キング・コングがやってくる|映画スクラップブック


キング・コングがやってくる(6本)

2021/03/17

キング・コング

キング・コング|soe006 映画スクラップブック
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KING KONG
1933年(日本公開:1933年09月)
メリアン・C・クーパー アーネスト・B・シュードサック フェイ・レイ ロバート・アームストロング ブルース・キャボット フランク・ライチャー サム・ハーディ ノーブル・ジョンソン ジェームズ・フラヴィン

スカル島に着いてからの恐竜オンパレード、怒涛の展開。
何度見ても面白い。怪獣映画の原点にして永遠の名作。

キング・コング

ウィリス・オブライエンのストップモーション・アニメ、芸が細かい。
ユーモラスな味付けが絶妙。

マックス・スタイナーの音楽が凄い。劇伴音楽の古典であり永遠の名作。

70

2021/03/18

キングコング対ゴジラ

キングコング対ゴジラ|soe006 映画スクラップブック
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KING KONG VS GODZILLA
1962年(日本公開:1962年08月)
本多猪四郎 高島忠夫 浜美枝 佐原健二 藤木悠 有島一郎 若林映子 平田昭彦 田崎潤 大村千吉 小杉義男 沢村いき雄 根岸明美 松村達男 松本染升 堺左千夫

東宝創立30周年記念超大作。
総天然色(イーストマンカラー)シネマスコープ(東宝スコープ)。
1933年の「キング・コング」をみて特技監督を志したという円谷英二にとっては、夢のような仕事だったのではなかろうか。

戦時を思い起こさせる暗い作風の「ゴジラ」(1954年)から8年を経て、もはや戦後ではない昭和37年、高度経済成長期の日本を象徴する明るく陽気なストーリー。

テレビの聴取率アップのためスポンサー(パシフィック製薬)の宣伝部長(有島一郎)は、南海のファロ島に棲む巨大なる魔神を日本に輸送するようテレビ局に要請。

キングコング対ゴジラ

制作スタッフの高島忠夫と藤木悠が猟銃を携え(たった二人で)、おもしろ通訳の大村千吉をガイドにファロ島に赴き、コングの捕獲に成功する。

キングコング対ゴジラ

折しも北極海で氷漬けになっていたゴジラが覚醒し松島湾に上陸、首都目指して南下。
かくして日米怪獣対決の幕は切って落とされた。ガオー、ガオー!

脚本は関沢新一。以後、これが東宝怪獣プロレス・シリーズの雛形となった。
ヒロイン(浜美枝)は、電車に乗るたび怪獣に襲われる。
まったくもってバカバカしいストーリー。間抜けな登場人物とその演技。

音楽(伊福部昭)だけは永遠不滅。

キングコング対ゴジラ

60

2021/03/18

キングコングの逆襲

キングコングの逆襲|soe006 映画スクラップブック
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KING KONG ESCAPES
1967年(日本公開:1967年07月)
本多猪四郎 ローズ・リーズン 宝田明 リンダ・ミラー 浜美枝 天本英世 沢村いき雄 堺左千夫 田島義文 草川直也 桐野洋雄 黒部進 伊吹徹 鈴木和夫 北竜二

東宝創立35周年記念映画。メインタイトルの前に「RKOと提携して製作した」とのタイトルが出る。パチもんじゃないぞ、ということか。
コングはオリジナルと同様に南海の孤島に棲んでいる。肉食恐竜(ゴロザウルス)と巨大ヘビと格闘するのもオリジナルを踏襲している。さらに、金髪女性(リンダ・ミラー)に一目惚れするのも一緒。「キングコング対ゴジラ」でやけにデカかった身長も20メートルに修正され、よりオリジナルに近い造形。

キングコングの逆襲

飛び蹴りを得意技にしているゴロザウルス、電波でコントロールされているメカニコングとの東京タワーでの格闘がみどころ。

頻繁にインサートされる人間たちの(間抜けな)リアクションが興ざめ。

スパイ映画ブームの1967年夏、「007は二度死ぬ」と同時期に公開され、本作の主役(ローズ・リーズン)はどことなくショーン・コネリーに似た容貌。そっくりさんオーディションで選ばれたのだろうか?

キングコングの逆襲

マダム・ピラニア(浜美枝)が、北極基地のラウンジで誘惑する場面なんかは、明らかにボンド映画風に撮っている。洋酒(ウイスキー?)をグラスに注ぐ場面が何度かあったが、とても安っぽく不味そうだった。
浜美枝はボンドガールをやったうえでの配役だったろうけどミス・キャスト。彼女の可愛いルックスは非情な女スパイに見えない。北極基地のセットも、「ドクター・ノオ」あたりの秘密基地を模倣して作られている。

キングコングの逆襲

天本英世が悪の天才科学者ドクター・フーで怪演。下の歯並びがガタガタで汚らしい。
モンド島に独り住んでいる長老を演じるのは沢村いき雄。手足バタバタさせてデタラメ現地語を喚いているが、「キングコング対ゴジラ」の大村千吉には敵わない。

フー博士の手下は、田島義文やら堺左千夫やら黒部進やら、いつもの東宝特撮オールスターズ。併映だった「劇場版ウルトラマン」(既放映のTVシリーズを何本か編集したもの)では、本作の悪役が改心してハヤタ隊員となり、ウルトラマンに化けて怪獣と戦う。怪獣大好きな子どもは、そんなところを面白がっていた。

ご都合主義なストーリーでも、テンポが早いから最後までダレなく見られる。
やっぱり伊福部昭の音楽が良い。コングとスーザンのBGMは(似たような楽曲は「緯度0大作戦」など他にもあるけど)いかにも伊福部らしい名曲。

60

2021/03/25

キングコング

キングコング|soe006 映画スクラップブック
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KING KONG
1976年(日本公開:1976年12月)
ジョン・ギラーミン ジェフ・ブリッジス ジェシカ・ラング チャールズ・グローディン ジャック・オハローラン ジョン・ランドルフ ルネ・オーベルジョノワ ジョン・ローン

ディノ・デ・ラウレンティスが巨額の製作費を投じたリメイク版。
オリジナルが密林冒険映画の流れで企画されたのに対し、1976年度版はその時代を反映し、野生動物保護キャンペーンみたいなストーリーになっている。

公開前はコンピュータ制御の実物大コングが宣伝され話題になったが、実際は(ニューヨークのショウ場面で)数秒程度しか出てこない。
ほとんどの場面が、リック・ベイカーによる着ぐるみ(ベイカー本人が実演)とミニチュア・セットで撮影されている。これが素晴らしい出来で、コングの喜怒哀楽を表情豊かに表現、否応なく感情移入させられる。

キングコング

精密なミニチュア・ワークを売り物としていた東宝が「空の大怪獣ラドン」や「モスラ」あたりをピークに、特撮予算をケチっているあいだに、ハリウッドの技術は凄まじい勢いで進歩していた。光学合成なんかも「キングコングの逆襲」と比べると雲泥の差。
俳優たちのリアクションが、合成された特撮ときれいにシンクロしているので違和感なくみられる。コングの掌に握られたヒロイン(ジェシカ・ラング)の動きは、計算され見事にマッチしている。コングが頬を膨らませ息を吹きかける滝の場面が出色。
濃霧の海に未開の島が現れる場面も素晴らしい。

キングコング

本作が映画デビューだったジェシカ・ラングは、素直で天真爛漫、ちょっと間抜けな可愛いブロンド美女、つまりコメディ映画のマリリン・モンローを演じている。公開当時はセクシーなだけのモデルあがりが素人芝居しているように思っていたが、これが「素」ではなく「演技」だったことを、その後の彼女のキャリアで知ることになる。

対して男優陣は、ジェフ・ブリッジスもチャールズ・グローディンも精彩を欠く。
曲者エド・ローター(ハリウッドの成田三樹夫?)も見どころないまま、丸太橋から墜落死。こんな誰が演じてもいいような端役、出なくてもいいのに。

キングコング

孤島でコングと格闘するのが大蛇だけというのが(怪獣好きには)寂しいが、特撮ロマンス映画として上出来。ジョン・バリーの音楽もいい。

東宝東和が輸入した日本公開版は134分。現在流通しているユニバーサル・ジャパン販売のDVD(STUDIO CANAL制作なので翻訳字幕がよろしくない)は、北米公開版の129分。カットされた(ジェシカの船室を窓から覗いていた乗組員が海に落とされる、などの)シーンは、特典映像に入っている。

いまとなっては複雑な気持ちにさせる、月明かりに浮かぶ世界貿易センタービル。

キングコング

70

2021/03/27

キング・コング

キング・コング|soe006 映画スクラップブック
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KING KONG
2005年(日本公開:2005年12月)
ピーター・ジャクソン ナオミ・ワッツ エイドリアン・ブロディ ジャック・ブラック トーマス・クレッチマン コリン・ハンクス ジェイミー・ベル エヴァン・パーク

「ロード・オブ・ザ・リング」三部作の成功(第三部は2003年度アカデミー賞を11部門で受賞)でがっぽり儲けた金を湯水の如く注ぎ込んで、贅沢三昧やりたい放題に詰め込んだ、ピーター・ジャクソンによる2005年度リメイク版(製作費2億700万ドル!)。
クレジットの最後にオリジナル製作者たちへの献辞を出すまでもなく、真っ向からオリジナルを尊重し、ストーリーを踏襲している。
時代設定も1933年で役名も、タイトルデザインも同じ。アン・ダロウはりんごを万引する。ニューヨークの劇場でピットのオーケストラが、マックス・スタイナーのオリジナルスコアを演奏しているのが嬉しかった。

キング・コング

ファーストシーンでアル・ジョルスンの歌をBGMに大恐慌時代のニューヨークをたーっぷり見せたり、主演女優を探している映画監督のデナム(ジャック・ブラック)が、フェイ・レイやメリアン・C・クーパーの名を出したりするのは、まぁ良いとして、髑髏島に上陸するまでに55分を費やすのは如何なものか。
「キング・コング」のリメイクはこれで打ち止め、これが最終決定版、いま出来るものは全部出し尽くす、という意気込みは結構だが。観客よりも製作者のほうが楽しんでしまってる感じが強い。

登場人物はこれまでのコング映画のどれよりも、キャラが濃く説明されているものの、ドラマを盛り上げるのにまるで役に立っていない。ヒロインのナオミ・ワッツは綺麗(ジャングルを引っ張り回されても、服の汚れが目立たないくらいに綺麗)で良いのだけど、ジャック・ブラックは迫力不足(子どもたちと一緒にロックやってるのがお似合い)。カール・デナム役はオーソン・ウェルズ(ハリー・ライム)くらい灰汁が強く、愛嬌のある役者が欲しかった。恋人ドリスコル(曲がったデカ鼻が気になってしようがないエイドリアン・ブロディ)その他大勢は、オリジナル版でもラウレンティス版でもどうでもいい扱いなので、本作でもサラッとやってたら40分くらいは短縮できたように思う。
ポスターを落書きされたスター俳優(カイル・チャンドラー)がチラッとクラーク・ゲイブルの真似するところとか面白かったけど、本筋と関係ない遊びでしかないもの。
そうした本筋とは関係ないところに拘ってるぶん長くなり、ドラマが薄味になったように思う。 主役はコング。デナムやアンは狂言回しでしょ? 脚本の練(ねり)が足らなかったんだろうな。

キング・コング

もっと本質的なところを突っ込めば、ラストの「美女が野獣を殺した」はコングが片想いだからこそのセリフだ。コングとアンを相思相愛の関係で描くのであればぜんぜん意味がない。その点、本作とおなじ相思相愛で美女と野獣を描いたラウレンティス版のほうがちゃんとしている。

凶悪な人相の髑髏島住民たちは、コング出現後まったく姿を消してしまうし、年中霧に包まれていたのでこれまで発見されなかったはずの髑髏島なのに、コングが休息する岸壁から遠く水平線に沈む夕陽が拝めるし。銃器の扱いに不慣れな若者がパニクって撃っている自動小銃の弾丸は百発百中で巨大蟲にあたり、怪獣大暴れで大騒ぎのニューヨークも、通り一本抜けると人通りが途絶えしんと静まり返ってる。ほんといい加減だなあ。
船員たちの死を、中途半端に扱っているのも気に入らない。

最新技術を投入しての特撮スペクタクルは、これでもかっ! ってな具合に素晴らしく、モーションキャプチャーによるコング(アンディ・サーキス)が最高! 恐竜相手に見得を切り、不器用な愛情表現に男の哀愁を漂わせる。こいつは大河内傳次郎の丹下左膳だ。

キング・コング

髑髏島のセット、そこに巣食う古代恐竜、猛禽類、(うじゃらうじゃらと気色悪い)巨大昆虫類、盛りだくさんでお腹いっぱい。
特撮マニアならずとも必見の見世物映画だが、上映3時間では(「ロード・オブ・ザ・リング」と同様)2度3度と繰り返し見る気になれないのが最大の欠点(と言いつつ、今回は2度目だった)。更に長い201分のディレクターズ・カット版がDVDで販売されているそうだが、もう結構、お腹いっぱいです。

70

2021/03/30

キングコング:髑髏島の巨神

キングコング:髑髏島の巨神|soe006 映画スクラップブック
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KONG: SKULL ISLAND
2017年(日本公開:2017年03月)
ジョーダン・ヴォート=ロバーツ トム・ヒドルストン サミュエル・L・ジャクソン ジョン・グッドマン ブリー・ラーソン ジン・ティエン トビー・ケベル ジョン・オーティス コーリー・ホーキンズ ジェイソン・ミッチェル シェー・ウィガム トーマス・マン テリー・ノタリー ジョン・C・ライリー MIYAVI ユージン・コルデロ ウィル・ブリテン マーク・エヴァン・ジャクソン リチャード・ジェンキンス

クリストファー・ノーラン版「バットマン(ダークナイト)」三部作や「パシフック・リム」など、特撮映画を専門に製作しているレジェンダリー社のキングコング。
今回のコングはオリジナルから離れ、地下空洞世界に巣食う怪獣たちを、その出入口である髑髏島の洞窟から出ないよう監視している守護神という新設定(平成「ガメラ」と近似してる)。

キングコング:髑髏島の巨神

ストーリーは思いっきりB級に傾いた。
今度のは体長31.6メートルだそうで、東宝怪獣並みにでっかい。若い女性が好き、という性癖だけは受け継いでいる。最新のデジタル技術を駆使した特撮(ILM)が最大のポイント。
髑髏トカゲとのラストバトルは大迫力。
監督は宮崎駿のアニメ映画(「天空の城ラピュタ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」)に傾倒しているそうで、それらを模倣(オマージュ)した場面が散見される。

キングコング:髑髏島の巨神

CGアクション映画はいささか食傷気味だけど、サミュエル・ジャクソンとジョン・グッドマンが出ていたので、いちおう見てみた。ドラマ部分の作りが、紋切り型なわりに雑で安っぽく、キャラが薄っぺらい。
ジョン・C・ライリー扮する第二次大戦の生き残りとか良い設定なのに、うまく活かされていない。戦闘に憑かれ誤った行動にはしる指揮官(サミュエル・ジャクソン)とか、故郷を想う若い兵士の死とか、「またかよ」ってうんざりしてしまう。

喜怒哀楽を表情に出さず、無言で意思疎通する原住民がユニークでおもしろかった。

キングコング:髑髏島の巨神

60

映画採点基準

80点 オールタイムベストテン候補(2本)
75点 年間ベストワン候補(18本)
70点 年間ベストテン候補(83本)
65点 上出来・個人的嗜好(78本)
60点 水準作(77本)
55点以下 このサイトでは扱いません

個人の備忘録としての感想メモ&採点
オススメ度ではありません