すべてのロマコメは「ローマの休日」に通じる。
ロマコメ、ラブコメといえば、多くの映画ファンが真っ先にタイトルを挙げるであろう、ロマンチック・コメディの代表作。
欧州某国の王女が身分を隠してアメリカ人の新聞記者と一日だけのデートを楽しむ。
細かいギャグがテンポ良く配置され、終盤は王女の成長がぐっとストーリーを引き締める。グレゴリー・ペックが記者会見場を去るときの、哀愁漂うラストの余韻がいい。
オードリー・ヘプバーンの代表作でもあるが、ウィリアム・ワイラーとしては異色。
なにしろ、長いキャリアのなかでコメディは戦前の「お人好しの仙女」、戦後は本作と「おしゃれ泥棒」くらい。人間の心理描写をじっくり丹念に撮るのが得意で、本来は明朗な作風の監督じゃないのだけど。
文芸ロマンス「嵐ヶ丘」、歴史スペクタクル「ベン・ハー」、西部劇「大いなる西部」と、いろんなジャンルの代表作を撮っている。「デッドエンド」、「探偵物語」、「必死の逃亡者」、「コレクター」などの犯罪もの、サスペンス映画も上手い。
なんでもござれの職人監督で腕前は一級。
巨匠とはまさにこの監督。
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