ヴァイオリン・ソナタ第5番 ヘ長調 「春」 作品24
ベートーヴェンが作曲した10曲のピアノとヴァイオリンのためのソナタで、第9番「クロイツェル」と並んで人気が高い第5番「春」。
ニックネームの「春」は、ベートーヴェン自身の関与はなく、このソナタがひときわ明るい希望と幸福感に満ちているため、誰かが「春のソナタ」と呼び始めたのがいつしか定着したとのこと。
純粋で打算のない、若者の恋愛を感じさせる、爽やかなソナタです。
「交響曲第1番」と「交響曲第2番」の間、1800年から翌1801年にかけて作曲された作品で、それまでの作品にみられたハイドンやモーツァルトの影響は薄れ、より自由でロマン的な傾向が現れています。
楽譜は、1801年にウィーンのモロ社より出版され、モーリッツ・フォン・フリース伯爵に献呈されていますが、初演記録は残っていません。
楽器編成:ピアノ、ヴァイオリン
楽曲構成:
第1楽章 アレグロ ヘ長調 4分の4拍子 ソナタ形式
第2楽章 アダージョ・モルト・エスプレッシーヴォ 変ロ長調 4分の3拍子 自由な変奏曲
第3楽章 スケルツォ アレグロ・モルト ヘ長調 4分の3拍子 複合三部形式
第4楽章 ロンド アレグロ・ノン・トロッポ ヘ長調 2分の2拍子 ロンド形式
演奏時間:約20分
ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第5番&第9番
ダヴィド・オイストラフ(ヴァイオリン)
1. VNソナタ第5番 ヘ長調op.24「春」 1962年 ステレオ録音 Philips |
ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第5番&第9番
イツァーク・パールマン(ヴァイオリン)
1. VNソナタ第9番 イ長調op.47「クロイツェル」 1973年10月(1)、1974年6月(2) ステレオ録音 Decca |
ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第5番&第9番
オーギュスタン・デュメイ(ヴァイオリン)
1. VNソナタ第5番 ヘ長調op.24「春」
1997年12月(1)、2002年1月(2) デジタル録音 |
60年代、70年代、90年代と、それぞれの時代にトップだった演奏者によるディスクを年代順に並べてみました。3枚とも「春」と並んで人気がある第9番「クロイツェル」とのカップリングになっています。
のびやかで軽快、美しい音色のパールマンも魅力ですが、オイストラフ&オボーリンによるロマンの深みある演奏は一頭抜けています。