西部開拓時代の終焉を描き続けたサム・ペキンパーによる、西部劇スターの引退記念映画。二重の寂寞感が漂う鎮魂のウエスタン。
開拓時代に名保安官と名を馳せた老ガンマン(ジョエル・マクリー)は、鉱山で採掘された金塊の護送者として銀行と契約。町で再会した(カーニバルでインチキな射的場をやっている)昔馴染みのガンマン(ランドルフ・スコット)を仕事に誘い、やけに生意気な若者(ロン・スター)も仲間に加わり、3人は金塊護送の旅に出る。
山越え谷越え河を渡り、急勾配を登る。馬上の二人が昔語りしながらの旅。
40年代、50年代の西部劇ファンはそれだけで満足。両雄、馬の扱いが流石にウマい。
二人の会話に「壁の穴」ギャング団の話が出てくるし、町には自動車も走っている。
すでに開拓時代が終わった20世紀の話。老ガンマンが打合せしている店も中華飯店だ。
時代遅れの老いぼれが、正しい死に場所を求めて決斗に臨むクライマックス。
本質的なテーマは「ワイルドバンチ」と同じ。
冒頭に駱駝と馬のレースがある。
砂漠地帯では駱駝が輸入されていたのは事実だが、映画に登場するのは珍しい。
一攫千金の荒くれ者が集まっている鉱山町の結婚式。
フェミニズムが浸透した現代では噴飯ものだろうけど、当時の女性の扱いは実際そんなものだったのだろう。娼館の女主人ジェニー・ジャクソンと娼婦たちが新郎新婦を祝って歌う。
宗教に厳格な父親役のR・G・アームストロング。「キャリー」のパイパー・ローリーの男性版みたい。黒澤明に憧れていたペキンパーだから、父親と娘(マリエット・ハートレイ)のエピソードは「七人の侍」の万造と志乃を意識していたのかも。
肩にカラスをのせて登場のウォーレン・オーツは、ペキンパー映画の常連となった。
同じくペキンパー映画の常連L・Q・ジョーンズ。
出てくるとたいてい殺される。
本作と同時期にMGMはシネラマ超大作「西部開拓史」も配給している。 不器用に正義を貫き死んでゆく主人公と同様、ペキンパーもまた人生に不器用な映画監督だった。
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