万引した盗品を闇屋に売る少年時代、子供を悪事に誘う卑劣な小悪党、稚拙な強盗失敗で死んでしまう若い仲間、卑怯なボスの裏切り、禁酒法が施行され密造ビール業で荒稼ぎ、情婦との痴話喧嘩、競合業者との縄張り争い、裏切り者への復讐、敵対組織の報復、無残な最期。ギャング映画のいろいろが全部入っている。
冷酷非情かつ凶暴なギャングを演じてスターダムにのし上がったジェームズ・キャグニーの出世作。小柄だが悪戯小僧のような仕草や表情が魅力。スコセッシ映画のディカプリオは絶対意識してるはず。
相棒のマット(エドワード・ウッズ)とコンビを組んでグイグイ出世していく過程が、キャグニーのキビキビした機敏な動きと相まって小気味よく心地よい。
待ち伏せしていたギャングの機関銃でマットが殺されたあと、土砂降りの夜、二丁拳銃で殴り込みをかける。不敵な笑いに凄みがあり格好いい。
最初と最後に言い訳めいたタイトル(この映画は犯罪者を美化したり、犯罪を肯定または助長する目的で製作したものではありません)が出る。
禁酒法(1920-1933年)が施行中だったからの配慮、またはモデルとなったギャングが存命中(活躍していた時代)だったからだろう。
女性(メエ・クラーク)への暴力描写もある。
ちなみにおれは娼婦みたいなジーン・ハーロウより「ウォタルウ橋」のメエ・クラークのほうが絶対美人だと思うし好きだ。
キャグニーが家に帰宅するラストが強烈! このショック演出はホラーだ。
兄のマイク(ドナルド・クック)は真面目な性格で、裏稼業に身を置く弟を嫌っていた。世界大戦が始まると軍隊に志願したマイクだったが、ラストシーンで見せる表情には何か強い決意が伺える。原作(キュベック・グラスモン&ジョン・ブライト)では、弟の死体を見たマイクが手榴弾を手に決死の覚悟で敵の巣窟へと向うというラストらしい。
「ゴッドファーザー」の三男マイケルのモデルだ。
点