「フラッシュダンス」「ビバリーヒルズ・コップ」「トップガン」とメガヒット連発で絶好調のドン・シンプソン&ジェリー・ブラッカイマーによるシリーズ第2弾。
稼ぎが大きかった映画の続編はインフレーションがおこる。もっと派手にもっと面白く、もっと儲かるように。映画賞とは無縁の、大衆受けする作品こそがハリウッド映画の王道と割り切った娯楽主義。シンプソン&ブラッカイマーの手腕はみごとなもので、前作を上回るヒットとなった。カッコいいBGMに笑いとアクションてんこ盛り、ストーリーなんぞどうでもよろしい。
口八丁手八丁のエディ・マーフィに感化されたビバリーヒルズ署の刑事コンビも八方破れの大活躍。
監督はトニー・スコット。「トップガン」大ヒットの信頼を得て、シンプソン&ブラッカイマー組の御用達監督に出世した。兄リドリー同様にCMディレクター出身なので、撮影にあたってはストーリーボード(絵コンテ)を用意する。映像そのままを素直に見ていられるから観客は余計なことを考えずにすむ。これに快適なBGMが加わってたいへん心地よい。
007のスペクターもそうだけど、映画に登場する悪の組織は観客を楽しませるために随分と手の混んだ犯罪を計画する。今回の悪党はアガサ・クリスティの「ABC殺人事件」を真似てアルファベット順に強盗を計画。犯行現場に手がかりとなる手紙(挑戦状)を置いてゆく。一輪の花を添えているのが気障だ。
あれだけの武器を所有してるんだったら、宝石店とか競馬場とかケチな仕事してないで、ゴールドフィンガーみたくフォートノックスの金塊貯蔵庫でも襲えばいいのにと思う。
強盗団の実行リーダー役を、当時シルベスター・スタローンの奥さんだったブリジット・ニールセンが演じていて、その大柄なボディが映画のアクセントになっている。
純白のコートで現れる冒頭の宝石店襲撃、情け容赦なく銃を撃ちまくり、ストップウォッチで部下に指示を出す姿がカッコいい。
スタローン夫人へのゴマすりか、前作でクランクイン1ヶ月前にドタキャンしたスライへのアテ擦りか知らないけど、ビバリーヒルズ署の刑事(ジャッジ・ラインホルド)の部屋にはスタローンのポスターが飾られていた。
フザケたりマジメだったりの境界線をスピーディに行き来するエディを見ていたら、クレイジーキャッツの植木等さんを思い出した。
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