養護施設で育った世間知らずな女の子(マーガレット・サラヴァン)が、映画館で働くことになる。仕事中に知り合ったホテルの給仕係(レジナルド・オーウェン)からパーティの招待状を貰う。初めて目にする豪華なパーティに戸惑う彼女に、大企業を経営するおじさま(フランク・モーガン)が言い寄ってくる。身を守るために「夫がいるの」とついた嘘が、下町の貧乏弁護士(ハーバート・マーシャル)を巻き込んで、ぐちゃぐちゃドタバタに発展する。
堅物なイメージのウィリアム・ワイラー(「女相続人」「ベン・ハー」「大いなる西部」)とスクリューボール・コメディのプレストン・スタージェスの脚本で、どんな仕上がりになってるのか不安もあったが、これが意外と面白い。スタージェス本人の監督作と見間違えそうなくらいにマッチしている。
ワイラーは腕の良い職人監督、なにを撮ってもやっぱり上手い。
登場する3人の男たちは、みんな善良でお人好し。ヒゲを剃ってグッと若返るハーバート・マーシャルの変身ぶり。レジナルド・オーウェンとフランク・モーガンが最高にくだらなくて面白い。この二人の漫才だけでも見た甲斐があった。合わせ鏡に映ったキツネの襟巻きを喜ぶマーガレット・サラヴァンが可愛らしく微笑ましい。
ラストはお決まりの結婚式。花嫁を祝う孤児たちの笑顔が輝いている。
他愛のないバカバカしいストーリーだが、スタージェスの脚本だから通常映画の3倍量のアイデアが突っ込んである。
「FAIRY」を「仙女」と訳した邦題に、時代(昭和10年)を感じる。
点