拳銃好きが嵩じて少年院で子供時代をおくったジョン・ドールは、カーニバルの曲芸射撃ショーに出演していた二挺拳銃のペギー・カミンズと意気投合し、ショーの一座から抜けて結婚。贅沢な暮らしを求める女に唆されて強盗を重ね、西部の町々を渡り歩くうち次第に二人は追い詰められていく。
主人公の少年時代を「ウエスト・サイド物語」のラス・タンブリンが演じている。
土砂降りの雨に濡れながら銃砲店のガラスを破り拳銃を盗むファースト・シークエンスからキビキビした演出は見事。遊びでひよこを撃ち殺してしまった後悔が、女との恋愛関係に重要な葛藤をもたらす。設定が巧い。脚本にクレジットされているミラード・カウフマンは、ダルトン・トランボの変名だったらしい。
メリハリの効いたアクションシーンがいい。車の後部座席にカメラを置いてワンショットで銀行襲撃を撮るのは、この映画が先駆だったそうだ。
最初の方はヴィクター・ヤングの甘ったるい音楽が内容と合っていない感じがしたが、だんだん気にならなくなった。ダンスホールの歌とかヴィクター・ヤングらしい。
特筆すべきはペギー・カミンズの性悪女っぷり。堪らんです。
山田宏一氏の著書に「映画的なあまりに映画的な美女と犯罪」があるが、まさしく本のタイトルにふさわしい一編。すこぶる面白い。
点