1990年代の犯罪映画|映画スクラップブック


1990年代の犯罪映画(2本)

2022/02/13

ワイルド・アット・ハート

ワイルド・アット・ハート|soe006 映画スクラップブック
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WILD AT HEART
1990年(日本公開:1991年01月)
デヴィッド・リンチ ニコラス・ケイジ ローラ・ダーン ウィレム・デフォー イザベラ・ロッセリーニ ダイアン・ラッド シェリリン・フェン シェリル・リー ハリー・ディーン・スタントン

刑務所を仮保釈になったニコラス・ケイジは、二人の仲を裂こうとする母親から逃げてきたローラ・ダーンとカリフォルニアへの旅に出る。

ワイルド・アット・ハート

世界は悪意に満ちてグロテスクだけど、お互いの愛を信じられたら幸せになれる(かも知れない)。蛇皮のジャケットで武装して、いつも心にエルビスを。

変態監督デヴィッド・リンチの、セックスと暴力を題材としたコメディ。

リンチ映画は怪優・怪演の宝庫。異常な母親ダイアン・ラッド(悪い魔女)を筆頭に 、ウィレム・デフォー、イザベラ・ロッセリーニ、シェリリン・フェン、シェリル・リー(善い魔女)とキワモノ・クセモノがぞろぞろ出てくる。
なんのために出てくるのか分からんような奇妙奇天烈なキャラがわんさか出てくる。

公開当時は騙されたが、TVシリーズ「ツイン・ピークス」を経たあとでは、これらのキャラが虚仮威しに過ぎないことが分かってる。リンチがやろうとしていることは、観客を困惑させクラクラした気分を味わせたいだけ。ストーリーに価値はない。

観ている間はとてつもなくスリリングで面白い。
良くも悪くも、リンチらしさが一番よく出たシュールレアリスム(変態趣味)だと思う。

ワイルド・アット・ハート

リンチの映画にストーリーを追うのはナンセンス。忌まわしい過去のフラッシュバックに意味を求めるのは無駄。光の玉から良い魔女が舞い降りてきて(強引に)ハッピーエンドになっても腹を立てない。

インサートされるマッチ棒の超クロースアップ、音響効果と音楽。ヌード女をはべらせ便器にしゃがんだまま電話するジジイ、歩行器のババア、庭で踊る裸のデブ女3人組、不気味な雰囲気だけで存在に意味はない。主人公たちを含めすべての登場人物が現実と違う次元の精神世界に生きている。口紅を満面に塗りたくるダイアン・ラッド、漫画のようにメイクされたイザベラ・ロッセリーニの眉毛、自らのショットガンで頭を吹っ飛ばすウィレム・デフォーの最期(ぐちゃり)、ちぎれた手首を咥え去る犬、渋滞する車の屋根を走り渡るニコラス・ケイジ。
極めつけはニコラス・ケイジが熱唱するエンドクレジットの「ラブ・ミー・テンダー」。こんなのフル・コーラスで聞かされたあとに、どんな顔して劇場を出たらいいのさ。

ワイルド・アット・ハート

難解な映画なんてない。
ヘタクソに作られた映画とか、独り善がりのトンチンカン映画なら山程ある。
デヴィッド・リンチはそのどちらでもない。不思議な立ち位置にいる映画作家。

「ブルー・ベルベット」ではキャーキャーわめくだけの馬鹿女だったローラ・ダーンが、ぐっとイイオンナに化けてファックしてたので、良かった。

65

2022/02/13

ナチュラル・ボーン・キラーズ

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NATURAL BORN KILLERS
1994年(日本公開:1995年02月)
オリヴァー・ストーン ウディ・ハレルソン ジュリエット・ルイス ロバート・ダウニー・Jr トミー・リー・ジョーンズ トム・サイズモア ロドニー・デンジャーフィールド エド・マックラーグ デイル・ダイ サルヴァトール・ゼレブ リチャード・ラインバック バルサザール・ゲティ ラッセル・ミーンズ プルイット・テイラー・ヴィンス スティーヴン・ライト ピーター・クロンビー ジョー・グリファシ ポール・ディロン

父親から性的虐待を受けていたジュリエット・ルイスは肉屋の配達人だったウディ・ハレルソンとともに両親を殺し、永遠の愛を誓う。

ナチュラル・ボーン・キラーズ

ひたすら殺しまくり盗みまくり、毒蛇に噛まれて逮捕されたのち、刑務所で起こった暴動にまぎれて脱獄。二人に協力的だったTVリポーター(ロバート・ダウニー)を殺して、また逃げる。

ナチュラル・ボーン・キラーズ

モノクロになったりアニメになったり、記録フィルム合成したり説教したり殺したり、なにを狙っているのかさっぱり分からん。
音楽(既成曲)もごちゃごちゃして支離滅裂、オリヴァー・ストーンの悪趣味映画。

ネタを提供したクエンティン・タランティーノがこの映画を嫌っているそうだが、さもありなん。オリヴァー・ストーンにはユーモアのセンスがない。

ナチュラル・ボーン・キラーズ

二人が逮捕された後半、トミー・リー・ジョーンズの刑務所長が登場してから多少面白くなる(演じたトミー・リーがいちばん面白がっている風)。

それでも社会的メッセージが邪魔くさい。シリアスなのかコメディなのか、どっちつかずで見苦しい。暴力を娯楽として消費してゆく現代アメリカの歪なんかクソ喰らえ。真面目にやりたいんだったら(タランティーノからネタ買わずに)いつものように真面目にやれ。厨二病かよ。

60

映画採点基準

80点 オールタイムベストテン候補(2本)
75点 年間ベストワン候補(18本)
70点 年間ベストテン候補(83本)
65点 上出来・個人的嗜好(78本)
60点 水準作(77本)
55点以下 このサイトでは扱いません

個人の備忘録としての感想メモ&採点
オススメ度ではありません