2020年03月|映画スクラップブック


2020年03月|映画スクラップブック

2020/03/01

ロミオ&ジュリエット

ロミオ&ジュリエット
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WILLIAM SHAKESPEAR'S ROMEO + JULIET
1996年(日本公開:1997年04月)
バズ・ラーマン レオナルド・ディカプリオ クレア・デインズ ジョン・レグイザモ ポール・ラッド ハロルド・ペリノー ポール・ソルヴィノ ブライアン・デネヒー

原題に「ウィリアム・シェイクスピアの」とあるように、原作戯曲に忠実な映画化。
中米の架空都市ヴェローナ・ビーチ(メキシコシティでロケしている)を舞台に、人物がアロハシャツを着ていたり、武器が拳銃であったり、現代風を装っているが台詞と役名は原作をそのまま用いている。
このようなやり方は、演劇では以前から普通におこなわれていたが、映画では珍しい。非日常空間が最初から約束されている舞台演劇と、リアルな写実が前提の映画との違いか。

どうせディカプリオ人気に便乗したアイドル映画だろうと軽くみていたのだが、なかなかどうして、立派なシェイクスピア映画に仕上がっていたので感心した。
現代にあわせて原作を妙に改変していないのが良い。現代風の絵づらと古典的なセリフのギャップが新鮮だ。シェイクスピア・ファンからは歓迎されると思う。

レオナルド・ディカプリオ(ロミオ)とクレア・デインズ(ジュリエット)が、初々しくて可愛い。二人が出会う水槽越しの場面は幻想をおびて美しかった。

敵対しているモンタギューとキャピュレットが、縄張り争いをしているマフィア一家というのも面白い設定変更。血の気の多い手下が、やたら小競り合いしている状況が自然と出来る。チンピラ同士の喧嘩は、シャープなカット捌きでかっこよく撮ってある。
モンタギュー親分を演じているのはブライアン・デネヒー。ふてぶてしい悪役を期待したが、「ランボー」や「シルバラード」のころに比べるとずいぶん丸くなっていた。
マフィアは行政や裁判所と結託している部分があって、警察はアンタッチャブル。ロミオが殺人を犯しても街を出てしまえば管区外、それ以上追ってこない。つまり、16世紀のイタリア貴族と現代のマフィアは同じ穴のムジナなんだね。

原色を強調した映像、ヒップでホップな音楽が新鮮でいい。
古い酒を新しい革袋に入れて成功している。

映画公開時に、音響効果の女性がやたら褒めていたのを思い出した。
いまごろ観たりしてごめんよ。

70

2020/03/01

ムーラン・ルージュ

ムーラン・ルージュ
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MOULIN ROUGE!
2001年(日本公開:2001年11月)
バズ・ラーマン ニコール・キッドマン ユアン・マクレガー ジョン・レグイザモ ジム・ブロードベント リチャード・ロクスバーグ ケリー・ウォーカー マシュー・ウィテット

1900年のパリ、名物キャバレー「赤い風車」を舞台に、薄幸の踊り子と戯作者の悲恋を描いた、製作費5000万ドルの絢爛たる超豪華スペクタクル・ミュージカル。
豪華な上に豪華を重ねた超豪華な美術とデラックスな衣装、ヒット・ポップスで全編を賑やかに囃し立て、仕上げにデジタル合成のCGでゴテゴテ飾りつけた、これでもかっ!ってほど贅沢を尽くした、徹頭徹尾、まじで圧倒される悪趣味映画の決定版。

アレクサンドル・デュマの「椿姫」とプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」をこねくり回してでっちあげた、古典的かつ安っぽいストーリー。エリック・サティやロートレックなど実在の人物も登場する。

以前、NHK-BSで放送されたとき、冒頭の20分くらいで(クラクラして)観るのをやめた。太閤秀吉の黄金の茶室なぞ鼻で笑う。吉原全部を貸し切って豪遊したという紀伊国屋文左衛門でさえ、もう少し分別のあるお金の使い方をしたのではあるまいか。
すべてにおいて過剰なあまり、世紀末のデカタンスなパリの香りも、薄幸美女の悲劇も、パーッと吹っ飛んじゃって、なにがなんだか分からんままに2時間が過ぎてゆく。

主演はニコール・キッドマン(踊り子)とユアン・マクレガー(戯作者)。歌は吹き替えでなく、本人歌唱を同時録音で収録したとのこと。ふたりともうまい。
しかし、ダンス場面は細かいカット編集で、さらにポスプロでCGなどの視覚効果を合成している。スピーディでかっこいいし今風なのは認めるが、ミュージカル映画は役者のダンス(芸)を楽しみたいという、昔ながらのファンには嫌われるだろう。
そのあたりはバズ・ラーマンもしっかり自覚したうえで、バッサリ切り捨てている。選曲されているのがMTV以降のヒット曲中心でしょ? 「愛と青春の旅だち」や「ボディガード」を観たことある人たち、その世代をターゲットに作った。MTVの懐メロ特集デラックス版だ。

65

2020/03/04

シカゴ

シカゴ
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CHICAGO
2002年(日本公開:2003年04月)
ロブ・マーシャル レニー・ゼルウィガー キャサリン・ゼタ=ジョーンズ リチャード・ギア クイーン・ラティファ ジョン・C・ライリー ボブ・フォッシー

ボブ・フォッシー作のミュージカル「シカゴ」(初演:1975年)を、ブロードウェイの振付師・演出家のロブ・マーシャルが監督して映画化。
殺人罪で刑務所に収監された二人の女優が、守銭奴弁護士と結託し、スキャンダルでマスコミを煽って世間の同情を集め、無罪放免を勝ち取ってステージに復帰、人気を得て歌い踊る。不道徳極まりないミュージカル喜劇。

スター(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)と駆け出し(レニー・ゼルウィガー)の、二人のキャラクター造形が強烈だ。ショー・ビジネス界でしたたかに生きていく女優魂をみごとに体現している。歌、ダンスともに素晴らしい。
冒頭のゼタ=ジョーンズ「オール・ザット・ジャズ」がカッコいい。ゼルウィガーは記者会見のマリオネットのマイムが、彼女の容貌とマッチして可愛かった。
脇で良いのは、刑務所の看守(クイーン・ラティファ)「ホエン・ユア・グッド。トゥ・ママ」と冴えない亭主(ジョン・C・ライリー)「ミスター・セロファン」。
弁護士(リチャード・ギア)「ラズール・ダズール」も悪くはないけど、もう少し頑張ってほしかったな。タップダンスを足元撮らないでバストで追うのは、ミュージカル映画として如何なものかと思う。

ストーリーがめちゃくちゃ面白いし、明るく楽しい。歌もダンスも(元のステージが、再演につぐ再演でロングランを続けているだけあって)磨きがかかっている。
映画初監督のロブ・マーシャルだが、無駄な場面がなく、展開にスピードがあって良かった。MTV以降のミュージカルなので編集に凝ってる、というか編集で誤魔化してるようなところが映画を安っぽくしてる。舞台演出出身なのにね。
だからこそ舞台でやれない映像ならではの編集に凝ったのかな?

映画の成功は、ボブ・フォッシーによるところが大きいように思う。

70

2020/03/04

NINE

NINE
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NINE
2009年(日本公開:2010年03月)
ロブ・マーシャル ダニエル・デイ=ルイス マリオン・コティヤール ペネロペ・クルス ジュディ・デンチ ケイト・ハドソン ソフィア・ローレン ニコール・キッドマン

周囲からチヤホヤされて勘違いしている無能でマザコンな映画監督が、しかめっ面しながら綺麗な女性たちを行ったり来たりしているだけのストーリー。
「シカゴ」で過大評価されたロブ・マーシャル監督の化けの皮が剥がれた、ミュージカルもどきのプロモーション・ビデオ。

旬なスター女優を(若いのから歳食ったのまで)ズラーリ並べて、見た目カッコいいミュージック・シーンを適当に作り、玄人受けのいいダニエル・デイ=ルイスで糊付けしただけの、本当にそれだけの薄っぺらい映画。
ケイト・ハドソンのダンス場面に、意味なくモノクロのカットを差し込んで、「どうよ、カッコいいでしょ!」と、ひとり悦に入ってるロブ・マーシャルの素顔が透けて見える。
ダニエル・デイ=ルイスの苦悩の表情は、(あまりにも脚本が酷いので)どんな芝居をしたらよいのか分からず悩んでいるようにも見える。

女優陣は超豪華! マリオン・コティヤール、ペネロペ・クルス、ケイト・ハドソン、ニコール・キッドマン、ファーギー、ジュディ・デンチ。なんと懐かしのソフィア・ローレンまで。
これらスター女優のカタログ・ビデオとしてなら観る価値はある!

と、言い切ったあとで矛盾になるけど……
この映画、歌とダンスの場面を全部カットして、40分の短縮版にしたら、少しは筋が通った「映画」として見られるかも。

60

2020/03/06

オール・ザット・ジャズ

オール・ザット・ジャズ
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ALL THAT JAZZ
1979年(日本公開:1980年08月)
ボブ・フォッシー ロイ・シャイダー ジェシカ・ラング アン・ラインキング リーランド・パーパー エリザベート・フォルディ ベン・ヴェリーン クリフ・ゴーマン ジョン・リスゴー

この映画について、何か書くのは難しい。
というか、めんどくさい。
文字に起こして説明したいタイプの映画じゃないからね。

主人公は、ボブ・フォッシー自身をモデルにしたブロードウェイの演出家ジョー・ギデオン(ロイ・シャイダー)。熱いシャワーを浴び、充血した眼に目薬をさし、アルカセルツァー(鎮痛薬)とデキセドリン(覚醒剤)を服用して気合をいれる。

「イッツ・ショータイム、フォークス!」

酒と煙草とクスリとセックスと仕事に依存し、かろうじて日々の生活を維持してきたギデオンだったが、新作ミュージカルのリハーサル中に過労で倒れ心臓の手術をうける。
麻酔を打たれたギデオンは昏睡のなか、花嫁衣装をまとった死の女神アンジェリーク(ジェシカ・ラング)に誘われ、現実と創造が混濁する意識のなかを彷徨い、迫りくる死と戯れ、死体袋に収容される。

こういった私小説的な映画は作家の独りよがりに陥ってしまいがちだが、緻密な脚本と絶妙な編集を得て、奇跡的に傑作になった。
本編でギデオンが何度もしつこく「レニー・ブルース」の編集をやり直していたように、この映画も編集にかなり時間をかけたんじゃないかと思う。

全般的にシーンのつなぎがシャープ&ドライ。
例えば、恋人(アン・ラインキング)と娘(エリザベート・フォルディ)による微笑ましいダンスの場面でも(平凡な監督だったら)ギデオンの感涙リアクションを入れて(もっと凡庸な監督だったら)ギデオンの感謝のセリフも入れて、心温まるお涙頂戴にしてしまうところを、非情にもバチッと断ち切って翌朝のシャワー・シーンにつなげる。
ストーリーがウェットになるのを恐れているようにも感じられる。
倒れたギデオンが病院に運ばれる場面を省略し、女神が白いベールをめくる短いインサート・カットで説明してしまう手際の良さ、見事なものだ。

成功のもうひとつの要因は、(死を扱っている映画なのに)全体にシニカルなユーモアに満ちていること。くわえタバコで咳き込みながら診察する医者の場面は狙いすぎな感じもするが。公演中止の際に支払われる保険金の計算をしている場面に、グロテスクな開胸手術のカットをインサートするアイディアは強烈。

余談:初日でコケて公演打ち切りになると利益がでるという、メル・ブルックス「プロデューサーズ」の理屈はよく分からなかったが、本作の、公演中止になると保険金が支払われ、利益がでるという仕組みはよく分かった。それと公演の準備で支払われる製作費の内訳も、たぶん実際の数字を使っているみたいで、とても興味深かった。

この映画が好きな理由は、(上記余談にあるような)本物のショービジネス、ブロードウェイの舞台裏を誠実に克明に、赤裸々に描いていることと、主演のロイ・シャイダーはもちろんのこと、出演している役者・ダンサーに実在感があること。
例えば、入院したギデオンの代理演出を依頼されるジョン・リスゴー。短い出演の小さな役なのに、実に巧い芝居を見せる。女の子にサイン求められたときのペンの筆使いが絶妙だ(見逃すなかれ!)。
スタンダップコメディアンを演じるクリフ・ゴーマンも、レニー・ブルースのアイロニックな雰囲気をよく再現していた。

この映画はミュージカルではないが、新作公演の準備が進むにつれて幾つかのダンスシーンが披露される。ジョージ・ベンソンのBGMを使った巻頭のオーディション場面もいいが、プロデューサーやスポンサーの前でリハーサルされる「エア・ロティカ」は、振付師ボブ・フォッシーの本領発揮。子どもには見せられない。元妻で本公演の主役オードリー(リーランド・パーパー)のリアクションがいい。

死体袋のジッパーが閉じられて映画は終わり、エセル・マーマンが歌う「ショーほど素敵な商売はない」がエンドクレジットに流れる。これはボブ・フォッシーの皮肉か本音か?
おそらく両方だろう。

70

2020/03/06

スイート・チャリティ

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SWEET CHARITY
1968年(日本公開:1969年05月)
ボブ・フォッシー シャーリー・マクレーン ジョン・マクマーティン チタ・リベラ リカルド・モンタルバン サミー・デイビス・ジュニア

オーバーチュアとインターミッション付きで2時間20分。元ネタの「カビリアの夜」はフェリーニ映画のなかでは「道」と並んで好きな作品だし、シャーリー・マクレーンは大好きな女優ではあるけど、映画の出来はどうにも野暮ったい。
ストーリーは先刻承知なうえに、ヒロインを取り巻く男優陣に華がないので恋愛話にときめきがない。シャーリー嬢(当時34歳)はまだ可愛い。10年前に作られていたらもっと可愛かったろう。
ボブ・フォッシーの独特な振り付けがいちばんの魅力で、ダンス・シーンは一見の価値あり。ニューヨークの名所をロケしたダンス場面も趣向があっておもしろい。サミー・デイビスも元気だ。
DVDはシネスコをトリミングしたビスタサイズ。歌の場面で音声がモノラルからステレオに切り替わるので吹き替えみたいな違和感がある。

DVD特典にハッピーエンド・バージョンのエンディングが付いていたが、野暮の極み。公開版のほうが断然いい。

60

2020/03/20

パリの恋人

パリの恋人
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FUNNY FACE
1957年(日本公開:1957年09月)
スタンリー・ドーネン フレッド・アステア オードリー・ヘプバーン ケイ・トンプソン ミシェル・オークレール スージー・パーカー

古本屋に勤める野暮ったい娘が、ファッション誌のカメラマンに見初められ、モデルとして磨かれ喝采を浴びるまでを描く。シンデレラ&ピグマリオン物語。
ブロードウェイ・ミュージカル「ファニー・フェイス」から主題曲を流用しただけのタイトル、ストーリーは映画オリジナルの別物。ガーシュウィン・ミュージックを使った、オードリー・ヘプバーン&ユベール・ド・ジバンシィのカラフル・ファッション・アイドル映画。パリの名所を背景に網羅して観光ガイドの趣あり。さらに、盛りを過ぎたフレッド・アステアのおまけ付き。

ヘプバーンのダンスはいい。頑張ってる。バレエのレッスンを受けていただけあって、スラリと伸びた脚の動きはきれい。表情を作っていないときに、生真面目そうな素顔がチラリとうかがえて可愛らしい。彼女のファン以外には無用の映画かも。

60

映画採点基準

80点 オールタイムベストテン候補
75点 年間ベストワン候補
70点 年間ベストテン候補
65点 上出来・個人的嗜好
60点 水準作
55点以下 このサイトでは扱いません

個人の備忘録としてのメモ&採点
オススメ度ではありません