レコード(CD)の値段
March 19, 2006
そこで、プロコフィエフなんですけど……
この2枚組CD、実に良く出来ています。
プロコフィエフ作品集:DGパノラマ・シリーズ
1. 交響曲第1番「古典交響曲」 Deutsche Grammophon (2枚組) |
プロコフィエフの代表作、交響曲2曲と協奏曲2曲と、最も人気が高いバレエ「ロメオとジュリエット」の組曲版に、「アレクサンドル・ネフスキー」から歌曲1曲とピアノ小品がおまけについて、収録時間150分、しかもお買い得感たっぷりの1500円!
初期制作コストがかからない再発コンピですが、先行して発売された輸入盤(まったく同じ内容)が2000円前後で売られていましたから、これは極めて破格な価格設定ですね。
演奏内容は、とてもいいです。シュロモ・ミンツのキビキビしたヴァイオリン、まだ若くて溌剌としていたころのアルゲリッチの鮮烈録音。これだけで1500円の価値があります。何でも手際よくこなしてしまうアバドも、苦手というかあまり興味のないマゼールも(これだけだとなんですが)悪くないです。更にロストロポーヴィッチの「ロメオとジュリエット」組曲まで付いているのですから、大満足。
リヒテルの短いピアノだけが古い録音ですけど、激辛アルゲリッチと交響曲の間に収まっていると、幕間の感じになって良いです。
これ、LP時代だったら4枚分の内容ですね。
グラモフォンの国内盤は2500円くらいしていたから、全部で1万円くらいになっていたでしょう。それが1500円。
70年代からレコードを買っていた人間には、ちょっと信じ難いというか……いい時代になりました。
俺が高校卒業して最初の勤め先(1979年)での月給が、残業手当込みで8万円くらいで、当時もレコードは1枚2200〜2500円。
もっと前の世代ですと……筒井康隆さんが、1958年1月にショパンを1900円で買ったと「腹立半分日記」にありました。筒井さんの当時の月給は7千円。LP1枚が、実に月収の3割以上もしている! LP3枚買ったら給料を全部使い果たしてしまう!
だから、俺よりも上の世代の方々のレコードの聴き方・選び方は半端じゃないっす。
そんな人たちが、現在音楽評論の重鎮となっているわけですから、個人の思い入れで名盤選定してしまうのも仕方ないことでして……(ここから先は、恨み節になるのでやめておきましょう)
このグラモフォン・パノラマ・シリーズ、有名な曲目と演奏を吟味して収録していて、かなりいいです。
年末に紹介したバーンスタインのベートーヴェン「第9番」&「ミサ・ソレムニス」と、同じくバーンスタイン指揮のマーラー「第1番」&「第5番」も素晴らしかった。
ベートーヴェン作品集(3):Panorama Series
1. 交響曲第9番 ニ短調 「合唱付」作品125
2. 荘厳ミサ曲(ミサ・ソレムニス)ニ長調 作品123
1979年(1)、1978年(2) ステレオ・ライヴ録音 |
グスタフ・マーラー作品集(1) DGパノラマ・シリーズ
交響曲第1番 ニ長調「巨人」 Deutsche Grammophon (2枚組) |
普通、この手の選集は単独再発では売れそうもないような音源を、底上げ水増し的に混ぜ込んでしまうのですが、パノラマ・シリーズにはそれがない。(グラモフォン音源だから、カラヤンやアバドが多いのは仕方ないところですが)名盤と定評のある演奏ばかりが、CDの容量いっぱいに詰め込んであり、どれを買っても、まあハズレ無しといった感じです。
いま巷でヒットしているコンピ盤と違って、全曲をキチンと収録しているのが嬉しいんですよ。
有名曲の有名なフレーズだけをぶつ切りして並べただけのものは論外として、「フェード・イン、フェード・アウトなしで1曲まるごと収録しています」といってるものも、第2楽章だけとか、半端なことを平気でやっている。モーツァルトの「交響曲第40番」第1楽章に続いて「第41番」第4楽章が演奏されたりする。これは、とても気色が悪い。
自分で好きな曲だけをチョイスして聴くのはいいんですが、他人にやられるとムカつく。
パノラマ・シリーズには、J.S.バッハ集とかモーツァルト集とか、他に良いものが沢山あるのですけど、既に所有しているCDとダブってしまうのが残念。
もし俺のスタートがここからだったら、これまで無駄な銭を使うことなかっただろうなと、悔しいことこの上なし。
デフレ万歳!