シナリオ書きのエディタ
April 15, 2006
そんなわけで、文章作成は使い慣れたテキストエディタが1本あれば充分。
オッケであります。
ところが、シナリオってのは特殊な書式でありまして、柱、ト書き、セリフ、それぞれに字下げのルールがあるんですね。
本当は決まりなんてないけど、慣例となっている書式があります。
シナリオは設計図であり作業指示書ですから、現場で働く人たちがサッと読んで、すぐに仕事に取りかかれるものじゃないと困ります。で、ある程度のルールを決めていた方が、読む側も呑み込みやすい。そこで慣例というものが出来てきたんですね。
例えば「勇作がやって来る」と、「やって来る勇作」とでは、撮りかたが違うんですね(そういうのも知らない監督が増えてますけど)。
また、そういう規則というか法則がないと、シナリオ教室の講師さんたちが、仕事失ってしまいますから。
柱は、行の頭にシーン番号を書き、場所と時間を指定する。
ト書きは、2マス空けて(3マス空ける人もいる。そのほうが読みやすい)、次の行に跨るときはそれも2マス(または3マス)空けて続ける。
セリフは、行の先頭に役名を書き、続けてセリフを「」(カッコ)でくくったなかに書く。カッコト書きといって、「」でくくったセリフのなかに、()でくくったト書きを書く場合もあり。次の行に跨るときは、1マス空けて続ける。
例えばこんな感じ。
○ 吉野屋・店内(夕方)
混んでいる店内。客はサラリーマンが
多い。店に入って来る勇作。
空席を探す。
店員「お一人様ですか、こちらどうぞ」
勇作「おお、サンクスサンクス」
店員「ご注文どうぞ(と湯飲みをカウンター
に置く)」
勇作「(メニューも見ないで)……カルボナ
ーラ、食後にイチゴのシャーベットと珈琲
ください」
店員「並一丁! 味噌汁お新香」
勇作、茶を飲む。
普通にテキストエディタを使って書くと(ワープロでも同じだけど)、すこぶる面倒くさい。セリフとト書きの字下げも、インデント指定がごちゃごちゃになる。あとで補筆する場合に混乱してしまう。
そこで、エディタでベタ打ちしたテキストを、上記の書式に変換して印刷してくれるエディタを自作しました。
元ネタは、前に紹介した低機能メモ帳。これ、オープンソースといって、プログラムが公開されていたんですね。ご自由に改造してもらっていいですよ、ってことです。
で、ありがたくそれをいろいろイジって、キー1個でシナリオ書式に変換してくれるエディタを、数年前に作りました。
軽くて便利だったのですが、3年前にHDDが天国行った際に、道連れになってしまいました。
……ので、また新しいのを作ろうかと思ってた矢先、見つけたのがコレです。
VerticalEditor TrueStories FreeSofts
ベタ打ちテキストをシナリオ形式に一発変換。原稿用紙や他の書式へのコンバートもできます。書式は自由にカスタマイズできるので、20行20マスなんていう非効率的なレイアウトも自分の好みにあわせて変更可能。入力した文字数を自動でカウントしていて、原稿用紙換算枚数を計算してくれるので多い日も安心です。横書きで入力、ボタンひとつで縦書きにも変換されます。テキストを実際に印刷された際の段組にして表示印刷してみたい方には、すごく便利だと思います。
まず、テキストエディタでベタ打ち(エディタは、Crescent Eveを使用)
で、書き終わったら、全文コピーで、VerticalEditorにペースト。
20x20のB5用紙印刷用に一発で変換。
ページ印刷の有無とか、フォントの種類、サイズ、マージン(余白)とか設定して、あとは印刷ボタンをポチするだけ。
これが印刷イメージ。
細かい設定項目をひとつひとつ指定するのが、一見面倒くさそうだけど、設定内容は別ファイルに保存されるので、最初1回だけやっとけばおっけ。
他にA4サイズ用とか、30x20行用とか、20x10行のペラ用とか、いろいろ作っておけば、即座にレイアウト変更できます。
頭の悪い脚本家でも、これなら大丈夫。
これ本当はアウトラインプロセッサなので、場面やシークェンス毎にテキストを分割して入力できるし、それらをあとで入れ替えたり並べ替えたりするもの簡単便利です。
……っても、私は印刷するときしか使ってませんけどね。
(起動が遅いから)