コロンビア航空のジャンボ旅客機に自家用小型機が衝突。操縦室に穴が空き、機関士は即死、副操縦士は機外に放り出され、機長は瀕死の重傷を負う。
操縦士不在となったボーイング747の操縦桿握るのは客室乗務員のカレン・ブラック。
本人役で出演しているグロリア・スワンソン以下、乗客の顔ぶれは賑やかだが、賑やかなだけでストーリーに絡む重要人物はいない。ジャンボ・ジェットの機内は、ほぼカレン・ブラックの一人舞台となる。苦手なルックスの女優さんなのにアップが多い。
チャールトン・ヘストンとジョージ・ケネディがサポートしているので、旅客機は無事空港に着陸する。脱出シュートを滑り降りるスワンソンはボデイダブル。当時76歳のスワンソンにアクションは無理。怖がってる演技でスタントウーマンが顔を隠して滑り降りている。腎臓の手術を受けにゆく少女リンダ・ブレアは、座席に横たわっているだけ。気分が悪くなって緑色のヘドを吐き散らしたりはしない。
本物のジャンボ機が延々と低空飛行するシーン、軍用ジェットヘリからの決死の乗り移りスタントが最大の見もの。
監督は「刑事コロンボ」や「警部マクロード」などユニバーサル製作のTVMを撮っていたジャック・スマイト。
機中で上映されているのは「アメリカン・グラフィティ」。ジョージ・ルーカスがはじめて日本で紹介された映画。シド・シーザーは出ていない。
「アメリカン・グラフィティ」は1973年作品だが、日本では本作と同じ年の正月に公開。この年の正月興行は例年になく賑やかだった。センサラウンド方式の音響装置で客を呼んだ「大地震」、ジェームズ・ボンドの新作「007/黄金銃を持つ男」、高倉健とロバート・ミッチャムが共演したシドニー・ポラック監督の「ザ・ヤクザ」、アラン・ドロン主演「個人生活」、レイ・ハリーハウゼンの特撮冒険活劇「シンドバッド黄金の航海」など話題作が目白押し。邦画は、松竹が定番「男はつらいよ 寅次郎子守唄」、東映が「新仁義なき戦い」、東宝は山口百恵第一回主演「伊豆の踊り子」と小松左京原作の「エスパイ」。最大の話題作は「エマニエル夫人」でした。
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