低成長時代の音楽鑑賞
April 27, 2004
5年生のときだったと思うけど……
通っていた(田舎の公立)小学校に管理棟舎が新築されたんですよ。
鉄筋コンクリート造りの2階建て(3階建てだったかな?……メチャ昔のことなので、ちょっと記憶が曖昧)。
その頃は、病弱で貧弱な身体と貧乏を根拠に、言われ無き苛めを受けていて……更に俺は他者を受け入れない屈強な精神の持ち主だったので、友だちがなく、昼休みはほとんど図書室で過ごしていました。
嬉しかったですね、図書室が新しくなって。
それまでの図書室は木造で薄暗ぁ〜い雰囲気が漂っている場所だったので、お外で元気良くドッヂボールなんかやってはしゃいでる子供たちに、チョットだけ引け目がありましたが、新しい図書室は窓が大きく陽光がガンガン入ってくるし、新品のテーブルは艶々のピカピカだし、気分だけはすこぶる健康的になりました。
これで図書室の先生が若くて美人だったらパラダイスですが、小学生の分際でそこまで望むのは贅沢が過ぎます。
その日の昼休みもいつものように、図書室で星新一の「ボッコちゃん」か小林宣彦の「オヨヨ大統領」を読んでいたら、お外で騒いでいるお友だちのバカ声に混じって、微かに音楽が聞こえてきたんです。
音楽の先生が、音楽室が新築されたのに伴って購入された新しいステレオ(ヤマハ製だった……これははっきり憶えているんだよな〜)で、レコードを聴いていたんですね。
おいおい、学校の備品を個人の所有物みたいに扱っちゃイケナイんじゃないの? とか意地悪なことは思わなかったけど……うわ〜、ステレオってすごくいい音がするんだなぁ〜とか、オーケストラの音楽って面白いなぁ〜、とか素直に思いました。感動ってヤツです。
こっそり、後ろのほうの席に腰掛けて、一緒に聴かせていただきました。
レコードは、ブルーノ・ワルターの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」。
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モーツァルト:交響曲40番/アイネ・クライネ・ナハトムジーク&序曲集ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア交響楽団
1. 交響曲第40番ト短調 K.550 |
翌日から昼休みは、
シャブ中毒みたいなノリで、連日音楽室に入り浸り。
クレンペラーの「真夏の夜の夢」とか、これは誰の演奏か忘れちゃったけどドヴォルザークの「新世界より」とか、たくさん聴かせていただきました。
そんな出会いがあったので、中学生になって、安っぽいステレオ・プレイヤー(1万円くらい)を親に買っていただいたおり、一緒に購入したLPが、ワルターの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」なんです。B面にモーツァルトの歌劇序曲集が入っているCBS盤。
それ1枚しか持ってないから、溝が無くなるまで繰り返し聴いてました。
(ウソ……そんな簡単にレコードの溝は無くなりません。「いやぁ、溝がすり減っちゃって、これで3枚目だよ」なんて言ってるヤツは、ホラ男爵の血筋の方です)
やっぱり俺はこの手の古風な管弦楽曲が、いまでも好きですね。
他のどんなジャンルの音楽よりも一番しっくりきます。
結局、小学生のときと嗜好が同じ。 恥ずかしながら、まったく成長していません。
って言うか、歳とると子供に還るっていうけど……これって老化現象?