第一次大戦が終わって、元空軍パイロットのウォルド・ペッパー(ロバート・レッドフォード)は遊覧飛行で日銭を稼いでいたが、同業のアクセル・オルソン(ボー・スヴェンソン)とともに興行師(フィリップ・ブランズ)の航空サーカス団に入ってアクロバティックな曲芸飛行を披露する。
集客が鈍ってくると興行師はより危険な曲芸を求め、女友達(スーザン・サランドン)や単葉機を製作していた相棒(エドワード・ハーマン)を相次いで事故で失い、自身も飛行士資格を永久剥奪される。
空を飛べなくなったペッパーはハリウッドでスタントマンの職を得るが、そこで戦争映画撮影中の独軍の撃墜王ケスラー(ボー・ブルンディン)と出会う。ふたりの飛行機乗りは撮影を無視して空中戦を繰り広げ、雲の彼方へと消えてゆく。
見所は本物の複葉単発機(単葉機や三葉機も)を大空に飛ばして、本物のスタントマンが身体を張って撮影された、本物の空撮シーン(CG当たり前の21世紀だから何度も本物と連呼したくなる!)。飛行中の主翼の上を歩いたり、隣の翼に乗り移ったり、宙返りに失敗したり、ラストのドッグファイト。本物でないと味わえないドキドキハラハラ。
撮影は「ベン・ハー」「卒業」のベテラン、ロバート・サーティス。ロイ・ヒルとは「スティング」に続いてのコンビ。このあとロバート・ワイズの「ヒンデンブルグ」も撮っている。
空撮アドバイザーとしてクレジットされているフランク・トルーマン、およびスタントマン、パイロットたちに勲章をあげたい映画。
ロイ・ヒルのオリジナル・ストーリーを元にウィリアム・ゴールドマンが脚本化。
大空の魅力に憑かれた男たちの話だが、レッドフォードでは役が弱い。マックィーンが演っていたらもっとギラギラしたものになって、男のロマンも本物に感じられただろう。
撃墜王との昔話(騎士道精神の話)も押しが足りない。
映画女優のような喝采を欲してエロティック曲芸に挑むスーザン・サランドンがなかなか良い感じ。ペッパーのガールフレンド、マーゴット・ギターはこれといって見せ場もなく可愛い女の子なら誰でも良い配役。
飛行機に乗せてあげるからと手伝わされ、ガソリンスタンドを何度も往復するタイトルバックの少年が良い。
映画は 2.35:1のアナモレンズを用いたスコープのトッドAO_35mm で撮られているのだが、現在流通しているビデオはテレビ放送用にスタンダード・トリミングされたDVDのみ。画質も甘い。
大空飛び交う複葉機の空撮を最大の見せ場とした、それだけが魅力と言ってもいいスペクタクル映画なので、オリジナルのアスペクト比でなきゃ本来の面白さは出ない。
ユニバーサル・ピクチャーズのDVDは(大手なのに)こういう手抜きな商品がある。VHS時代から同じトリミング版を繰り返し販売している。どうにかしろよ。
マンシーニのサウンドトラック盤も映画公開時にLP(MCA)が出たっきりでCD化されていない。こちらもなんとかしろ。
点