2020年05月|映画スクラップブック


2020年05月|映画スクラップブック

2020/05/12

海底王キートン

海底王キートン
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THE NAVIGATOR
1922年(日本公開:1924年10月)
バスター・キートン キャサリン・マクガイア フレデリック・ブルーム ノーブル・ジョンソン

廃棄処分になる客船を25000ドルで買い取って製作した、バスター・キートンの長編第4作。
世間知らずの富豪の息子(キートン)が国際ギャングの陰謀に巻き込まれ、大邸宅の向かいに住んでいたこれまた世間知らずの海運会社の令嬢(キャサリン・マクガイア)と、(どうみても客船にしか見えない)巡洋艦で大海原を漂流。付近を航行中の船に助けを求めて旗を掲げるが、それが伝染病発生を知らせる旗だったため逃げられ、ついに人喰い土人の島(時代とはいえ人喰いとはエグイな)に漂着。座礁した船をなんとかしようと、潜水服を装着し、海底でカジキやらタコやらと大格闘のキートン。その間に令嬢は人喰いどもに拉致されて、縛られ焼かれ食われそうな絶体絶命の危機を、偶然突然現れた潜水艦に救助されてハッピーエンド。

家事全般を使用人任せだった若い二人だけに、食事するにも大変なトンチンカンぶりを見せて笑わせる。その後、キッチン用具を紐で吊り下げて便利に扱ってる場面は、短編時代にやってたアイディアの再現(作品名は忘れた)。
海底シーンは撮影用のプールではなく、シエラネヴァダ山中にあるタホ湖で、実際に潜って撮影された。防水ボックスにカメラを収め、潜水服のキャメラマンが4週間かけて撮ったそうな。まだ酸素ボンベが開発されていなかった時代のはなし。スゴイなあ。

65

2020/05/12

キートンの大列車追跡

キートンの大列車追跡
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THE GENERAL
1926年(日本公開:1927年02月)
バスター・キートン マリアン・マック グレン・キャベンダー ジム・ファーレイ

南北戦争の最中、北軍のスパイに蒸気機関車「将軍号」と恋人(マリアン・マック)を盗まれた機関士(キートン)が、獅子奮迅の活躍で追跡し奪回し逃走する、巻き込まれ型冒険大活劇。
鉄道マニアが泣いて喜ぶハラハラドキドキの機関車チェイスがたっぷり。南軍北軍の兵隊エキストラもたっぷり。クライマックスは橋が燃やされ機関車もろとも崩落するスペクタクル・ショウ。
バスター・キートンの代表作とされている製作費42万ドルの超大作で、それにはまったく異論はないのだけど。

給水塔で水を被るギャグや、線路に荷物を落として追跡を阻止する妨害工作など、繰り返しあるのが退屈に感じられた。
後年「続・夕陽のガンマン/地獄の決闘」の参考になったであろう河川を挟んでの戦闘など、大掛かりなアクション場面ではあるものの、普通の戦争映画と変わりなく、全体、キートンらしいギャグが少ない。バカバカしいくらい大人数のエキストラを使っていて、それが「警官騒動」(1920年)のようなバカバカしいギャグになっていないのが残念。

バスター・キートンは長編より2巻もの(20分前後)の短編のほうが、アイディアが奇抜でスピードがあって、おれは好きだな。

65

2020/05/14

深夜の告白

深夜の告白
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DOUBLE INDEMNITY
1944年(日本公開:1953年12月)
ビリー・ワイルダー フレッド・マクマレイ バーバラ・スタンウィック エドワード・G・ロビンソン ポーター・ホール ジーン・ヘザー トム・パワーズ

ジェームズ・M・ケインの小説「倍額保険」を、ビリー・ワイルダーとレイモンド・チャンドラーが脚色して映画化したサスペンス・スリラー。

保険会社のセールスマン(フレッド・マクマレイ)が、深夜のオフィスで事件の真相を(録音機に)語ることでストーリーは進行する。そのものズバリな邦題がセンスいい。
不倫を動機とした殺人事件のクラシック映画として、同じケイン原作の「郵便配達は二度ベルを鳴らす」(1946年/監督:テイ・ガーネット)と並べられる事も多い。

実業家の後妻を演じたバーバラ・スタンウィックは、ファム・ファタール(男を破滅させる悪女)の代名詞となった。

レイモンド・チャンドラーとの共同脚本も、執筆中はギクシャクしていたそうだが、チャンドラーらしい言い回しの独白が功を奏して、硬質のタッチが出た。それをジョン・サイツのローキー撮影が重く深く定着させている。
ダイアローグ(対話)はワイルダーが書いたのだろう。マクマレイとロビンソンの機知に富んだやりとりが面白い。

フェロモンたっぷりな悪女が男の下心を利用して悪事を唆す前半の流れは、いまとなってはありきたりに見える。替え玉のトリックで事故を偽装するくだりもぬるい。
時代だからしかたない。

偽装工作が終わった後半からがワイルダーの真骨頂。
保険金の払いを渋る社長。アパートのドアに隠れたスタンウィックと帰りそうで帰らないエドワード・G・ロビンソン。証人として会社に現れる展望車両の目撃者(ポーター・ホール)。女の背後に男の匂いを嗅ぎつけるロビンソン。さらに犠牲者の娘(ジーン・ヘザー)が語るスタンウィックの素性。犯人と探偵が毎日のように顔をあわせていて、ふたりには友情があるという人物関係の構図がいい(幕切れは「さらば友よ」のアラン・ドロンとチャールズ・ブロンソンだよな)。

でもやっぱり映画の最大の功労者は、バーバラ・スタンウィックとエドワード・G・ロビンソンだ。この2人のキャラクターは記憶に残る。

65

2020/05/15

天井桟敷の人々

天井桟敷の人々
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LES ENFANTS DU PARADIS
1945年(日本公開:1952年02月)
マルセル・カルネ アルレッティ ジャン=ルイ・バロー マリア・カザレス マルセル・エラン ピエール・ブラッスール ルイ・サルー ジャヌ・マルカン シモーヌ・シニョレ

恋なんて簡単よ。

1840年代のパリ、芝居小屋が軒を並べるタンプル大通りを舞台に、一人の美しい女に恋心を抱き、翻弄される男たちを描いたメロドラマ。単純にストーリーだけ抜き出せば俗の極み。
これを当時の一流スタッフが、丹精込めて第一級の人生喜劇に仕立て上げた。
「第一部:犯罪大通り」「第二部:白い男」の2部構成で上映時間は3時間を超える。

メインの登場人物だけで6人。
ガランス(アルレッティ)裸を見世物にする最下層の女芸人
バチスト(ジャン=ルイ・バロー)パントマイム芸人
ルメートル(ピエール・ブラッスール)シェイクスピアかぶれの芸人
ラスネール(マルセル・エラン)殺人も厭わない無頼派作家
モントレー伯爵(ルイ・サルー)社会的地位の高いお金持ち
ナタリー(マリア・カザレス)ガランスの許婚者・座長の娘

バチスト、ルメートル、ラスネールには、それぞれモデルとなった実在の人物が存在する。

この他に、如何わしい古着商(ピエール・ルノワール)、盲目の乞食(ガストン・モド)、バチストの父親(エチエンヌ=マルセル・ドゥクルー)、劇団の座長(マルセル・ペレ)、下宿屋の女主人(ジャンヌ・マルカン)、ラスネールの子分(ファビアン・ロリス)などなど。
脇役は若干コメディリリーフに振られているが、全員がキャラ立ちまくりで凄い。

脚本はジャック・プレヴェール。「恋する者にはパリの街は狭い」「哲学者は死を想い、美しい女は恋を思う」「美しくなったんじゃないの、幸せなだけ」珠玉のセリフが全編に散りばめられている。芸人たちの会話なので、多少格好つけた言い回しであっても浮かない。登場人物は伯爵を除いてみなさん貧乏なのだが、これらのセリフがあるから下品に堕ちない。

映画は開巻から、芝居小屋や見世物小屋が軒を並べるタンプル大通りの全貌を移動カメラで捉える。日本でいえば江戸末期天保時代の両国といったところか。エキストラの数が半端でない。その群衆のあちこちで大道芸が披露されている。数百メートルもありそうな巨大なオープンセットの豪華なこと。すごいんだ、これが、度肝を抜かれる。

そしてコンパクトに、手際よく、的確に(第1部の終盤に登場する伯爵を除いた)主要人物が紹介される。
最初に紹介されるのは女神ガランス。「寄ってらっしゃい見てらっしゃい、お代は見てのお帰りだよー」呼び込みに釣られて、幕で仕切られただけの粗末な小屋に入ると、大きな桶があって、その中から全裸のガランスが首を出している。見物客は桶の中を覗き込むが、水が貼ってあるので肩から下はよく見えない。どうです、ゲスでしょう? だけど注意して見てほしいのは、彼女にはこの仕事を恥じている気配がまったくないこと。
続いて登場はシェイクスピアかぶれの芸人ルメートル。地方からパリに出てきた彼は、芝居小屋に売り込み。とにかくよく喋る。自信満々を多少逸脱して過剰気味。通りを歩いていくガランスに目移りし、跡を付け回し洒落た文句で熱心に口説くがふられて別れる。
次に登場するのは、暴力沙汰で女房に出ていかれた男の詫び状を代書しているラスネール。なかなかの名文を綴っているが代書屋は表の稼業。裏では手下を使って盗品を売買している悪党。ガランスがやってきて二人は街に出掛ける。
ラスネールとガランスが足を止めたのは芝居小屋の前。呼び込みのパントマイム芸をしている白塗りの青年がバチスト。見物客の懐から懐中時計を盗んで立ち去るラスネール。盗みの嫌疑をかけられたガランスを、ユーモラスなパントマイム芸でバチストが救う。ガランスはお礼に赤い花を投げる。
バチストが芝居小屋の楽屋に戻ると、座長の娘で婚約者のナタリーがいる。
これら一連の状況設定の出来事とセリフが、ストーリー全体の伏線になっている。

むかし友人が、アルレッティのおばさん顔が、男たちを恋の虜にして人生を翻弄させる美女に見えないと言ってたので、彼女はダヴィンチの「モナリザの微笑」だよ、似てるだろ? と話したら俄然納得したようだった。
第二部で伯爵の囲われ者になってからは、凛とした気品と風格を漂わせ、彼女は女神になる。

かっこいいのは、無頼の男ラスネールだ。伯爵を殺したあとの行動にしびれる。彼を蔑む伯爵に「劇は今まさに進行中なのだ」と啖呵を切ってカーテンをひく場面もかっこよかった。

悪党であっても友人は警察に売らない、第一部幕引きのガランスもかっこよかったなあ。うん、みんなかっこいい。

大勢の白い服に呑み込まれて身動きできなくなるバチストのラストシーンが、めちゃくちゃシュール! 自分自身に埋没しちゃったんだな。

しかしこの映画を語るうえで最も重要なのは、登場人物で唯一欠点を持たないのはガランスだけということ。彼女は最後までブレない。裸で桶に入っているときも、ルメートルに執拗に口説かれているときも、伯爵の囲い者になっているときも、5年ぶりに再会したバチストと一夜を共にしたときも、そのあとナタリーが下宿屋にやってきたときも、彼女はブレない。哀しみや苦しみや、悩みを表情に見せない。他の登場人物がみんな、感情のおもむくまま行動しているから、それが際立って分かる。ガランスはしなやかに、したたかに強い。
ガランスが象徴しているのはフランスそのもの。自由、平等、友愛。

ガランスは、天井桟敷の人々を「みんなを愛している」。

第2次世界大戦中、ナチス占領下のパリを逃れ、非占領地区の南フランス・ニースに集まった映画人・演劇人が、6000万フラン(16億円)をかけて製作した贅沢きわまる超大作。世界各国の映画ジャーナリズムによるオールタイムベストで常に上位ランクされる、正真正銘、問答無用、至高の名作。

こんなにも豊かな映画が、今後作られることはあるのだろうか。

80

2020/05/15

北ホテル

北ホテル
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HOTEL DU NORD
1938年(日本公開:1949年08月)
マルセル・カルネ ジャン=ピエール・オーモン アナベラ ルイ・ジューヴェ アルレッティ フランソワ・ペリエ ポーレット・デュボスト ベルナール・ブリエ

パリ北部。サンマルタン運河に架かった鉄橋を、若い男女が寄り添いながらやって来る。二人は夕暮れの河畔のベンチで何事か囁き、人生の吹き溜まりのような安宿に部屋をとり、心中を図るが失敗。一命をとりとめた女(アナベラ)は病院に運ばれ、男(ジャン=ピエール・オーモン)はいったん逃げたものの、走る列車に身投げしようとしてそれも出来ず、自首して投獄される。
傷が癒えて退院した女は、宿の主人夫婦の温情によりホテルで働くようになり、周辺の人々といろいろあった後、男は釈放されて戻ってくる。
革命記念日(巴里祭)の翌早朝、二人は河畔のベンチで何事か囁き、サンマルタン運河に架かった鉄橋を渡って何処かへと去っていく。

心中ものって好きじゃないんだよ、ウジウジしてて。太宰治も大嫌いだし。
心中用にピストル買う金が残ってたのなら、それで彼女になんか美味いもの食わせてやれよ。死にたいなら誰にも見つからない山奥行って一人で餓死しろ。若くて綺麗な女を道連れにすんな、ほかの男の幸せのために残しとけ、ボケ!

過去に傷を持つヤクザな男(ルイ・ジューヴェ)も情けない。若い女にメロメロになって、身の上話で同情をひき、二人でマルセイユに逃避行しようとするもドタキャンされ、挙げ句の果てに自暴自棄で命を落とす(間接的な自殺だな)。よくまあこんな惨めったらしい男が裏社会で生きてこられたものだ。貢いでくれている情婦(アルレッティ)の顔を痣が残るほど殴ってるし、このクズ野郎が!

以上のように本筋のストーリーは甘っちょろくてまったく気に入らないのだが、映画自体の出来はいい。
運河とホテルのセットは素晴らしく、北ホテルを取り巻く庶民の人物描写、運河を行き来する船、架道橋、河川敷で遊ぶ子供たちなど、マルセル・カルネらしいまろやかな雰囲気を持った映画ではある。

60

2020/05/19

キリング・フィールド

キリング・フィールド
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THE KILLING FIELDS
1984年(日本公開:1985年08月)
ローランド・ジョフィ サム・ウォーターストン ハイン・S・ニョール ジョン・マルコヴィッチ ジュリアン・サンズ クレイグ・T・ネルソン

アメリカの軍事介入によって戦火が拡大したカンボジア。その現状を最前線から報道するニューヨーク・タイムズの記者と現地人のガイド兼通訳。戦況不利となってアメリカが撤退したあとも二人はプノンペンに残って取材を続けていたが、進駐してきた反政府極左過激派軍(クメール・ルージュ)が粛清による虐殺を始めると、アメリカ人記者は母国に帰り、通訳は強制労働キャンプに送られる。

「ミッドナイト・エクスプレス」のデヴィッド・パットナムが、シドニー・シャンバーグのノンフィクション(ピューリッツァ賞)を原作に製作したショッキングな力作。
痛ましい戦場の様子をドキュメンタリ風の映像で捉え、後半の脱走劇もサスペンスたっぷり、緊迫感が半端ない。

製作は1984年。当時は現地ロケなどできる状況ではなく、ほとんどの場面はタイ領内で撮影されたが、写っているエキストラなど人物の多くは内戦が続くカンボジアから逃れてきた難民たちだそうだ。

惜しいのは主人公の記者を演じたサム・ウォーターストンで、彼が画面に出ていると映画が作り物っぽく感じられてしまう。これはウォーターストンが悪いんじゃなくて、誰が演じていても同じだったろう。それくらい現地の景色や人物にリアリティがあったってこと。

通訳が銃殺されそうになったとき、それを寸前で止めたのがベンツのエンブレムをあげた少年だったというのは定番だが、監視の目を盗んで家畜の牛の生血を吸うなんて、体験がなければ思いもつかないような場面が随所にある。栽培していたトマトを引き抜いた少女の、きつく咎める眼差しも強烈で忘れられない。

白人ジャーナリストと現地人ガイドの人種と国境を超えた友情物語、などという安い映画ではない。ありきたりな甘いラストシーンのBGMにジョン・レノンの「イマジン」を使ったことでポイントを下げたが、アメリカ映画だったらもっと俗っぽいメロドラマになっていたことだろう。東西冷戦下の代理戦争に煽られ、命と尊厳を奪われた人々の悲劇として観客に伝えられたのであれば、パットナムの功績だ。

通訳役を演じたハイン・S・ニョールは、強制労働キャンプを実際に体験した素人役者で本業は産婦人科医。この映画の演技によりアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞で助演男優賞を受賞。労働キャンプでの体験記「キリングフィールドからの生還」(光文社刊)を執筆し、オリバー・ストーンの「天と地」などにも出演していたが、1996年にロサンゼルスで強盗に射殺されている。

日本では1985年8月、(「ランボー/怒りの脱出」と同時期に)公開された。どっちを先に観ようか映画館の前で迷っていたのを思い出す。
監督はテレビ出身で、これが劇場映画デビュー作となるローランド・ジョフィ。

記者が帰国した場面に、遠景の世界貿易センタービルがワンカットだけ入っている。
アメリカは、あれから少しでも変わったのだろうか。

カンボジアは、あのころ仕掛けられた地雷の撤去作業を今でも続けている。

70

2020/05/21

若草物語

若草物語
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LITTLE WOMEN
1949年(日本公開:1949年12月)
マーヴィン・ルロイ ジューン・アリソン マーガレット・オブライエン エリザベス・テイラー ジャネット・リー メアリー・アスター ピーター・ローフォード ロッサノ・ブラッツィ

1949年製作のMGMテクニカラー版。
ジャネット・リー、ジューン・アリソン、エリザベス・テイラー、マーガレット・オブライエンの四姉妹。母親はメアリー・アスター。隣家のローレンスにピーター・ローフォード、ニューヨークで出会う教授にロッサノ・ブラッツィ。

1860年代に書かれた通俗小説が原作なので、物語が古めかしいのは仕方なしとして、それでもやっぱりなあ。末の妹が不治の病で死んでしまうお涙頂戴があざといし、出てくる男がすべて優しく善人で、いかにも女性が書いた理想の男性像ってのが、メルヘンだよなあ。作者はフェミニズムの元祖でもあるし、日本でも愛読者は多い。噛みつかれるの怖いから原作を貶すのはやめておこう。

色彩は綺麗。エリザベス・テイラーとジャネット・リーも綺麗。貧乏という役柄ではあるがスターの輝き。メルヘンにリアルは求めない。
ブッと吹き出してしまったのは、ジョーが小説を書き終わる終盤にある場面。なぜ屋外で、枯葉散る庭先で執筆してたの?

マーヴィン・ルロイは手堅いといえば手堅い、平凡といえば平凡。ギャング、コメディ、ミュージカル、なんでもござれ。百戦錬磨の職人監督なので、映画が成功するか否かは脚本と出演者次第。現役だとロン・ハワードがそんな感じか。
今回、MGMオールスターズで顔ぶれは豪華だったけど、脚本にメリハリなく、見せ場を作ってもらえなかったのが、もったいなかったね。

あと、キャスティングなんだけど、原作知らない人が観たら、ジョー(撮影当時30過ぎていたジューン・アリソン)が四姉妹の長女だと思っちゃうんじゃない?

60

2020/05/28

遙か群衆を離れて

遙か群衆を離れて
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FAR FROM THE MADDING CROWD
1967年(日本公開:1968年02月)
ジョン・シュレシンジャー ジュリー・クリスティ アラン・ベイツ テレンス・スタンプ ピーター・フィンチ プルネラ・ランサム

ペシミスティックな皮肉屋ジョン・シュレシンジャーが、イギリス自然主義作家トーマス・ハーディの大河ロマンス小説を映画化。70mmパナビジョン、170分の文芸大作。
撮影は「アラビアのロレンス」のニコラス・ローグ。パノラマ風に撮影された田園風景が荒涼として美しい。主演は「ダーリング」に続いてジュリー・クリスティ。

19世紀、イングランド東部エセックス地方。
叔父の遺産で農園を引き継いだヒロイン(クリスティ)が、仕事熱心で実直な働き者(アラン・ベイツ)の求婚を「嫌いじゃないけど、愛していないから」と断り、裕福で教養ありそうな農場経営者(ピーター・フィンチ)に求婚されるものの返事を引き延ばし、女中(プルネラ・ランサム)と関係していた優柔不断な軍曹(テレンス・スタンプ)に一目惚れして結婚。
新婚生活はうまくいかず、軍曹は酒と博打で放蕩三昧。妊娠していた女中は嬰児とともに死に、そのショックで軍曹は入水自殺に見せかけて失踪。初老の農場経営者が再び言い寄ってくるが、なまくら返事しているうちに結婚の約束をさせられてしまう。
その婚約披露の夜に死んだはずの軍曹が戻ってきて、錯乱した農場経営者は軍曹を射殺。
英国の農場暮らしに見切りをつけ、アメリカに渡ろうとしていた農夫を引き止め、彼と再婚しておしまい。

サーカス小屋で正体を隠しながらの道化芝居は面白かったが、軍曹が剣の腕前を女に披露する場面のあまりの陳腐さに呆れた。ジョン・シュレシンジャーって、こんなにヘタだったっけ? むかし(40年以上前に)観たときはそこそこ感銘した記憶があったのだが、いま見返すと無駄に長ったらしい。

未熟なくせに自立心だけは強いヒロインに共感するところはなく、ありきたりなステレオタイプに振り分けられた男たちも魅力に乏しい。無邪気に恋して死んでしまった薄幸の女中がひたすら可哀想だった。

60

映画採点基準

80点 オールタイムベストテン候補
75点 年間ベストワン候補
70点 年間ベストテン候補
65点 上出来・個人的嗜好
60点 水準作
55点以下 このサイトでは扱いません

個人の備忘録としてのメモ&採点
オススメ度ではありません