シカゴの大学を卒業したハリー(ビリー・クリスタル)は、同じくニューヨークで新生活を始めるサリー(メグ・ライアン)の車に便乗させてもらう。男女の友情はセックスが邪魔して成立しないと主張するハリーと意見を衝突させるサリー。
その後、偶然に幾度か会ううち友情が恋愛感情へと発展し、初対面から12年と3ヶ月後に二人は結婚。
シークェンスの合間に熟年夫婦のインタビューがインサートされ、ラストは主人公夫婦のインタビューで終わる。最初の出会いから5年後、そのまた5年後へと、時間が省略されてサクサク進むので、遠回りの紆余曲折を描いてる割にテンポがよくダレない。
二人が電話で感想を喋りながらテレビの「カサブランカ」を見たり、二人同時に友人夫婦(ブルーノ・カービーとキャリー・フィッシャー)に電話する場面が、画面分割マルチ編集されていて面白い。
メグ・ライアンのキュートな表情が楽しい。嫌味な皮肉屋として登場するビリー・クリスタルは、歳月を経て純情な心情を表面化させていく。
「1日の終わりに話したいのは君」
セックス・ネタのお喋りが多いのが悪趣味でいただけないが、当時の風俗世相を反映している。
ニューヨークの紅葉や雪景色が美しい。撮影監督はコーエン兄弟の初期作品を担当していたバリー・ソネンフェル。このあと「ゲット・ショーティ」や「メン・イン・ブラック」で監督に転身。
ルイ・アームストロング、エラ・フィッツジェラルド、フランク・シナトラなど往年のポピュラーソングがBGMに流れ、カラオケで「飾りのついた四輪馬車」を歌う。
最初の出会い(大学卒業)のとき 1977年とテロップがでるから、ドラマの時代風俗からするとかなり古い歌ばかり。(ウディ・アレン同様)監督の趣味で選曲してるのだろう。「ウィンター・ワンダーランド」はレイ・チャールズ、「ドント・ビー・ザット・ウェイ」はベニー・グッドマン楽団、「ハブ・ユアセルフ・ア・メリー・リトル・クリスマス」はビング・クロスビー。知ってる曲が多く、長年「エラ&ルイ」(Verve)を愛聴盤しているおれは音楽が流れてるだけでご機嫌。
クライマックスに「蛍の光 Auld Lang Syne」使うのは反則。年末年始に観たら音楽聞いただけでポイントアップしちゃうからね。
ロマコメ不毛の1980年代最後の年末に公開されクリーンヒット。メグ・ライアン&ノーラ・エフロン快進撃の幕開けとなったロマンチック・コメディの秀作。
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