soe006 クリスマス・プレゼント 第1話

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クリスマス・プレゼント 第1話

December 21, 2005

もうすぐクリスマス。
おじいさんは中学生の孫に、パソコンを贈ってあげようと思いました。
しかし、最近のエレクトロニクス事情に疎いおじいさんは、どんなものを買ったらよいのか、まったく見当がつきません。そもそもパソコンなる機械がなにをするものなのか、さっぱりわからない。テレビではインターネットとか、年賀状も作れますとか言ってるけど、ぜんぜん理解できません。銀行のATMだって、間違ったボタンを押して預金残高が消ると怖いから、キャッシュカードも作っていないくらいです。
しかし、学校でもパソコンを使った授業が増えていると新聞に書いてあったし、これからの教育に必要不可欠なものであることは間違いありません。可愛い孫には、末永く一生使えるような立派なパソコンをプレゼントしてやろうと思いました。
おじいさんは、テレビ・ショッピングで「すぐにインターネットにつなげるし、これ1台でなんでもできます」と紹介されていた商品に決めました。インターネットにつなげる? なんだかよく分からないけど、最高な機能がたくさん付いているらしい。ギガヘルツがクラス最大で、今ならメガバイトが無料で付いてくるという売り文句が決め手となりました。即座に電話をかけ、孫の住所に送りました。値段も最高でした。
その夜、おじいさんは孫が文化勲章を受章している夢を見たそうです。

孫の母親、つまりおじいさんの娘から電話がありました。
さぞかし喜んでいるのだろうと、ニコニコして受話器を持ったおじいさんの顔が硬直しました。
「お父さんがパソコンなんか買い与えたりするもんだから、良男は夜更かしして朝起きれなくなっちゃいましたよ。ええ、登校拒否です、引きこもりです。それで毎晩家族が寝静まったあとで、エッチなホームページを食い入るように見ているんです」
「え、パソコンで、そんなものが見られるのか?」
「もうすごいですよ。常識では考えられないような滅茶苦茶な体位とかバンバンモロモロで、ハチャハチャグッショリですよ。パソコンが送られてきてから、ティッシュの使用量が5倍になりました。良男の将来はまっくらです。どうしてくれるんですか!」
おじいさんはショックで返す言葉もありませんでした。

それからしばらくして、おじいさんは死にました。
近所の人の話によると、あの電話があった日から外出もしなくなり、ゲートボールの練習もやめてしまったそうです。心配した友人が訪ねていくと、いつも寝ており、蒼白い顔をしていたそうです。

おじいさんの部屋には、孫にプレゼントしたものと同じパソコンが置いてありました。
ハードディスクに残っていた情報は、故人の名誉のため破棄処分されたそうです。

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