ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
Ludwig van Beethoven(1770-1827)

生年の出来事……ボストン虐殺事件/後桃園天皇即位(明和7年)
没年の出来事……イギリスが小笠原諸島の領有を宣言(文政10年)
1770年ボンに生まれ、1892年よりウィーンを本拠に活動したルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンは、一般的にハイドン、モーツァルトとともにウィーン古典派の作曲家として知られています。たしかに彼はハイドンやモーツァルトによって完成した古典様式から出発しましたが、常に従来の様式を越えていこうとした作曲家でした。
18世紀後半に起こった自由、平等、人間性の尊重といった新しい思想は、ベートーヴェンに強く影響を与えました。初期の作品からもうかがうことができる、従来の音楽様式を革新してゆこうとする姿勢は、そうした新しい時代の精神に沿った音楽の在り方を追求した成果ともいえます。しかし、新しい時代にふさわしい作風が確立されたのはやはり中期で、1804年に発表された交響曲第3番からその後10年間の作品群は、詩人ロマン・ロランによって「傑作の森」と命名されました。人間の内面から外へと向かうダイナミズムによって古典様式を拡大したベートーヴェンは、後期になるとさらに思索的な内向性を深めるようになり、古典様式の束縛から自由になって独自のスタイルと書法を極めていきます。