群衆|映画スクラップブック


2021/04/29

群衆

群衆|soe006 映画スクラップブック
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MEET JOHN DOE
1941年(日本公開:1951年06月)
フランク・キャプラ ゲイリー・クーパー バーバラ・スタンウィック ウォルター・ブレナン エドワード・アーノルド スプリング・バイイントン ジェームズ・グリーソン ジーン・ロックハート ロッド・ラ・ロック アーヴィング・ベーコンレジス・トゥーミイ

純情素朴な田舎者が権力に利用され、不正に気づき、抵抗したため窮地にたたされる。
「オペラハット」「スミス都へ行く」と同工異曲の社会風刺コメディ。

全米から集まった群衆の前で暴かれる偶像崇拝の虚偽。
混乱する雨の会場、マイク・コードを切断され声を失う主人公。絶望。
自殺予告したクリスマスの深夜、雪が舞う市庁舎の高塔に現れる主人公。

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フランク・キャプラのフィルモグラフィでは最も「怖い」作品。

このあとキャプラは第二次世界大戦に従軍して記録映画を撮り、スタジオに戻ってからは社会風刺抜きのドタバタ、ファンタジー、人情喜劇しか撮っていない。
この路線を続けていたら、もはや喜劇にならないと気づいたのだろうか。

英雄にでっちあげられる浮浪者(元野球選手)を「オペラハット」のゲイリー・クーパーが演じる。
これまでジーン・アーサーが演じてきた相手役の新聞記者には、今回はバーバラ・スタンウィックをキャスティング。彼女が捏造する演説原稿が、亡父が遺した日記を下敷きにしていたことで(クーパーと父親のイメージが重なり)恋愛感情に変化がついた。
新聞社を解雇されゴミ箱を蹴飛ばすアクションの素晴らしさ。
個人的な好みは断然スタンウィック!

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さらに、ふたりの間に現実派のウォルター・ブレナン(クーパーの浮浪者仲間)を置き、浮世離れした善意と同情のドラマにシニカルな視点を加えたのが巧い。

ストーリーを転がす手際の良さは、あらためて書くまでもない。
キャプラ&ロバート・リスキン・コンビ最高の仕事じゃなかろうか。

クーパーを利用して大統領選挙の立候補を企む悪の総元締めに、キャプラ映画の常連エドワード・アーノルド。体格と役柄が似ているチャールズ・ダーニング、ブライアン・デネヒーより頭一つ抜けた存在感がある。知性ある風格を感じさせるところが良い。

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メディアの捏造と暴走はシドニー・ルメットがテレビ業界に舞台をかえて70年代に撮った「ネットワーク」でも扱っていた。インターネットでも(たぶん)同じようなネタの映画がゴロゴロ作られていることだろう。

キャプラはクリスマス映画の王様だな!

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