が主人公の動機として働き、金と女が動機となる幾多のフィルム・ノワールとは一線を画す。

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パトリシア・ニールはファム・ファタールな役回りにしては魅力が薄く存在感が弱い。しかし夫を引き留めるため、奥さんが彼女のブロンドを真似てヘアスタイルを変える場面につながり、まったく不要というわけでもない。サクスターが健気でいじらしい。
主人公と暗黒街をコンタクトするウォーレス・フォードも、悪い奴だが憎めないタイプで面白い。主人公と黒人の相棒フエノ・ヘルナンデスの関係に、主従の格差が感じられないのも良い。

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この時代に製作された米国映画では、それが市井の人であったとしても、登場人物たちの銃の扱いに躊躇いがない。第二次大戦の匂いが残っているからだろう。メキシコから密入国しようとした中国人のボスも、競馬場の売上を強奪したギャングたちも(このタイプの映画の定番キャラではあるが)生々しい存在感があった。

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なにがあったのかも分からず独り波止場に残された黒人少年のラストシーンに、胸が締め付けられる。傑作。

70

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映画採点基準

80点 オールタイムベストテン候補(2本)
75点 年間ベストワン候補(18本)
70点 年間ベストテン候補(83本)
65点 上出来・個人的嗜好(78本)
60点 水準作(77本)
55点以下 このサイトでは扱いません

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