アート・ペッパーの「今宵の君は」
December 27, 2006
本日のミュージックは、アート・ペッパー。曲はジェローム・カーンの「The Way You Look Tonight」、邦題「今宵の君は」。
1954年8月25日の録音ですから、スタン・ケントン楽団を辞めて独立した後の、第1期麻薬中毒時代。
ハリウッドの「サーフ・クラブ」を拠点として、ピアノのハンプトン・ホーズやドラムスのラリー・バンカーたちとレギュラー・グループで演奏しつつ、体調が良いときにちょこまか録音していた、サヴォイ・セッション(3回目)からの1曲。
昨日のスタン・ゲッツも素晴らしいインプロビバイザーでしたが、ペッパーも凄い勢いでアドリブ・メロディを奔出させてます。
こんこんと湧き出る石清水、なんてもんじゃない。
まるで鉄砲水。
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サーフ・ライド アート・ペッパー
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テナー・サックスのジャック・モンテローズがメロディのリードをとっているあいだも、その隙間を縫ってコマネズミのように、すばしっこく動き回る様は、まるで、歩くのを覚えたばかりの赤ん坊。
とにかく音を出したくて、出したくて出したくて、辛抱我慢できない状態。次から次へとヒラメキがほとばしり、出るにまかせてやりたい放題。自由に飛び回る、自在に跳ね回る。才能と欲求不満が音に直結した名演。
いまはCDだからそうでもないけど、LP時代は、この俗っぽいデザインのジャケットをレジに持って行くのに、勇気がいりましたです。
万世橋の石丸電器とかお茶の水のDiscUnionのような、専門知識のある店員がいる店ならよいのですが、歌謡曲ばかり置いている田舎のお店では買いにくい。
ネット通販で、鼻毛カッターが(女性客メインで)ベストセラーになる理由が、よく分かります。