禁酒法時代、密造ビール業で荒稼ぎしているギャングたちを描いた映画だが、縄張り争いや警察との抗争はなく、色惚けしたボスの横恋慕が原因で仲間同士がドンパチやってる。
クライマックスで自動車を暴走させるくらいで、見せ場となるアクション・シーンがない。
ダシール・ハメットが原案を提供したとは思えない、ずいぶんヤワな物語展開。
ゲイリー・クーパー主演のパラマウント映画だから恋愛ムードが強く、ワーナーのギャングものみたいに思いっきり男性向けに振れていないのが不満。
技巧的なライトとカメラの演出が突出している。
服役中のシルヴィア・シドニーに面会に来たゲイリー・クーパーの金網越しのキスシーンなどなど、印象に残る凝ったシーンが多い。ヒッチコック映画同様、撮影テクニックのお手本になる。
最後は若い二人が暗黒街から足を洗ってハッピーエンド。
このラストシーンでいきなりワーグナーが流れ、大空に鳩が飛ぶのには意表を突かれた。
点