ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 作品83
ブラームス2番目のピアノ協奏曲は、1858年のピアノ協奏曲第1番から20年以上を経た1881年に完成している。
その間ブラームスは、交響曲第1番(1876年)と第2番(1877年)、「ヴァイオリン協奏曲」、「大学祝典序曲」、「悲劇的序曲」などを発表。管弦楽の扱いも円熟の境地にあり、ピアノ協奏曲第2番はブラームス渾身の野心的大作となった。
1878年、イタリアに旅行したブラームスは、春から夏にかけてのイタリアの気候に感激し、旅行から帰るとすぐにこの印象を音楽化しようと試みる。
いったん中断し、「ヴァイオリン協奏曲」や、「雨の歌」のニックネームで知られる「ヴァイオリン・ソナタ第1番」を優先させた後、再度イタリアへと赴き、1881年夏、ウィーンの近くのプレスバウムで一気に完成させている。
ピアノ協奏曲第2番は全4楽章から成り、演奏時間も約50分を要する。
華やかな超絶技巧のピアノ独奏にオケの伴奏がついているタイプの協奏曲ではなく、ピアノを管弦楽と融合させた、いわばピアノ独奏付の交響曲といえる。
初演:1881年11月9日、ブダペストにて、ブラームス自身のピアノ独奏とアレクサンダー・エルケルの指揮で初演。
ハンブルグ時代の恩師エドヴァルト・マルクスゼンに献呈されている。
楽器編成:
独奏ピアノ、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、ティンパニ、弦5部。
楽曲構成:
第1楽章
アレグロ・ノン・トロッポ 変ロ長調 4分の4拍子 ソナタ形式
第2楽章
アレグロ・アッパッシオナート ニ短調 4分の3拍子 三部形式
第3楽章
アンダンテ 変ロ長調 4分の6拍子 三部形式
第4楽章
アレグレット・グラツィオーソ 変ロ長調 4分の2拍子 ロンド形式
演奏時間:約50分
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ブラームス:ピアノ協奏曲
マリオ・ポリーニ(ピアノ)
1. ピアノ協奏曲 第1番 ニ短調 作品15 1979年(1) 1976年(3) ステレオ録音 |
イタリア人コンビならではの歌心あふれる快演。ポリーニのメカニカルでクールなモダン・タッチと、まばゆい陽光にきらめくアバドのアプローチ。オケが名門ウィーン・フィルだったことで、バランスの良いシンフォニックな空間が創出されている。
新鮮で明るい、新時代のブラームス。
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ブラームス:ピアノ協奏曲第2番
スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ)
1. ブラームス:ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 作品83 1969年(1)、1962-63年(2) ステレオ録音 EMI |
交響曲風の協奏曲らしいシンフォニックな拡がりをみせるマゼール&パリ管弦楽団は、やや明るめの流麗なアプローチ。対するリヒテルは技巧的に間然とするところもなく、音色は重厚で渋いところをみせる。スケールの大きな名演。
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ブラームス:ピアノ協奏曲第2番
ウィルヘルム・バックハウス(ピアノ)
1. ブラームス:ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 作品83 1955年5月、1967年4月 ステレオ録音 Decca |
巨匠バックハウス晩年の輝きを記録したメモリアル盤。限りなく美しい抒情の流れと懐の深いベーム&ウィーン・フィルの響き。枯淡の響きを奏でるバックハウス。
ブラームスへの挽歌といった趣あり。泣ける名演。