ロサンゼルスとロンドン郊外に暮らす失恋女子2人が、傷心を癒やすため、クリスマス休暇の間だけお互いの家を交換し、それぞれに異国で新しい恋人に巡り会うお話。
脚本・監督は米国のロマコメ・プリンセス、ナンシー・マイヤーズ。
(英国のロマコメ・プリンスはリチャード・カーティスね)
雑誌のコラムニスト(ケイト・ウィンスレット)とハリウッド映画の予告編制作者(キャメロン・ディアス)、ふたりのモノローグがそれぞれの職業に合わせた口調で語られる。泣いてばかりの女と涙を忘れた女の対比。いろいろ工夫されているけど、エピソードのひとつひとつが定番で浅い。ハリウッド業界人が書いたいかにもな軽薄ストーリー。未練がましく付きまとう元彼氏とかいらないだろ。
ケイトとキャメロン、各々の失恋模様を描いた最初の15分が時間の無駄。ライバル意識むき出しの過剰顔芸がウザったい。主演の男女4人が見ていてどうにも厭味ったらしい演技で好きになれない。二人の元カレは論外。ジュード・ロウはご贔屓の二枚目だけど、こんな安っぽい映画に出ちゃいけないよ。ジャック・ブラックはもっとハッチャケてなきゃブラック・ジャックじゃない。老脚本家役のイーライ・ウォラックが登場してなきゃ、途中で見るのやめたかも。ジュード・ロウの娘ソフィーとオリビアが可愛いので、ちょっとだけポイントアップ。
映画のウンチク。パジャマの上下で男と女がデパートで出会う映画は、ゲイリー・クーパーとクローデット・コルベールが出演したルビッチの「青髭八人目の妻」(脚本はビリー・ワイルダーとチャールズ・ブラケットの名コンビ)。ケイトが部屋で見ていたビデオは(ケイリー・グラントとロザリンド・ラッセルだから)たぶんホークスの「ヒズ・ガール・フライデー」。ルイス・B・メイヤーはMGMの社長。ビデオ屋の場面で「卒業」のダスティン・ホフマンがカメオ出演。
ハリウッドが舞台だし、古い映画のネタを埋め込みたい気持ちは分かるが、引用するのならそれらの映画に負けない脚本で作って欲しい。それに「カサブランカ」セリフの件、(ワーナーの許可は取ってあるとは思うけど)脚本家に無礼じゃないかね?
点