1960年代の西部劇|映画スクラップブック


1960年代の西部劇(5本)

2022/03/30

荒野のガンマン

荒野のガンマン|soe006 映画スクラップブック
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THE DEADLY COMPANIONS
1961年(日本公開:1962年05月)
サム・ペキンパー モーリン・オハラ ブライアン・キース スティーヴ・コクラン チル・ウィルス ストローザー・マーティン ウィル・ライト ジム・オハラ

銀行強盗騒ぎの流れ弾で死んだ少年の母親(モーリン・オハラ)は、息子の遺体を亡夫と一緒の墓に埋葬するため、いまではゴーストタウンとなっている廃墟の町へと旅に出る。アパッチ族が出没し危険な道程を、肩を怪我して銃の扱いもままならないブライアン・キース他2名が護衛する。

アメリカの興行団体(映画館主)が製作した低予算西部劇。
テレビシリーズ「ガンスモーク」「ライフルマン」の脚本・演出を担当していたサム・ペキンパー、当時35歳の劇場用映画デビュー。憧れのジョン・フォード映画のヒロインを主役に映画デビューできるなんて夢のような話だと、浮足立って引き受けたに違いない。

荒野のガンマン:モーリン・オハラ&ブライアン・キース

ジョン・フォード映画でおなじみのモーリン・オハラが貫禄の熱演。タイトルバックに流れる主題歌も歌っている。こんな映画にそこまで熱入れなくても、と思わないでもないが。真面目な人なんだろうな。

と長いあいだ思っていたが…… どうやらモーリンと、製作者にクレジットされているチャールズ・B・フィッツシモンズは同郷(アイルランド・ダブリン)の親戚で、まずモーリンありきの企画だったみたい。

荒野のガンマン

ヒロインを護送する三人組の背景がごちゃごちゃ凝ってるわりに、それがまったく生かされておらず、わずか3日前に最愛の息子を撃ち殺した男とデキてしまうハッピーエンディングが荒唐無稽。シナリオは原作者A・S・フライシュマン自身による脚色。
全編にだらしなく貼り付けられた安っぽい音楽が、さらにB級感を倍増させている。

イカサマ博打で首に縄をかけられている男がいきなり登場する冒頭や、子供の棺を数日間運搬するというグロテスクな設定(「ガルシアの首」みたいだ)、ラストの舞台を廃墟の町でロケしているあたりにペキンパーらしさを感じられないこともない。

荒野のガンマン:ゴーストタウン

らしいと言えば……
ペキンパーはほとんどの映画で水浴びシーンを用意している。
本作でもモーリン・オハラが水浴びする。こだわりがあるのだろうか?

55

2022/03/25

昼下りの決斗

昼下りの決斗|soe006 映画スクラップブック
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RIDE THE HIGH COUNTRY
1962年(日本公開:1962年07月)
サム・ペキンパー ランドルフ・スコット ジョエル・マクリー マリエット・ハートレイ ロン・スター エドガー・ブキャナン R・G・アームストロング ウォーレン・オーツ ジョン・アンダーソン ジェームズ・ドルーリー L・Q・ジョーンズ ジョン・デイヴィス・チャンドラー

西部開拓時代の終焉を描き続けたサム・ペキンパーによる、西部劇スターの引退記念映画。二重の寂寞感が漂う鎮魂のウエスタン。

開拓時代に名保安官と名を馳せた老ガンマン(ジョエル・マクリー)は、鉱山で採掘された金塊の護送者として銀行と契約。町で再会した(カーニバルでインチキな射的場をやっている)昔馴染みのガンマン(ランドルフ・スコット)を仕事に誘い、やけに生意気な若者(ロン・スター)も仲間に加わり、3人は金塊護送の旅に出る。

昼下りの決斗:ランドルフ・スコットとジョエル・マクリー

山越え谷越え河を渡り、急勾配を登る。馬上の二人が昔語りしながらの旅。
40年代、50年代の西部劇ファンはそれだけで満足。両雄、馬の扱いが流石にウマい。

二人の会話に「壁の穴」ギャング団の話が出てくるし、町には自動車も走っている。
すでに開拓時代が終わった20世紀の話。老ガンマンが打合せしている店も中華飯店だ。

時代遅れの老いぼれが、正しい死に場所を求めて決斗に臨むクライマックス。
本質的なテーマは「ワイルドバンチ」と同じ。

昼下りの決斗:決斗

冒頭に駱駝と馬のレースがある。
砂漠地帯では駱駝が輸入されていたのは事実だが、映画に登場するのは珍しい。

昼下りの決斗:駱駝のレース

一攫千金の荒くれ者が集まっている鉱山町の結婚式。

昼下りの決斗:結婚式

フェミニズムが浸透した現代では噴飯ものだろうけど、当時の女性の扱いは実際そんなものだったのだろう。娼館の女主人ジェニー・ジャクソンと娼婦たちが新郎新婦を祝って歌う。

昼下りの決斗:ジェニー・ジャクソン

宗教に厳格な父親役のR・G・アームストロング。「キャリー」のパイパー・ローリーの男性版みたい。黒澤明に憧れていたペキンパーだから、父親と娘(マリエット・ハートレイ)のエピソードは「七人の侍」の万造と志乃を意識していたのかも。

昼下りの決斗

肩にカラスをのせて登場のウォーレン・オーツは、ペキンパー映画の常連となった。

昼下りの決斗

同じくペキンパー映画の常連L・Q・ジョーンズ。
出てくるとたいてい殺される。

昼下りの決斗

本作と同時期にMGMはシネラマ超大作「西部開拓史」も配給している。 不器用に正義を貫き死んでゆく主人公と同様、ペキンパーもまた人生に不器用な映画監督だった。

昼下りの決斗:鉱山の町

60

2022/03/29

ダンディー少佐

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MAJOR DUNDEE
1965年(日本公開:1965年04月)
サム・ペキンパー チャールトン・ヘストン リチャード・ハリス ジェームズ・コバーン ジム・ハットン マイケル・アンダーソン・Jr センタ・バーガー マリオ・アドルフ ブロック・ピータース ウォーレン・オーツ ベン・ジョンソン R・G・アームストロング L・Q・ジョーンズ スリム・ピケンズ

南北戦争の時代、アパッチ族が民間人を虐殺し3人の子供を誘拐する事件が起こる。北軍の指揮官ダンディー少佐(チャールトン・ヘストン)は、南軍の捕虜たちを加えた討伐隊を編成。アパッチ族を追ってメキシコ領へと向かう。
北軍騎兵隊と南軍捕虜兵の半目が続くなか、内戦中のメキシコ領に駐屯していたフランス軍をも敵に回し、さらに(ストーリーにまったく関与しない)ドイツ移民の女性(センタ・バーガー)とのロマンスも交え、映画は迷走しながら大迫力のクライマックスへと突入する。

やっぱり西部劇は絵だ。絵で決まる。ペキンパーの西部劇は絵作りが素晴らしい。
ショットのひとつひとつにパワァが漲っている。ショットのひとつひとつが西部劇の絵として決まっている。撮影監督は「手錠のまゝの脱獄」や「恐怖の岬」のサム・リーヴィット。ペキンパーとはこの1本だけ。

ダンディー少佐

チャールトン・ヘストン、リチャード・ハリス、ジェームズ・コバーン、センタ・バーガーと豪華にスターを並べたコロンビア製作の大作であり、もしかしたらペキンパーの最初の代表作になっていたかも知れない残念作。

サム・ペキンパーにトラブルは毎度のことで、本作も製作費の予算減額、ロケ地の問題、最終編集権の剥奪などいろいろあったらしい。
撮影中にコロムビアが監督交代を要求したとき、主演のチャールトン・ヘストンが「自分のギャラは公開後の歩合でよいから、ペキンパーに監督を続けさせろ」と啖呵を切った武勇伝も残っている。

しかし、いちばんの残念要因は、半端な脚本のまま撮影を見切りスタートさせたことだろう。

映画は、フランス軍に占拠されているメキシコの村を開放したあたりから、なにを語りたいのか分からん、ハッキリスッキリしない混沌ムードになる。
主人公ダンディー少佐はドイツ女と無防備にいちゃついていたところをインディアンに襲われ大怪我を負う間抜けぶり。隊を離れ自棄になってメキシコ女といちゃついたり、泥酔して道端で寝転んだり、ラストバトルの見せ場もリチャード・ハリスにさらわれ、なんのための主人公、なんのためのチャールトン・ヘストンなのか分からん。

夜襲の場面が2回ある。いずれも「アメリカの夜」で撮影されている。
インディアンの襲撃戦法として夜襲は当然なのだろうが、暗くて見辛い。

ダンディー少佐:夜襲の場面

DVD特典の解説によると、劇場公開時は昼の明るさだったとのことで、撮影時にフィルターを付けて撮ったのではなく、ポスプロで加工処理したのかも知れない。

ダンディー少佐:チャールトン・ヘストン、リチャード・ハリス、ジェームズ・コバーン

ラストバトルの衣装は全員ボロボロ、主役のヘストンも髭面で汚い。
ウォーレン・オーツのポンチョ。メキシコ国境地帯が舞台。吊るされている死体。

ダンディー少佐:残酷描写1

「荒野の用心棒」より先に公開されているのでマカロニの影響ではない。西部劇の残酷描写やダーティ・リアリズムは、マカロニよりペキンパーのほうが先んじていた。

ダンディー少佐:残酷描写2

ウォーレン・オーツ、ベン・ジョンソン、L・Q・ジョーンズ、R・G・アームストロング、スリム・ピケンズ。ペキンパー映画の常連たちが勢揃い。
ジョン・フォード映画の常連俳優たちが「フォード一家」と呼ばれていたので、ペキンパーも真似したかったのかも。

ダンディー少佐:ペキンパー映画の常連たち

今回観たのはソニー・ピクチャーズから発売されている 136分のエクステンデッド版。2005年のデジタル再公開の際に、米国公開版(124分)に幾つかのシーンを追加してデジタル・リマスターしたもの。先に書いたように、夜襲場面などはシナリオにあわせて映像を加工処理してある。
音楽も差し替えられていて、オリジナルにあったミッチ・ミラー合唱団の勇ましい主題歌はなし。もともとチグハグな印象で内容と合ってなかったけれど、無かったら無かったで物足りない。

日本公開時(1965年4月)の上映時間は 150分で、おそらくこの日本公開版が、編集から外される前にペキンパーが関与していたディレクターズ・カット版だったと思われる。

ダンディー少佐:L・Q・ジョーンズ

L・Q・ジョーンズは本作でも殺される。

そこかしこにジョン・フォードや黒澤明からの影響が見受けられて、微笑ましくも興味深い映画ではある

60

2022/04/06

ワイルドバンチ

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THE WILD BUNCH
1969年(日本公開:1969年08月)
サム・ペキンパー ウィリアム・ホールデン アーネスト・ボーグナイン ロバート・ライアン ウォーレン・ウォーツ ベン・ジョンソン エドモンド・オブライエン ジェイミー・サンチェス ストローザー・マーティン L・Q・ジョーンズ エミリオ・フェルナンデス ボー・ホプキンス アルバート・デッカー ハイメ・サンチェス ダブ・テイラー アルフォンソ・アラウ ポール・ハーパー エルザ・カルデナス

ウィリアム・ホールデンをリーダーとする壁の穴ギャング団は、鉄道会社の罠に嵌められ強盗に失敗、追跡を逃れて国境を越える。メキシコ政府軍を指揮する将軍エミリオ・フェルナンデスは、アメリカ軍用列車から武器弾薬を強奪するよう彼らに依頼する。

時代の変化についていけない、取り残されてしまった無法者たちの挽歌。

ワイルドバンチ

ウィリアム・ホールデン、アーネスト・ボーグナイン、ロバート・ライアンと、ビッグネームのスター俳優が出演し、大仕掛けの見せ場が多いので、サム・ペキンパーの代表作とされている。

ペキンパーをバイオレンスだけで語るのは嫌で、むしろバイオレンス抜きで語られる部分にペキンパー映画の本質があり魅力だと思っているのだけど。
本作の高速撮影されたスローモーション・ショットの編集は、やっぱり迫力がある。

ワイルドバンチ:ウィリアム・ホールデン

パイク(ウィリアム・ホールデン)がマパッチ将軍(エミリオ・フェルナンデス)を撃ったあとの僅かな静寂、一触即発の緊張からダッチ(アーネスト・ボーグナイン)が笑い出す。この一連の短いショットに、男たちのストーリーがグッと凝縮している。これだよ、これ、これ! これが映画を観る醍醐味なんだよ。

撮影監督はペキンパーとのコンビで傑作が多いルシアン・バラード。過去にはキューブリックの「現金に体を張れ」も撮っている。編集はこのあと「砂漠の流れ者」でもペキンパーにこき使われるルー・ロンバルド。冒頭の銃撃戦やクライマックスのアクション・シーンなど、編集の妙技、名人芸だ。

ストローザー・マーティン&L・Q・ジョーンズ。

ワイルドバンチ:ストローザー・マーティン&L・Q・ジョーンズ

「砂漠の流れ者」でもコンビを組んでいた下劣な悪党二人組。L・Q・ジョーンズは出てくるといつも殺される。本作では殺されるシーンは描かれていないが、ラスト場面のエドモンド・オブライエンのセリフで、やっぱり殺されたことが分かる。

ペキンパー映画の常連俳優、ベン・ジョンソンとウォーレン・オーツ。

ワイルドバンチ:ベン・ジョンソンとウォーレン・オーツ

あてがわれた女たちと酒樽ではしゃぎ遊ぶ。水浴び場面はペキンパー映画の付きもの。
川で(「荒野のガンマン」「ダンディー少佐」)、池で(「ゲッタウェイ」)、風呂で(「砂漠の流れ者」「ビリー・ザ・キッド/21才の生涯」)。

ペキンパー映画に付きものといえば子供たち。特に「ワイルドバンチ」は印象に残る子供が多い。冒頭のサソリを殺して遊ぶ子供たち。敵を目前にして怯まないマパッチ将軍に憧れの眼差しを向ける少年。パイクに致命傷の銃弾を撃ったのも少年だった。

映画ガイド書などで「ワイルドバンチ」やペキンパー映画について、「汚い衣装や髭面、残酷アクションはマカロニ・ウエスタンからの影響」と書かれているのを見かけるが、これは誤り。
「荒野の用心棒」でマカロニ・ブームが起こる前にペキンパーは「ダンディー少佐」の撮影を開始している。ペキンパーもセルジオ・レオーネも同時代に偶然同じような映画を考えていたのだと思う。
影響というのなら、ふたりとも黒澤明の「七人の侍」や「蜘蛛巣城」「用心棒」からの影響が断然強い。

「ワイルドバンチ」と同じテーマを扱った「明日に向って撃て!」を比較すれば、ジョージ・ロイ・ヒルが黒澤映画にほとんど影響受けてないことが分かっておもしろい。

ワイルドバンチ:ラストシーン

大虐殺のあと、ハゲタカが集まり、住民たちは町を捨てて出ていく。
行き場を失って放心状態のロバート・ライアン。

この映画、最初はテレビの洋画劇場(90分枠の「土曜映画劇場」で前後2回に分けて放送)で見てぜんぜん面白くなく、その後、池袋文芸坐で観たら(プリントは退色して赤茶けてたけど)凄くて面白くて断然お気に入りになった。テレビの洋画劇場は(吹き替えとか、カットとか、トリミングとか、CMとか)いろいろと糞だったが、田舎の中学生はそれでしか過去の映画に接する機会がなかったのだから仕様がない。

75

2022/04/08

明日に向って撃て!

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BUTCH CASSIDY AND THE SUNDANCE KID
1969年(日本公開:1970年02月)
ジョージ・ロイ・ヒル ポール・ニューマン ロバート・レッドフォード キャサリン・ロス ストローザー・マーティン クロリス・リーチマン ジョージ・ファース ジェフ・コーリイ テッド・キャシディ ケネス・マース ドネリー・ローズ チャールズ・ディアコップ ジョディ・ギルバート ティモシー・スコット ドン・キーファー ネルソン・オルムステッド サム・エリオット

ユニオン・パシフィック鉄道の列車を往復で襲った壁の穴ギャング団は、鉄道会社に雇われたピンカートン探偵社の執拗な追跡にあう。
ギャング団のリーダー、ブッチ・キャシディ(ポール・ニューマン)は、アメリカの未来に自分たちの居場所が無くなったと悟り、ニューヨーク経由で新興国ボリビアへと渡る。

明日に向って撃て!:ロバート・レッドフォードとポール・ニューマン

1898年、アメリカ国勢調査局はフロンティアの消滅を宣言した。都会では市電が走り、巨大なビルが建ち並び、遊興場は大勢の人で溢れ、港には大型汽船が停泊している。

「明日に向って撃て!」でブッチとサンダンスが南米に逃亡(史実では1909年-映画では1898年)したあと、残った壁の穴ギャング団の行末(1913年)を描いたのが「ワイルドバンチ」。時代の変化についていけない、取り残されてしまった無法者たちの挽歌。

ド派手な列車爆破、崖を駆け登り転げ落ちる逃亡シーン、ボリビアの山賊を皆殺しするスローモーション、壮絶なラストの銃撃戦。「ワイルドバンチ」と同じ題材を扱っていて、同じような内容のアクションを見せ場に用意しているというのに、まったく異なる映画になっている。
これは、黒澤映画からの影響が強いペキンパーと、影響を受けていないロイ・ヒルの違いだと思う。

明日に向って撃て!

ブッチとサンダンス、男性二人の逃避行にエッタ・プレース(キャサリン・ロス)という女性を加えたのは(史実がそうだったからというだけでなく)トリュフォー「突然炎のごとく」からのアイデアだと思う。「突然炎のごとく」だけでなく、フランス・ヌーヴェルヴァーグはこの時期のハリウッド映画にかなり影響を与えている。

自転車乗りの場面、ニューヨークでの遊興と船旅、ボリビアでの強盗生活、エッタが去る前後。音楽は全部合わせても13分に満たないくらいだが、全編にベタッと劇伴を貼り付けている映画よりも鮮明に残る。テレビ出身の監督は、旧態然としたハリウッド流劇伴音楽を嫌い、ポップスの選曲に躊躇しない。

フォトジェニックなショットと音楽のモンタージュは、1960年代後半に流行したクロード・ルルーシュ「男と女」からの影響。撮影監督は「プロフェッショナル」「暴力脱獄」のコンラッド・L・ホール。ロイ・ヒルとのコンビはこの1本のみ。

明日に向って撃て!

軍の兵隊に完全包囲されたブッチとサンダンスが、隠れていた建屋から飛び出すラスト・ショット。モーション・ストップした画面がセピアに色落ちすると同時にズームアウトする。どうやって撮ったのか長いあいだ疑問に思っていたが、望遠で撮った二人のフィルムと同じアングルで撮影した無人のスチール写真を合成したものだと、DVD特典のドキュメンタリーで解説していた。

タイトルバックに映写されているでサイレント映画も、現存する当時のフィルムとばかり思っていたが、本作のために第2班の監督によって撮られたものだった。

ペキンパー映画の常連、ストローザー・マーティン。

明日に向って撃て!:ストローザー・マーティン

ずっと噛み煙草をクチャクチャやってて、ペッと吐き出すたびに口元を拭ってる。こういう汚い仕草は抜群にうまい。実際のマーティンはなかなかのインテリで、クラシック音楽の愛好家だったりもする。

ブッチが小川に投げ捨てた未来の乗り物は、世紀を越えて21世紀も道路を走っている。

75

映画採点基準

80点 オールタイムベストテン候補(2本)
75点 年間ベストワン候補(18本)
70点 年間ベストテン候補(83本)
65点 上出来・個人的嗜好(78本)
60点 水準作(77本)
55点以下 このサイトでは扱いません

個人の備忘録としての感想メモ&採点
オススメ度ではありません