ガイ・リッチーのシャーロック・ホームズ第2弾。
今回は推理要素をバッサリと省き、アクションに徹底したストーリー。
前作でワケ有りな女性として登場したアイリーン・アドラー(レイチェル・マクアダムス)が、アバンタイトルであっさりと殺されてしまい、続編としてのつながりは希薄。
ホームズは19世紀末の倫敦から飛び出し欧州大陸を股にかけての大活躍。イギリス映画が生んだ、もうひとりの有名キャラクターにホームズの名を騙らせたような、そんな内容。
撮影スピードを変化しつつカットを細かく刻んで編集したアクション場面が売り物。
結末こそ「最後の事件」のラインバッハの滝で宿敵モリアーティ教授と転落するものの、そこに至る話の流れはホームズというよりジェームズ・ボンド。
行動を共にするジプシー女性(ノオミ・ラパス)の役柄もボンドガールと同じ扱い。
世界各地で爆弾事件を企て国際緊張から世界大戦を誘発、軍事産業で大儲けを狙う犯罪者とか、まるでスペクターのように安っぽい。
なんといってもモリアーティ(ジャレッド・ハリス)が軽い。ここはクリストファー・リー級の大物でないと迫力不足。
国境超えの場面でBGMにエンニオ・モリコーネの「真昼の死闘」を引用したり、製作姿勢も安っぽく品がない。
本作から10年を経ても3作目が出ないところから、シリーズはこれっきりで打ち切りになった模様。ガイ・リッチーとしては本作をステップにして007監督に名乗りをあげたかったのだろうが、イオン・プロはサム・メンデスを続けて起用(「スペクター」2015年)。リッチーはしっぺ返しみたいな感じでナポレオン・ソロ(「コードネーム U.N.C.L.E.」2015年)を監督。こちらもシリーズ化を目論んでいたのだろうが、それっきり放置状態。「キング・アーサー」(2017年)やら実写版「アラジン」(2019年)やら、ガイ・リッチーは他のことで忙しい。ホームズには興味を失くしてしまったのだろう。
おれも最近のガイ・リッチーに、ほとんど興味がない。
点