当時流行していたスクリューボール・コメディの1本。
コロムビアでもRKOでもなく、星の数より多いスターを擁していたMGMの製作。監督はジョージ・キューカー。
キャサリン・ヘプバーン、ケイリー・グラント、ジェームズ・スチュワートの豪華三大スター顔合わせながら、精彩に欠け、借りてきた猫状態。特にケイリー・グラントはなに演ってるのか分からん表情。この映画を見てグラントのファンになる人はいない。
作家志望の雑誌記者ジミーも前半は帽子で目線を隠しずっと俯いてばかり。
ヘプバーンは「赤ちゃん教育」の延長にあるような富豪令嬢役だが、あそこまでエキセントリックに弾けていない。3人共に、キャプラやホークスの作品に出演してたときのほうが、十倍活き活きしている。
やたらとセリフが多いのがスクリューボールの特徴だが、即物的なギャグに落とさず、ときおり訓話めいた方向に流すのがMGMらしい。
酔いつぶれたヘプバーンを抱っこしながらジミーは「虹の彼方に」を歌う。
ミュージカルでリメイクした「上流社会」のほうが(サッチモ、シナトラ、クロスビーの歌が聞けるぶん)楽しい。
恋愛ものはラストを結婚式の場面で締めると、それまで退屈だった映画もなんとなく気分良く見終えてしまう。これはシェークスピア時代からの定石。超古典的手法だがいまでも有効。
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