エアポート・シリーズ|映画スクラップブック


エアポート・シリーズ(3本)

2022/01/29

大空港

大空港|soe006 映画スクラップブック
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AIRPORT
1970年(日本公開:1970年04月)
ジョージ・シートン バート・ランカスター ディーン・マーティン ジーン・セバーグ ジャクリーン・ビセット ジョージ・ケネディ ヘレン・ヘイズ ヴァン・ヘフリン モーリン・ステイプルトン バリー・ネルソン ダナ・ウィンター ロイド・ノーラン バーバラ・ヘイル

アーサー・ヘイリーのベストセラー小説をオールスター・キャストで映画化。
1970年代パニック映画ブームの火付け役となったサスペンス大作。

大空港

猛吹雪に見舞われたアメリカ中西部イリノイ州リンカーン空港。大型旅客機の着陸失敗で主要滑走路が使えなくなる。その対応に追われている最中に、騒音迷惑の住民デモがあったり、密航常習のばあちゃんが保護されたり、不倫妻との決別があったり、浮気していた客室乗務員から予期せぬ妊娠を告げられたり、ローマ行きのボーイング707機に爆弾を持ち込んだ男がいると通報があったりする。

前半1時間はグランドホテル形式の人間模様。空港のジェネラル・マネージャー(バート・ランカスター)と妻のダナ・ウィンター、旅客係ジーン・セバーグ。機長のディーン・マーティンと客室係のジャクリーン・ビセット。滑走路復旧作業にあたる保安主任ジョージ・ケネディ。密航常習婦人ヘレン・ヘイズ。爆弾を仕込んだアタッシュケースを持ち込むヴァン・ヘフリンとその妻モーリン・スティプルトンなど多彩な人物が登場。
もたつかないように、横に長ぁーいシネスコサイズ(トッドAO)を画面分割してワイプするなど、編集に単純な工夫が凝らされているのが面白い。

中年カップルの不和、不倫エピソードが2組あるのはしつこい気がする。ディーン・マーティンの浮気は、もはやギャグとしか思えない。そう言えばランカスターも「地上より永遠に」で同じような不倫男の役をやってた。ふたりの配役はギャグだ。

大空港

1932年「戦場よさらば」でゲイリー・クーパーの相手役を務めたこともある往年の美人女優ヘレン・ヘイズ。どことなく品がありお茶目なおばあちゃんが愉快で可愛い。

大空港

自らスコップを持って雪かきに精出すジョージ・ケネディが頼もしい。

大空港

ローマ行きの搭乗が1時間遅れで始まり、旅客機が離陸してからの後半はスリリングで目が離せなくなる。
爆弾爆発前後のサスペンスが巧い。ここまできっちりした構成の脚本、編集は、最近の映画ではなかなかお目にかかれない。短いショットをごちゃごちゃ繋ぎ合わせて、音楽と効果音で誤魔化してる安物とは格が違う。

ほとんどセリフがない爆弾男のヴァン・ヘフリンは適役好演。
その奥さんを演じていたモーリン・スティプルトンがとても良い。大衆食堂で働いている生活感、空港で夫を探す焦燥感、旅客機が飛び立ったあとの虚脱感、事故機から降りてくる人たち一人ひとりに狂ったように謝っている姿。このキャラクター、この演技があって本作はドラマの風格が増した。
ランカスターやディーノはストーリーの進行役、客寄せキャスティングだな。

前半のメロドラマがダサいとか、空港のセキュリテイが甘いとか、ストーリーがご都合主義だとか、特撮に迫力がないとか、50年前の映画に現代の感覚でケチつけるのは野暮。
監督はハリウッドの職人ジョージ・シートン。本作と「三十四丁目の奇蹟」が代表作。どちらも冬の話。雪を撮るのが得意なんだろう。
躍動感に満ちた格好良いタイトルバックの音楽は巨匠アルフレッド・ニューマン。たしかこれが遺作だった。

娯楽大作は作家性が希薄だからと敬遠する人もいるけど、おれは大好き。莫大な製作費を回収するため、より多くの大衆に観てもらうため、いろんな知恵と工夫が凝らされている。

大空港

70

2022/01/30

エアポート'75

エアポート'75|soe006 映画スクラップブック
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AIRPORT 1975
1974年(日本公開:1974年12月)
ジャック・スマイト チャールトン・ヘストン カレン・ブラック ジョージ・ケネディ リンダ・ブレア スーザン・クラーク グロリア・スワンソン マーナ・ロイ ヘレン・レディ エフレム・ジンバリスト・Jr ダナ・アンドリュース ビヴァリー・ガーランド リンダ・ハリソン ロイ・シネス シド・シーザー

コロンビア航空のジャンボ旅客機に自家用小型機が衝突。操縦室に穴が空き、機関士は即死、副操縦士は機外に放り出され、機長は瀕死の重傷を負う。
操縦士不在となったボーイング747の操縦桿握るのは客室乗務員のカレン・ブラック。
本人役で出演しているグロリア・スワンソン以下、乗客の顔ぶれは賑やかだが、賑やかなだけでストーリーに絡む重要人物はいない。ジャンボ・ジェットの機内は、ほぼカレン・ブラックの一人舞台となる。苦手なルックスの女優さんなのにアップが多い。

エアポート'75

チャールトン・ヘストンとジョージ・ケネディがサポートしているので、旅客機は無事空港に着陸する。脱出シュートを滑り降りるスワンソンはボデイダブル。当時76歳のスワンソンにアクションは無理。怖がってる演技でスタントウーマンが顔を隠して滑り降りている。腎臓の手術を受けにゆく少女リンダ・ブレアは、座席に横たわっているだけ。気分が悪くなって緑色のヘドを吐き散らしたりはしない。

エアポート'75

本物のジャンボ機が延々と低空飛行するシーン、軍用ジェットヘリからの決死の乗り移りスタントが最大の見もの。

監督は「刑事コロンボ」や「警部マクロード」などユニバーサル製作のTVMを撮っていたジャック・スマイト。

機中で上映されているのは「アメリカン・グラフィティ」。ジョージ・ルーカスがはじめて日本で紹介された映画。シド・シーザーは出ていない。

「アメリカン・グラフィティ」は1973年作品だが、日本では本作と同じ年の正月に公開。この年の正月興行は例年になく賑やかだった。センサラウンド方式の音響装置で客を呼んだ「大地震」、ジェームズ・ボンドの新作「007/黄金銃を持つ男」、高倉健とロバート・ミッチャムが共演したシドニー・ポラック監督の「ザ・ヤクザ」、アラン・ドロン主演「個人生活」、レイ・ハリーハウゼンの特撮冒険活劇「シンドバッド黄金の航海」など話題作が目白押し。邦画は、松竹が定番「男はつらいよ 寅次郎子守唄」、東映が「新仁義なき戦い」、東宝は山口百恵第一回主演「伊豆の踊り子」と小松左京原作の「エスパイ」。最大の話題作は「エマニエル夫人」でした。

60

2022/01/31

エアポート'77/バミューダからの脱出

エアポート'77/バミューダからの脱出|soe006 映画スクラップブック
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AIRPORT '77
1977年(日本公開:1977年04月)
ジェリー・ジェームソン ジャック・レモン ジェームズ・スチュワート リー・グラント ブレンダ・ヴァッカロ オリヴィア・デ・ハヴィランド ジョセフ・コットン クリストファー・リー ジョージ・ケネディ ダーレン・マクギャヴィン パメラ・ベルウッド キャスリーン・クインラン ロバート・フォックスワース ロバート・フックス モンテ・マーカム 

大富豪ジェームズ・スチュワート所蔵の美術品と往年のスター俳優をどっさり積んだ自家用ジャンボ機がハイジャックされる。犯人たちの操縦ミスによりジェット機はバミューダ海域に墜落。合衆国海軍による乗客救出作戦が展開される。ハラハラドキドキの海洋サスペンス映画。

「大空港」ではヘレン・ヘイズ、「エアポート'75」ではグロリア・スワンソンと、往年のスターを出演させるのがシリーズの呼び物のひとつとなっているが、今回はジェームズ・スチュワート、オリヴィア・デ・ハヴィランド、ジョセフ・コットンと大盤振る舞い。英国のクリストファー・リーまで出ている。

エアポート'77/バミューダからの脱出

大富豪役のジェームズ・スチュワートは撮影当時69歳。アクション場面は無理とみえてジャンボ機には搭乗せず、ジョセフ・コットン(当時71歳)もハヴィランドの涙を拭うくらいしか動いていない。

エアポート'77/バミューダからの脱出

ちなみに 1916年東京生まれのオリヴィア・デ・ハヴィランドは 2020年7月に 104歳で亡くなられています。「ロビンフッドの冒険」のマリアン姫、可愛かったなあ。

エアポート'77/バミューダからの脱出

クリストファー・リーは「ポセイドン・アドベンチャー」のシェリー・ウィンタースに負けじと献身的な活躍。機長ジャック・レモンもずぶ濡れの大奮闘。レモンの恋人役がブレンダ・バッカロなので前作「エアポート'75」のカレン・ブラックより好感度アップ。

エアポート'77/バミューダからの脱出

前作との比較でいえば、個々の乗客たちにドラマが用意されているのが良かった。脚本家は「タワーリング・インフェルノ」を見て学習したのだろうか。

クリストファー・リーの妻を演じたリー・グラントが、ちょっとしたアクセントになっている。シリーズ通して出演しているジョージ・ケネディは、出番も少なく、ただ顔を見せただけ。

エアポート'77/バミューダからの脱出

アメリカ海軍全面協力のもと撮影された大掛かりなジャンボ機浮上作戦が最大の見せ場。こんなとき頼りになるのは、充実した装備と訓練された軍隊です。

エアポート'77/バミューダからの脱出

タイトルは「エアポート」なのに、海洋サスペンスなところがグッドなアイデアでした。

65

映画採点基準

80点 オールタイムベストテン候補(2本)
75点 年間ベストワン候補(18本)
70点 年間ベストテン候補(83本)
65点 上出来・個人的嗜好(78本)
60点 水準作(77本)
55点以下 このサイトでは扱いません

個人の備忘録としての感想メモ&採点
オススメ度ではありません