スピルバーグ:特撮ファンタジー2本立て|映画スクラップブック


スピルバーグ:特撮ファンタジー2本立て(2本)

2020/07/26

タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密

タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密|soe006 映画スクラップブック
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THE ADVENTURES OF TINTIN: THE SECRET OF THE UNICORN
2011年(日本公開:2011年12月)
スティーヴン・スピルバーグ ジェイミー・ベル アンディ・サーキス ダニエル・クレイグ サイモン・ペッグ ニック・フロスト

スピルバーグ初の3Dアニメ。事件記者の少年タンタンが愛犬スノーウィを相棒に、沈没した軍艦ユニコーン号の財宝を求めて、陸海空をめぐる大冒険。

かつてラルフ・バグシが、実写フィルムからセル画を起こすロトスコーピングなる技術で製作した「指輪物語」(1978年)から幾年月。最新の3Dパフォーマンス・キャプチャーは、アニメのキャラクターにほぼ実写と同様の動きや表情を造りあげた。
ここまでくると映画の原点、リュミエール兄弟の「列車の到着」とジョルジュ・メリエスの「婦人の雲隠れ」のどちらがより映画的か? どちらが映画の本流か? という命題を再考したくなる。

海外漫画に疎いので、タンタンというキャラクターについて、ほとんど知らなかった。はじめて名前を目にしたのは、ティム・バートンが登場した80年代なかば。バートンのデビュー作「ピーウィーの大冒険」(1985年・日本未公開)のドタバタ・ネタに、ベルギーの漫画「タンタンの冒険」シリーズからの借用が多いと指摘した人がいたからだった。そこで、キャラの名前だけは記憶していた。
一時はロマン・ポランスキーが監督する企画もあったように思う。

「インディ・ジョーンズ」シリーズのジュヴナイル・アニメ版と言っていい内容。ワンカットで移動撮影(撮影と呼んでいいのか?)されたクライマックスの争奪戦は圧巻。ジョン・ウィリアムズの音楽も、レイダースの聖櫃争奪シーンと同じようなノリで、ゴリゴリ押してくる。
子どもの頃に観ていたら、イッパツで虜になっていたと思う。

65

2020/07/26

レディ・プレイヤー1

レディ・プレイヤー1|soe006 映画スクラップブック
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READY PLAYER ONE
2018年(日本公開:2018年04月)
スティーヴン・スピルバーグ タイ・シェリダン オリヴィア・クック ベン・メンデルソーン T・J・ミラー サイモン・ペッグ ハナ・ジョン=カーメン 森崎ウィン マーク・ライランス リナ・ウェイス フィリップ・チャオ

仮想現実リスクへの警鐘メッセージなどという陳腐かつ高尚なテーマ性なんぞこれっぽちも持ち合わせていないペラペラしたストーリーに、これでもか!ってくらいサブカル・ガジェットをブチ込んだ、闇鍋風生煮え料理。

製作はコンピュータ・グラフィックス全盛の2018年。描かれている未来社会は2045年。しかし、そこに散りばめられているのは1970-80年代のサブカル・ガジェット。
世代を超えた、というより、世代を(製作者世代に)絞ったがために、なんとも歪んだ見世物映画(21世紀CGによる70-80年代映画のパロディ)になっている。
そこのところ鋭く分析すると、異様な文化史が垣間見えて興味深くもあるが、そこまで真面目に観る映画でもなかろう。

登場人物は善玉悪玉双方薄っぺらく魅力に乏しく、宝探しの3つの謎解きはご都合主義なわりに、状況設定はごちゃごちゃしていて何だかよく分からん。それにしても、ここまでナレーションに頼ったスピルバーグ映画って、これまで無かったのではなかろうか。
貧しい人々がヴァーチャル・ゴーグルを付けて、手足を虚空に振り回している間抜けな場面は面白かった。こっちの世界をネオ・レアリズモ風に描いた映画があってもいいんじゃない?

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「AKIRA」「フレンチ・コネクション」「ジュラシック・パーク」「キング・コング」と立て続けに展開されるカー・チェイス、「シャイニング」のCG再現、お腹から飛び出すチェストバスター(エイリアン)、見境なしに襲いかかるチャッキー人形、「ロード・オブ・ザ・リング」様式の大合戦、メカゴジラと機動戦士ガンダムとアイアン・ジャイアントが三つ巴で戦い、ダンスとなれば(嗚呼、これが古典になってしまったのか!)「サタデー・ナイト・フィーバー」のトラボルタ。
目まぐるしくオチャラケ三昧の2時間20分。

くだらない、と一言で片付けてもいいし、おもしれぇーと狂喜して、周囲に薀蓄吹きまくってもいい。
版権使用許諾の手続きだけでも、相当なものだったと思うし、こういう企画が製作されたことを、まずは奇跡として評価しよう。

お祭り企画の映画に文明批判だの社会性は最初から期待していなかったものの、古い映画ファンは、やっぱり大作映画には大作なりの風格が備わっていて欲しいと願うのであります。

65

映画採点基準

80点 オールタイムベストテン候補(2本)
75点 年間ベストワン候補(18本)
70点 年間ベストテン候補(83本)
65点 上出来・個人的嗜好(78本)
60点 水準作(77本)
55点以下 このサイトでは扱いません

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