2020年08月|映画スクラップブック


2020年08月|映画スクラップブック

2020/08/19

折れた矢

折れた矢
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BROKEN ARROW
1950年(日本公開:1951年09月)
デルマー・デイヴィス ジェームズ・スチュワート ジェフ・チャンドラー デブラ・パジェット ウィル・ギア ベイジル・ルイスデール ジョイス・マッケンジー アーサー・ハニカット レイモンド・ブラムリー ジェイ・シルヴァーヒールズ

1870年、西部開拓時代にインディアンの娘と結婚し、米国政府と先住民族の和睦に尽力した男の物語。
映画の冒頭に、「インディアンが英語を喋っていること以外は事実に基づいている」と字幕が入ってはいるが、ジェームズ・スチュアートとインディアン娘(デブラ・パジェット)の恋愛エピソードなどは、ずいぶんハリウッド風の脚色がなされているように思う。
酋長コチーズ役のジェフ・チャンドラーが、米国白人にとっての理想のインディアン像を好演。主演のジミーを食っちまっている。

インディアン娘にしろ酋長にしろ、白人がメイクして演じているから、実話ベースのストーリーと言われても、そこそこ作り物めいたものとして見てしまうのは仕方なかろう。
イーストウッドの「アウトロー」(1976年)や「ダンス・ウィズ・ウルブズ」(1991年)になると、先住民族の血をひいた役者がキャスティングされて、違和感が薄れるんだけど。

「つべこべ言わずこっちの言う通りにやれ、悪いようにはせんから」と言うのが、米国の対外交渉基本方針。これは現在も変わらない。共和党であろうと民主党であろうと、ハト派だろうがタカ派だろうが言葉の選び方が違っているだけで、本質は昔から一貫している。
いつまでこのような強権外交が続けられるのやら。他国のことゆえ深刻に心配はしていないが、興味深いことではあります。

60

2020/08/20

ウィンチェスター銃'73

ウィンチェスター銃'73
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WINCHESTER '73
1950年(日本公開:1952年06月)
アンソニー・マン ジェームズ・スチュワート シェリー・ウィンタース スティーヴン・マクナリー ダン・デュリエ チャールズ・ドレイク ミラード・ミッチェル ジョン・マッキンタイア ウィル・ギア ジェイ・C・フリッペン ロック・ハドソン トニー・カーティス ジョン・アレクサンダー スティーヴ・ブロディ ジェームズ・ミリカン アブナー・バイバーマン ジェームズ・ベスト

射撃大会の優勝賞品となった名器ウィンチェスター1873を狂言回しに、多彩な人物が織りなす連続活劇。

酒場女(シェリー・ウィンタース)、その愛人で臆病者の小悪党(チャールズ・ドレイク)、ライフルを奪って逃げる因縁の仇(スティーブン・マクナリー)、ちょいイカレ気味のもう一人の悪党(ダン・デュリエ)、酒場の主人(ジョン・アレキサンダー)、武器商人(ジョン・マッキンタイア)、主人公(ジェームズ・スチュアート)の相棒にミラード・ミッチェル(渋いぜ)。騎兵隊の老軍曹(ジェイ・C・フリッペン)、若き武闘派酋長に(なんとデビュー直後の)ロック・ハドソン。トニー・カーチスも騎兵隊員役(彼が戦場でウィンチェスター銃を見つける)でチョイと出ている。出演者はみんな好演、キャラが立っている。主役のジミーが、かえって目立っていないようにも見える。

映画の最初の舞台が独立記念祭のダッジ・シティで、射撃大会の審判を街の保安官ワイアット・アープ(ウィル・ギア)が務める、という序盤からニコニコしてしまう。
リングに切手を貼って中を撃ち抜く、というのは「座頭市」みたいでいささか漫画チックではあるけど、ストーリー展開はテンポよく、これぞ西部劇といった見せ場の連続で、まったく退屈させない。脚本の出来がすごく良い。
酒場女と老軍曹のキスのやりとりとか、いかにもハリウッド流儀のお洒落なセリフでお気に入り。家族写真とか、随所に小技も効いている。

マイ・フェバリット西部劇の1本。

70

2020/08/20

怒りの河

怒りの河
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BEND OF THE RIVER
1951年(日本公開:1952年11月)
アンソニー・マン ジェームズ・スチュワート アーサー・ケネディ ジュリア・アダムス ロック・ハドソン ロリ・ネルソン ジェイ・C・フリッペン ハリー・モーガン ローヤル・ダーノ

「ウィンチェスター銃'73」のスタッフによる、ジェームズ・ステュワート主演の総天然色娯楽西部劇。
オレゴン州奥地へ移住する開拓農民の幌馬車隊と、そのガイド兼用心棒(ジェームズ・ステュワート)。
法律よりも、友情(信頼関係)と暴力(銃弾)が優先されていた西部開拓時代の物語。

私刑で吊るされかけていた無法者(アーサー・ケネディ)との理屈抜きの友情、そして裏切りはいいのだが、若い賭博師(ロック・ハドソン)や、開拓団の娘(ジュリア・アダムスとロリ・ネルソン)の位置付けが曖昧で、ドラマが薄味になっている。
ゴールドラッシュで守銭奴と化したポートランドのブローカー(ハワード・ペトリー)から食料を強奪するまでは(法律ではアウトでも心情的に)許されても、荷役に雇用した労働者たちまで銃の脅しで労働を強要するのは許されるものでない。越冬の物資を待ち焦がれている開拓民には気の毒だが、裏切られて当然。
西部開拓時代の非情とは言え、ジミーが配役されているからどうにか娯楽作品ぽく見えるけど、アクターズスタジオ系の役者が演じていたら、後味悪いものになっていたことだろう。
ハリウッド流儀のハッピーエンドで映画は終わるが、爽快感はない。

コロンビア河を遡る蒸気船、カラー撮影によるオレゴンの自然風景が良かった。
船長(チャビー・ジョンソン)と黒人船員(ステッペン・フェチット)のコンビもいい。ミシシッピから流れてきた船長にも、なにか面白い過去譚があったのだろうと想像する。

60

2020/08/26

HOUSE ハウス

HOUSE ハウス
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1977年(日本公開:1977年07月)
大林宣彦 池上季実子 大場久美子 神保美喜 宮古昌代 松原愛 佐藤美恵子 田中エリ子 笹沢左保 南田洋子 尾崎紀世彦 小林亜星 石上三登志 三浦友和 檀ふみ 鰐淵晴子

CF界の奇才と呼ばれていた大林宣彦の、劇場用初監督作品にして代表作。
アイドル、ポップ、パラパラマンガ風、チープ、合成画面、反戦、サイケデリック、カラフル、郷愁ノスタルジア、ファンタジー、パッチワーク、オッパイ、少女趣味、まだまだいろいろありそうだが。大林映画のすべてが、このデビュー作に全部詰め込まれている。
ということで、この映画が肌に合わなかった人は、あとの作品どれ見ても合わないと思う。おれも「水の旅人」あたりまでは(劇場で)付き合ったが、(歳食って)バカバカしくなり、お付き合いをやめた。NHK資本の「ふたり」とか、ええ歳こいたおっさんが見る映画じゃない。
とは言え、この監督さんがエポックメイキングな存在だったことは確かで、大林の前に大林なし、大林の後に大林なし、くらいのことは書いておく。
なにしろ、フィルムのコマ単位でごちゃごちゃ小細工する独特の編集は、誰も真似できない、真似しようとも思わない。おれも編集やるからだいたい分かるが、この人のポスプロって狂気じみていたんじゃないかと思う。キング・オブ・フィルムフェチと呼んでもいい。アニメと同じ感覚で1秒24コマのフィルムを弄ってたに違いない。こんな映画監督、世界中探したって他にいない。

映画のサントラ盤は公開の半年くらい前に販売された。当時、日本映画のサウンドトラック盤(LP)は、「砂の器」と「八甲田山」くらいしか店頭に置いてなく、そもそも作られていなかった。前年に大野雄二の「犬神家の一族」がヒットしたので、ようやく日本映画のサントラ盤も商売になると踏んでのリリースだったのだろう。
いまでも天気の良い日に散歩してると、ミッキー吉野の「HOUSEのテーマ」を口笛で吹きたくなる。と同時に、女の子たちが夏休みの思い出つくりに田舎に旅立つ場面を思い出してワクワクした気分になる。サウンドは(おれが作る音楽なみに)チープだが、名曲だ。

65

2020/08/31

クリード 炎の宿敵

クリード 炎の宿敵
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CREED II
2018年(日本公開:2019年01月)
スティーヴン・ケイプル・Jr マイケル・B・ジョーダン シルヴェスター・スタローン テッサ・トンプソン フィリシア・ラシャド ドルフ・ラングレン フロリアン・ムンテアヌ ウッド・ハリス ラッセル・ホーンズビー マイロ・ヴィンティミリア ブリジット・ニールセン 

「ロッキー4/炎の友情」でアポロ・グリードをリングで殺したイワン・ドラゴ。その息子がハングリーなボクサーに成長し、世界チャンピオンとなったアポロの息子に挑戦してくる。因果は廻る糸車。

「ロッキー・ザ・ファイナル」で落とし前をつけたかに見えた「ロッキー」シリーズ。そのスピンオフ「クリード チャンプを継ぐ男」がそこそこ良かったので、惰性で見たのだが、型どおりのストーリーになっているものの、これもそこそこ面白い。ロッキー(スタローン)は前作よりもさらに奥に引っ込み、完全に脇に回った。
「ロッキー4」のドルフ・ラングレンとブリジット・ニールセンの出演でポイントアップ! ラングレンは地味に渋いし、ブリジットのゲス女っぷりも面白い。「ロッキー・ザ・ファイナル」と同様、リアルタイムで「ロッキー」シリーズを見てきたファンには、二人の老けっぷりが何よりの見もの。

60

映画採点基準

80点 オールタイムベストテン候補
75点 年間ベストワン候補
70点 年間ベストテン候補
65点 上出来・個人的嗜好
60点 水準作
55点以下 このサイトでは扱いません

個人の備忘録としてのメモ&採点
オススメ度ではありません