サミュエル・ゴールドウィン謹製、文芸ロマンス。
読みにくいうえに長ったらしいエミリ・ブロンテの原作小説を1時間45分とコンパクト化。脚本はベン・ヘクト&チャールズ・マッカーサー。
音楽はアルフレッド・ニューマン。
ハリウッド映画初出演のローレンス・オリビエはセリフ廻しがいかにも演劇的。
マール・オベロンは美人ではあるものの表情作りすぎ。
語り部のフローラ・ロブソンが全体を俯瞰するつなぎの役割とはいえ魅力に乏しくどうにも不要。
支離滅裂な女の感情をダイレクトにストーリー化して独善的ではあるが、メロドラマを書きたい脚本家はこの恋愛のベクトル相関図を徹底的に記憶しておいたほうがいい。きっと役に立つ。キャシー突然の肺炎で瀕死の病床なんて如何にもな愁嘆場は真似せんほうが良いけど。
アカデミー撮影賞のグレッグ・トーランドのパンフォーカス・カメラは、窓や鏡の枠にやたら凝った気取りが嫌味に感じられた。
このあと(1941年の)「市民ケーン」では枠の中にカメラが侵入する。
一時代を築いた名カメラマンではある。
点