SF 宇宙への旅|映画スクラップブック


SF 宇宙への旅(12本)

2020/11/07

2001年宇宙の旅

2001年宇宙の旅|soe006 映画スクラップブック
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2001: A SPACE ODYSSEY
1968年(日本公開:1968年04月)
スタンリー・キューブリック ケア・デュリア ゲイリー・ロックウッド ウィリアム・シルヴェスター ダニエル・リクター レナード・ロシター マーガレット・タイザック ロバート・ビーティ ショーン・サリヴァン アラン・ギフォード アン・ギリス エド・ビショップ ケヴィン・スコット ダグラス・レイン

映画のオールタイム・ベストに必ず選出される名作。SF映画の金字塔。
スタンリー・キューブリックの代表作。特殊効果、撮影、音響、映画技術の粋。

アーサー・C・クラークによるノベライズをサブテキストとして読めば、作品のテーマもストーリーもなんとなく分かるが、映画だけ見たのでは何のことかサッパリ分からない。
情緒的な、文学的な説明をことごとく省き、完璧な映像で事象のみ見せる。純粋な、とてつもなく映画的な映画。ルイス・ブニュエルたちが1920年代にやっていたシュルレアリスムな実験を、宇宙と人類の進化をモチーフに大金かけてやっている。

この映画をストーリーで語っても、ノベライゼーションの解説で終わる。ストーリーを説明しているやつの元ネタはみんなそれだ。
キューブリックが「陳腐なものになってしまう」ことを嫌ってあえて避けた「解説」を、なんで得々と語っちゃうのか。難解とされているものを「解説」すると、自分がちょっとだけインテリっぽく見えるからか? 映画ばっか観てるとバカにされちゃうよ。

遊園地のアトラクションのように、体感で楽しむのがいちばん。
もっとはっきり言っちゃうと、大真面目な顔した虚仮威し(ハッタリ)映像作品。

とは言え、撮影速度を変化させて映像を歪像化(スリットスキャン)し、けばけばしく着色したサイケデリック映像(スターゲイト)はいただけない。それまでの宇宙空間表現が驚異的に完璧だっただけに、あの場面だけ極端に安っぽく浮いている。リゲティの前衛音楽をBGMに使っても、これは誤魔化せなかった。

斬新とポンコツの見分けは難しい。騙されたくなければ見るな。
(映画って、騙されるのを愉しむ娯楽なんだけどね)

70

2020/11/15

未知との遭遇

未知との遭遇|soe006 映画スクラップブック
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CLOSE ENCOUNTERS OF THE THIRD KIND
1977年(日本公開:1978年02月)
スティーヴン・スピルバーグ リチャード・ドレイファス フランソワ・トリュフォー テリー・ガー メリンダ・ディロン ボブ・バラバン ケリー・ギャフィ ランス・ヘンリクセン ロバーツ・ブロッサム カール・ウェザース

「JAWS ジョーズ」を大ヒットさせスタジオから信用と期待を得たスピルバーグが、やりたい放題わがまま放題に製作した、豪華絢爛な超大作自主映画。
企画段階から内容は極秘扱いされ、真っすぐ延びた夜道の先に強烈な光がデザインされたポスターと、キャッチコピー「We are not alone 宇宙にいるのはわれわれだけではない」のみで宣伝を展開。「UFOを扱った映画」であることしか情報を出さない徹底ぶり。
あの「JAWS ジョーズ」のスピルバーグの新作だけに期待は半端なく、公開が待ち遠しくてたまらなかった。

映画は、幾つかの印象的なエピソードを断片的に並べた「フレンチ・コネクション」風のセミ・ドキュメンタリータッチで始まるが、やがてストーリーは電力会社に勤務するエンジニア(リチャード・ドレイファス)に絞られてくる。
地域一斉停電の原因を調査している最中に未知の飛行物体と遭遇。そのショックから謎の発光体にとり憑かれ、家庭は崩壊。妻(妙に色っぽいテリー・ガー)は子供たちを連れて家を出ていく。一人になったドレイファスは更に狂気をエスカレートさせ、ダイニングキッチンいっぱいに巨大なジオラマを作る。が、それが何を意味するものか、ドレイファスにも分からない。
並行して、UFOを調査するフランスの博士(フランソワ・トリュフォー)と、幼い息子をUFOに拐われたシングル・マザー(メリンダ・ディロン)のエピソードが描かれる。バリー坊や誘拐の場面は、照明の使い方とか「エクソシスト」風で、ウィリアム・フリードキンがこの時代の映画にどれだけ影響を与えていたのかよく分かる。

未知との遭遇_誘拐

政府は陸軍と州兵を動員してUFOとの接触を極秘で計画。猛毒ガス発生による地域住民の避難、道路封鎖のニュースを見たドレイファスは、そこに自分の狂気の原因があると直感、ワイオミング州デビルズタワーへと向かう。
ここからエンドタイトルまでの40分間が最大の見せ場。最新鋭の音響システム(ドルビーステレオの重低音)と、ダグラス・トランブルを中心とした視覚効果のカーニバル、極めて映画的な光と音のスペクタクルが展開される。とんでもなく凄いものを見せられた興奮で、公開されたときは週2回、計4回も劇場(佐賀有楽会館)に足を運んだ。サウンドトラック盤も毎日聴いて、映像の記憶を脳内再生させていた。

現在流通しているビデオソフトはパッケージにバカでかいUFOがデザインされている。
最初っから「何が収録されているのか」知ったうえで観る「未知との遭遇」は、つまらないだろうな、と思う。
公開時に「観る体験」ができて良かった。

ストーリーによく分からない箇所が幾つもあったので、映画の説明不足を補うためハードカバーのノベライズも買って読んだが、それらの疑問はまったく言及されてなく、がっかりした思い出もある。
「2001年宇宙の旅」の分からなさは、キューブリックが意図して分からなくしているのだけど、こっちはスピルバーグの分からないをそのまま放置して作ってあるので、ポンコツなれど、そこが愛嬌になってる。

よく分からない、と言えば、
追加撮影や再編集を加えた「特別編」やら「ファイナル・カット版」やら、幾つもヴァージョンがあって、どれがどれだか分からなくなってしまっている。
最初に劇場公開されたものには、道路封鎖する軍人役で黒人俳優カール・ウェザースが出演していて、「ロッキー」で顔を覚えていたアポロ・グリードはハッキリ印象に残っていたのに、その後、劇場公開されたりビデオ販売された版に該当するシーンはなく、自分の記憶違いかと不安に思っていたけど、DVD(ファイナル・カット版/デラックス・コレクターズ・エディション箱入り2枚組)の特典映像に、削除されたシーンとして収録されていた。

未知との遭遇_カール・ウェザース

映画の記憶を混乱させるので、何度も再編集してソフト作るのやめて欲しいです(「ブレードランナー」とか)。

70

2020/11/07

2010年

2010年|soe006 映画スクラップブック
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2010
1984年(日本公開:1985年03月)
ピーター・ハイアムズ ロイ・シャイダー ジョン・リスゴー  ヘレン・ミレン ボブ・バラバン ケア・デュリア ダナ・エルカー マドリン・スミス ジェームズ・マクイーチン メアリー・ジョー・デシャネル エリヤ・バスキン サヴェリ・クラマロフ オレグ・ラドニック

スタンリー・キューブリックが「陳腐なものになってしまう」ことを嫌って避けた「解説」を、あえて施した「2001年宇宙の旅」のストーリー補完編。
オリジナルで物議を醸した様々な謎を解き明かすために製作されたかのような、そんな内容。前作を見ていない人には何が面白いのかわからんだろうし、オリジナルにぞっこん惚れ込んでいる人には無用な駄作にしか思えない。半端な映画。

監督のピーター・ハイアムズは製作も兼任してるわけで、お仕着せのやっつけ仕事ということではなかったと思うが、どうにも脚本が平凡で、あの「カプリコン・1」の監督が自ら進んで作りたがった題材とは思えない。

グルグル回転しているディスカバリー号とか、HALの最期のセリフ「わたしにも夢は見られるでしょうか」とか、良い場面もあるにはあるのだけど、オリジナル見ていたからこその感動だろうし。
第2の太陽系の誕生が、米ソ協調による世界平和に至るって結末は、安易というか能天気というか。近未来(2010年)が舞台にしてはあまりにも現実レベル(1984年製作)の状況設定にちっともセンス・オブ・ワンダーが感じられない。

なにしろ宇宙にいくまでの経緯説明が退屈。
ロイ・シャイダーのランニングとかいらんだろ。
オリジナル再現に尽力した特撮スタッフには敬意を表します。

60

2020/11/15

コンタクト

コンタクト|soe006 映画スクラップブック
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CONTACT
1997年(日本公開:1997年09月)
ロバート・ゼメキス ジョディ・フォスター マシュー・マコノヒー ジョン・ハート ジェームズ・ウッズ トム・スケリット デヴィッド・モース ウィリアム・フィクトナー ロブ・ロウ アンジェラ・バセット

地球外生命体と人類のコンタクト(邂逅)を描いた宇宙物理学者カール・セーガン博士のベストセラーを「フォレスト・ガンプ」のロバート・ゼメキスが映画化。
主人公は電波天文台に勤務する女性科学者(ジョディ・フォスター)。宇宙の彼方、星雲から地球までグーッとズームインして、主人公の瞳の虹彩までもってくるタイトルバックに驚いた。アウター・スペースとインナー・スペースが表裏一体でつながっているという理論というか思想はSF小説ではお馴染みのものだけど、いきなりファーストシーンでヴィジュアル化して見せてしまう。自信満々のロバート・ゼメキス。

ゼメキス作品にしてはユーモアがなく真面目で地味なストーリー展開は、ジョディのキャラと相まって硬質な仕上がり。
シナリオはよく作られていると思う。最後まで「もしかして、これは本当に、そうなのかも」の興味でひっぱっている。
一号機がテロリストによって爆破されるサスペンスも特殊撮影もうまい。二号機が北海道に用意されていたという展開は嬉しいが、その美術セットは、ああやっぱりのハリウッド風ジャパン(苦笑)。

再現不可能な現象は理論化できないので科学とは呼べない。
誠実な作りではあるけど所詮SFは壮大な与太話なので、18時間を記録したビデオを真剣に詮索しても意味がない。
宗教との対比もいささか図式的。無神論で事に臨んでいた主人公が、不可思議な事象を自分が体験したことで超越存在(神)を信じてしまう皮肉な結末。

ジョディ・フォスターの熱演が記憶に残る。
少女時代を演じたジェナ・マローンも可愛かった。

70

2020/11/17

スペース カウボーイ

スペース カウボーイ|soe006 映画スクラップブック
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SPACE COWBOYS
2000年(日本公開:2000年11月)
クリント・イーストウッド トミー・リー・ジョーンズ ドナルド・サザーランド ジェームズ・ガーナー ジェームズ・クロムウェル ウィリアム・ディヴェイン マーシャ・ゲイ・ハーデン ローレン・ディーン コートニー・B・ヴァンス

ソビエト連邦時代に打ち上げられたロシアの通信衛星にトラブルが発生。地球に向って落下を始める。
衛星の誘導装置はアメリカから盗まれた設計図によって製造したもので、設計者はクリント・イーストウッド。彼でないと旧式の装置は修理できない。
設計図はNASAの責任者ジェームズ・クロムウェルのファイルから盗まれていた。彼は情報漏洩の業務ミスを隠蔽しまま、内密に事を片付けようと企んでいる。

かつて宇宙を目標に訓練していた、そして計画の中止でその夢を絶たれたパイロット・チームの男たちが、再び招集される。メンバーは、イーストウッド、トミー・リー・ジョーンズ、ドナルド・サザーランド、ジェームズ・ガーナーの4名。管制室から見守るのはウィリアム・ディヴェイン。20世紀映画少年にお馴染みマッチョなスターの揃い踏み。
トミー・リーだけ世代が一回り年下。ここにバート・レイノルズを持ってきてたら、完璧なキャスティングになっていたと思う。

スペース カウボーイ

前半はパイロット引退後にそれぞれの人生を営んでるメンバーを、イーストウッドが勧誘して回る。「七人の侍」風でほのぼのと面白い。
中盤は40年ぶりに宇宙に挑むための体力テストと訓練。七十前後のジジイたちが滑稽に演じる。4人のオールヌードも見られる。

スペース カウボーイ

ドナルド・サザーランドはコメディリリーフ。トミー・リーはラブシーンも用意されていて儲け役。最年長(当時72歳くらい)のジェームズ・ガーナーはあまり目立たない。

後半はいよいよ宇宙でのミッション。特撮はジョージ・ルーカスのILM。いきなり違う映画に差し替えられたかのような違和感。巨大な衛星が無重力空間でバラバラに壊れていく様は圧巻。さすがILMと感心した。

ロシアの人工衛星が核ミサイルを装備した軍事兵器だったという予定調和なヒネリがあって、トミー・リーが自己犠牲覚悟の活躍をみせ、余命と引き換えに40年前に果たせなかった月面旅行を遂げる。
エンドクレジットに流れるのは、シナトラの「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」。

スペース カウボーイ

たぶん、1998年に77歳でスペースシャトルに乗ったジョン・グレンのニュースに着想して製作されたのだと思う。映画の中でもジョン・グレンの名前が出てくる。
アメリカ航空宇宙局(NASA)の協力を得ているので、衣装や美術は現実感がある。
1984年の「ライトスタッフ」はかなり参考にされていると思う。超音速ジェット機のファーストシーンのほか、訓練シーンなどが似ているように感じられた。

65

2020/11/17

ミッション・トゥ・マーズ

ミッション・トゥ・マーズ|soe006 映画スクラップブック
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MISSION TO MARS
2000年(日本公開:2000年05月)
ブライアン・デ・パルマ ゲイリー・シニーズ ティム・ロビンス ドン・チードル コニー・ニールセン ジェリー・オコンネル アーミン・ミューラー=スタール キム・デラニー カヴァン・スミス ジル・ティード

火星への有人飛行に成功したマーズ1号機の調査隊が、謎の砂嵐に巻き込まれ遭難、連絡を絶ってしまう。仲間の救出と原因調査のため、リカバリー用に準備されていた2号機が火星へと向かう。乗組員はゲーリー・シニーズ、ティム・ロビンス、コニー・ニールセン、ジェリー・オコーネル。
ティム・ロビンスはロケットのトラブルで早々に退場。
残った3人は悪戦苦闘の末に火星に着陸、生き残っていたドン・チードルと再会。人類を超越した存在が遺した人面岩(「2001年宇宙の旅」のモノリスみたいなもの)の謎に挑む。

撮影にはアメリカ宇宙航空局(NASA)が協力しているので、メカニックなセットや火星の風景はそれらしき感じが出ている。
宇宙人の(残念な)実体を見せちゃったりするからダメなんだよ。

たいへんな製作費を投じてつくられた大作なのだろうが、デ・パルマが監督というだけで二流感が漂うのは何でだろう。モリコーネの音楽もピンとこない。

キューブリック「2001年宇宙の旅」とタルコフスキー「惑星ソラリス」を凌駕するSF映画は(21世紀になっても)なかなか出てきませんね。

60

2020/12/01

ソラリス

ソラリス|soe006 映画スクラップブック
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SOLARIS
2002年(日本公開:2003年06月)
スティーヴン・ソダーバーグ ジョージ・クルーニー ナターシャ・マケルホーン ジェレミー・デイヴィス ヴィオラ・デイヴィス ウルリッヒ・トゥクール

惑星ソラリスの軌道上に浮かぶ宇宙ステーションで異常事態が発生。調査のため心理学者のクリスが派遣される。到着したステーションに生存していた乗組員は正気を失ったような状態。船内を調べていくうちに、クリスは自殺したはずの妻の姿を目撃する。
スタニスワフ・レムのSF小説「ソラリスの陽のもとに」2度目の映画化。

宇宙時代の哲学風西洋怪談噺。

死んでしまった人が夢に出てきて、その人は生前大好きだった人で、いつまでもこの夢を見続けていたいから、このままずっと眠ったままでいよう、みたいな話。

前回はソビエト連邦で製作された本格SF映画として、今回はジェームズ・キャメロンとスティーヴン・ソダーバーグの異色の組み合わせで話題になった。

ほんとはSF好きのキャメロン自身が監督もしたかったんだろうが、これまでのアクション路線からハズレてしまうし、かといって派手な活劇入れたら原作を冒涜するみたいで嫌だし、題材が題材なので今までみたいなビッグなヒットは望めないだろうし、「似合わんことやるから失敗したんだ」みたいに言われてキャリアに疵つけそうだし、そんなことになったら次の製作費を集るのに苦労するだろうし。そんなこんなでソダーバーグがやりたいって言ってるんなら彼にやらせちまえ、みたいな(憶測)。

そこんとこ台所事情どうだろって思ったので、DVDの音声解説も聞いたのだけど、お互い内輪褒めに終始していて詰まらなかった。どちらかというとキャメロンのほうがソダーバーグに遠慮してるように聞こえた。

タルコフスキー版は2時間45分で(そして前半の展開が緩やかだったゆえ)とても長く感じられた。今回は1時間40分なのでサクサクいくのかと思っていたが、雰囲気はしっとり、同じくらい長く感じられた。
平凡な感情を意味ありげに撮るのが好きなソダーバーグ。深刻な顔してやってるが、おれは騙されないよ。

1970年代のソビエトで作られた映画と、21世紀の特殊技術で撮られた映画を比較したくはないけど、タルコフスキー版のほうが衝撃は大きく感銘は深かった。新作はセリフで説明してるところが多くて、うざいというか、雑に感じられた。

なにをやりたくてリメイクしようなんて思ったんだろ?

60

2020/12/01

サンシャイン2057

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SUNSHINE
2007年(日本公開:2007年04月)
ダニー・ボイル キリアン・マーフィ 真田広之 ミシェル・ヨー クリス・エヴァンス ローズ・バーン トロイ・ギャリティ ベネディクト・ウォン クリフ・カーティス マーク・ストロング

太陽の活動が弱くなってきたので核爆弾ブチ込んで再生させようと、国際色豊かな8人のクルーを乗せた宇宙船が出発。強烈な太陽熱にやられないよう慎重に太陽へ接近していく途中で、前回のミッションに失敗して消息を絶っていた宇宙船からの救難信号を受信する。

いろんな専門分野の個性の強いのばかり乗り合わせているので、和を以て貴しとする日本人の真田広之が船長。
似たような設定、似たような特殊撮影のSF映画は他にもあったし、あまり題材にオリジナリティは感じられないが、「トレインスポッティング」「28日後…」のダニー・ボイルが監督なので、献身的なヒーローの大活躍で素直にハッピーエンドとはいかない。悪趣味な映画に仕上がっている。
ドタバタとアクション場面が連続するが、どっかで見たことあるようなシーンの寄せ集めのようで、これといって印象に残らない。犠牲者はバンバン出るし、真田広之も途中で死んでしまう。人物への感情移入がないから、ストーリーに引き込まれない。お化け屋敷のアトラクションみたいな感じ。セットや特殊撮影にはお金がかかっている。

60

2020/12/05

オブリビオン

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OBLIVION
2013年(日本公開:2013年05月)
ジョセフ・コシンスキー トム・クルーズ モーガン・フリーマン オルガ・キュリレンコ アンドレア・ライズブロー ニコライ・コスター=ワルドー メリッサ・レオ ゾーイ・ベル

エイリアンの襲撃によって人類が他の惑星に移住した後、荒廃した地球に残り監視を続けているトム・クルーズ。

なぜ? どういうこと?

ドローンのメンテナンスやパトロールを日常としていた主人公。
宇宙船の墜落現場で、カプセルに眠る美しい女性を発見。こいつは誰?
覚醒した女の記憶を探るうち、自分の記憶も欠落があると知る主人公。おれは誰?

居住空間やメカニックが、白を基調としたすっきりスマートなデザインなのが良い。SFというとガチャガチャごてごてしたものが多いので、これは気に入った。人類が消えた地球の風景も美しい。「ブレードランナー」を逆転させただけと言えないこともない。

「猿の惑星」みたいな禁断地区に(モーゼみたいな)モーガン・フリーマンが登場して、世界観が一変する。これはミスキャストだ。ここは(見るからに如何わしい)サミュエル・L・ジャクソンじゃなきゃダメでしょう。

モーガン・フリーマンは変わらないね。顔と名前を憶えた「ドライビング Miss デイジー」(1989年)から30年以上、ずっと変わらない。同じ風貌。
トム・クルーズも変わらない。いつまで青年っぽいキャラを演じ続けるんだろう。どの映画見ても、いつも若々しい。クローン技術で複製したやつを出演させてるのだろうか。

いろんなSFアイデアをパッチワークして、謎解きとアクションでデコレーションした娯楽映画。状況設定のバックストーリーを深く考えていくと、辻褄が合ってない矛盾してるところもあるだろうけど、あまり気にしない。

見ているあいだは面白い。

すぐに忘れてしまいそうなのは、登場人物に感情移入できないのと、ストーリーを視覚化するのではなく、ヴィジュアルを見せるために用意された本末転倒なストーリーだから。
トム・クルーズが戦いに勝利して生き延びようと敗れて死んでしまおうと、どっちでも構わない。かっこいいトム・クルーズが見られれば勝敗なんてどうでもいい。トム・クルーズでありさえするなら、それだけで満足、それだけで幸せ、ハッピーエンド。ってなもんさ。

アクション映画の基本は、なぜアクションをしなければならないのか、アクションの動機と行動に至った経緯をしっかり押さえておくこと。行動によって何が変化するのか、アクションが次のストーリーへと連鎖していること。
この2点が欠落しているアクション映画は、どんなに凝ったヴィジュアルを盛って飾ったとしても、遊園地のアトラクションと変わらない。見終わったらすぐに記憶から消えてしまう。

忘却とは忘れ去ることなり。忘れ得ずして忘却を誓う心の悲しさよ。
菊田一夫:作「君の名は」

60

2020/12/10

ゼロ・グラビティ

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GRAVITY
2013年(日本公開:2013年12月)
アルフォンソ・キュアロン サンドラ・ブロック ジョージ・クルーニー エド・ハリス

スペースシャトルで船外活動中に突発事故が発生、漆黒の宇宙空間へ放り出される2人の宇宙飛行士。残された酸素は2時間分。地球との通信手段も断たれ救助も期待できない絶望的状況のなか、はたして無事生還できるのか。
無重力の暗黒世界を圧倒的な臨場感で再現したサバイバルドラマ。

おれはCG多用のデジタル撮影に否定的ではないけど、歓迎もしてない。
高解像度のデジタルで完全複製されたゴッホやセザンヌに価値はない。
早い話が「アラビアのロレンス」の砂漠が最初からCG合成と分かっていたら感動はないし、何度も見たいとは思わない。画面から出演者やスタッフの知恵や工夫が、手作りの苦労や温もりが伝わってこない映画は好きじゃない。

そんなおれが嘘偽りなく腰を抜かした驚異のデジタル映像。
映画黎明期にジュルジュ・メリエスが蒔いたトリック映画の種は 100年の歳月を経て驚くべき進化を遂げた。これぞ21世紀の大見世物(スペクタクル)!

地表から 600kmの上空で事故に遭遇した女性が、孤立無援の絶望的状況に陥り、無事地上に戻るまでの単純なストーリー。撮影技術もさることながら、細部に凝ったプロダクション・デザインが実にリアル。

ゼロ・グラビティ_A

脚本は監督のアルフォンソ・キュアロンとその息子のホアス・キュアロンの共同執筆。
インターネットでとことん調べ、初稿を書き上げたときは宇宙物理学者になったような気分の二人だったけど、NASAの科学者に読ませたところ、どこもかしこも間違いだらけでがっかり。宇宙飛行士を交えてリサーチをやり直し、できる限り実現可能でリアリティに沿う形に改稿したら、どんどんつまらないものになっていく。そこで現実を反映しながら、映画として楽しめるような嘘も採り入れたとの事。

実際のMI6に、命令無視して無謀な行動を繰り返す女好きのスパイは在籍していない。なにがなんでも本当のことじゃなきゃ認めんという人は、BBCやNHKが制作してるドキュメンタリー番組だけ見てなさいって事だ(そこに嘘が入ってないって保証はないけどね)。

ゼロ・グラビティ_B

サンドラ・ブロックという(ヒラメ顔の)女優さんは、これまでたいして気に留めてこなかったけど俄然見直した。最初から最後まで出ずっぱりなのだが、どうやって撮ったのか見当もつかない驚異の特殊撮影のなかで、肉体をフルに使っての熱演。
ラスト、大地にすっくと立ち上がる姿に素直に感動した。

最初のワンショット(これがもう凄いワンショット、ワンシーン)から目が釘付けになるのだが、唯一気に食わないのが幽霊の登場。

精根尽きて死の訪れを待つだけになったとき、宇宙の果てに消えていったはずのジョージ・クルーニーが戻ってきて、最後まで諦めるなとサンドラを励ます。そこで再度奮起して地球生還へ向けて行動を起こすのだけど。もちろんこれは彼女の幻覚で(「惑星ソラリス」じゃないのだから)宇宙の神秘現象とは違う。
日本の不細工なテレビドラマでもたまに見かける、仏壇に手を合わせて拝んでると、死んだ家族やご先祖様の声が聞こえてきて次の行動へのヒントを授けるっていう(ストーリーに都合の良い)安直極まりない手法。これやられると一気にシラケる。
「スター・ウォーズ」のようなお伽噺でも(デス・スター攻撃の際にオビワンの声が聞こえてきて)興醒めしたのに、リアルなドラマでは絶対やっちゃダメだ。

70

2020/12/11

インターステラー

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INTERSTELLAR
2014年(日本公開:2014年11月)
クリストファー・ノーラン マシュー・マコノヒー アン・ハサウェイ ジェシカ・チャステイン エレン・バースティン マイケル・ケイン マッケンジー・フォイ ティモテ・シャラメ ジョン・リスゴー デヴィッド・オイェロウォ コレット・ウォルフ フランシス・エグゼヴィア・マッカーシー アンドリュー・ボルバ ウェス・ベントリー ウィリアム・ディヴェイン デヴィッド・ジャーシー ケイシー・アフレック リーア・ケアンズ トファー・グレイス マット・デイモン

環境悪化により人類滅亡のカウントダウンが始まった近未来の地球。
NASAは人類が居住可能な惑星を求めて、宇宙の彼方に調査隊を送り込む。

最新の特殊撮影テクニックを得て、ついに「2001年宇宙の旅」「惑星ソラリス」に比肩するSF映画が現れたと思う。

砂漠化する地球、氷の惑星、海の惑星とCGを駆使した迫力のヴィジュアルがバラエティに富み、冒険映画としての面白さがある。三代にわたる親子の話。時空間を超越する宇宙物理学。この3つの要素がストーリーを巧みに構成して淀みなく、2時間50分の長丁場をダレさせない。
クリストファー・ノーランの才気が遺憾なく発揮された傑作SF映画。

ジョン・リスゴー、マシュー・マコノヒー、ジェシカ・チャステイン、ケイシー・アフレックの家族と、マイケル・ケインとアン・ハサウェイの父娘。ストーリーを牽引する2組の家族関係が丁寧に描かれ、ハードSFでありながらハートウォームな感動を呼ぶ。
相対時間がズレるウラシマ効果によりマシュー・マコノヒーが老齢となった娘(エレン・バースティン)と再会するシーンは筆舌に尽くしがたい。

超遠距離惑星間移動、時空間を超越して繋ぐワームホール理論とか、子どもの頃からハードSFを読んできたおれにもよく分からんのだけど、そしてそれが子ども部屋の本棚の裏側と連接していたという理屈はずいぶん都合の良い話だと思わないこともないのだけど、法螺話のロジックとしてナンセンスに浮いてないところを評価したい。
少なくとも「2001年宇宙の旅」のスターゲイトよりは面白く見られるイメージ・デザイン。

NASAの計画がひとりの天才科学者(マイケル・ケイン)によって策定されたのはどうかと思ったものの、ミッションのシークェンスが二重三重に準備されていたのは説得力があった。そのぶんエピソードが増えて上映時間が長くなったが、ミステリ仕立てで退屈しない。

コメディリリーフとして登場するAIロボットがユニークで、危急の際には頼もしい活躍をみせる。90パーセントの本音と10パーセントの建前でプログラミングされているという、このデザインを考えたスタッフは天才だろう。「2001年宇宙の旅」のHALよりはこっちが好きだ。

ラストの開放感が見終わったあと爽快な気分にしてくれる。
クリストファー・ノーランだから、暗くて悲しい映画で終わるのかと心配したよ。

75

2020/12/12

オデッセイ

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THE MARTIAN
2015年(日本公開:2016年02月)
リドリー・スコット マット・デイモン ジェシカ・チャステイン クリステン・ウィグ ジェフ・ダニエルズ マイケル・ペーニャ ケイト・マーラ ショーン・ビーン セバスチャン・スタン アクセル・ヘニー キウェテル・イジョフォー ベネディクト・ウォン マッケンジー・デイヴィス ドナルド・グローヴァー ニック・モハメッド チェン・シュー エディ・コー エンゾ・シレンティ ジョナサン・アリス ナオミ・スコット

アンディ・ウィアーのSF小説「火星の人」を映画化。
火星探査の作業中に猛烈な砂嵐に見舞われ、不慮の事故で行方不明になる植物学者(マット・デイモン)。生存は絶望視され、捜索を断念したクルーは苦渋の決断のすえ火星を離れてしまう。
奇跡的に生き残っていた植物学者は、砂漠から住居施設に生還できたものの、食料は僅かしか残っていない。通信手段もなく孤立無援のなか、次のミッション・クルーが訪れる4年後に希望をつないで、自活のための水と空気とジャガイモを作り始める。

マット・デイモンは「インターステラー」でも惑星に取り残された宇宙飛行士を演じてたけど性格は真逆。過酷なサバイバル生活を強いられ絶体絶命の状況下でも、「火星の人」はとことん元気で前向き。アタマ良い奴ほど性格は明るい。

映画と関係ない話だけど、深刻で暗い表情してる奴って、アタマ悪いのを良さそうに見せようとポーズしてるだけだから。マジで。

クルーの船長が残していたカセットテープから流れるのは、ドナ・サマーとかABBAとか70年代に流行してたディスコ・ミュージック。エンドクレジットはグロリア・ゲイナーの「恋のサバイバル」。サイコーじゃん!
宇宙とか科学とか難しいの嫌い、SFなんて面倒くさい分かんないって敬遠してるバカでも大丈夫。快適なダンス音楽でノリノリに楽しめる映画。

笑って笑ってハラハラドキドキして、あっという間の2時間20分。めちゃくちゃテンポが良い。体感では90分くらい。
脚本の構成がうまいのだけど、やっぱり音楽と編集だな。気分良く乗せられた。

こんなにポジティブでユーモアが多い、明るいリドリー・スコットは初めて。
登場人物みなさん善良で、誰も死なない、予定調和のハッピー・エンディング。
ロン・ハワードの映画と間違っちまいそうだ。

70

映画採点基準

80点 オールタイムベストテン候補(2本)
75点 年間ベストワン候補(16本)
70点 年間ベストテン候補(74本)
65点 上出来・個人的嗜好(70本)
60点 水準作(65本)
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個人の備忘録としての感想メモ&採点
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