はじめてのジャズ PART II
July 24, 2003
最初に買ったJazzのレコードが、ソニー・ロリンズの『ウェイ・アウト・ウエスト』で、その音にぞっこん惚れ込んでのめり込んじまったって話は前に書いたけど、実は買ったときの年齢が、中学1年と2年の間の春休みだったってことも、かなりタイミングが良かったように思う。
なんてったって10代前半は、人生でいちばん感受性が豊かな季節だからね。
来るもの拒まず、なんでも素直に吸収しちゃう。
それに、誰が言い始めたのか知らんけど、「Jazzは大人が聴く音楽」というアホな偏見も持たずにすんだ。
とってもラッキーな出会いだったと思う。
この「Jazzは大人が聴く音楽」ってフレーズは、「万人が認めるJazzの名盤」ってフレーズと共に、Jazzの愉しみ方をねじ曲げている2大元凶じゃないのかな。
歌謡曲とか洋楽ポップとかのコマーシャルな音楽(売らんがために制作されるレコード=ほとんどジャンク)を聴いていた人が、ある日突如として「Jazzを聴きたい」と言い出しちゃうのって、なんでだろう?
歌謡曲とか洋楽ポップとかのコマーシャルな音楽を聴いていたときは、単に買って聴いて愉しんでいた人が、ことJazzになると「分かる」とか「分からない」とか、理解の有無を語り出すのは、なんでだろう?
そんな人に限って、ガイド書に「名盤」とか書かれているのを鵜呑みにして、一度も聴いたことのないミュージシャンのレコードを有り難そうに買い集めちゃうのって、なんでだろう?
きっとね、これ、たぶんね……年頃になったら恋人がいなきゃいけないんだって強迫観念みたいなもんに動かされて、好きでもない相手とデートしてるような……そんなもんじゃないのかな、と思う。
デートの相手は(万人に認められた)容姿端麗、学業優秀、前科無しだったら誰でもいい。
いい人いたら紹介してよ。
好きでも嫌いでもないけど、最初はそれでもいいかも。
付き合っていくうちに相手のことが、分かったり、分からなかったり。
少しデートを重ねてみて、好きになれなかったら別れちゃえばいいんだ。結局相手のことが分からなかったって理由をつけて。そんな感じ?
Jazzの名盤ガイドとか読んでると、なんだか有名大学出身者リストみたいなもん見ているような、そんな胸糞悪い気分になっちゃうんだなぁ……俺、高卒だから。
(一部プロフィールに大学中退ってあるのは、大学除籍の間違い。正確には授業料未納により除籍!)
ここに採り上げられているレコードは、Jazzの歴史に残る文化遺産、万人が認めている名盤ばかりです。これらの良さが分からない人は、まだまだ初心者です。本当にJazzが分かっているとは言えません……みたいな傲慢ささえも漂わせちゃってるよね。
恋に容姿や学歴は関係ないのッ!
結婚には、学歴とか収入とか関係する場合があるかも知れないけど。
好きでもないのに無理して聴かなくってもいいんじゃないの?
或る日突然、何かの拍子に耳にしたJazzに一目惚れして……それで恋におちる。
恋は盲目。好きになったらアバタもエクボ。
日がな一日、相手のことが気になって仕方がない。
学歴、職歴、家族構成、性格、癖、趣味、嗜好、過去、未来、相手のことだったら何でもいい。スミからスミまで知りたくなる。
で、夢中になっているうちにレコードが200枚に増えていた……そんな感じかなぁ。
200〜300枚くらいが一つの分岐点かな?
そこから先は、枚数を数えるの放棄して(見て見ないフリして)無限大に増えていくか、200〜300枚くらいの数を保持したまま内容を特化する(好きなレコードだけを厳選して傍に置いておく)ようになっちゃうと思う。
だから最初の1枚ってのは、初恋なんだよね。
人から紹介された好きでも嫌いでもない相手とデートしたからって、それを初恋とは呼ばないでしょ。
しかも最初の1枚は(なんてったって初恋なんだから)その後いろんな相手といろんな経験をしたあとでも、特別な存在として、いつまでも残っちゃうんだよな。
たぶん、一生残る。
俺の場合はロリンズの『ウェイ・アウト・ウエスト』だけど、これ、今でも愛聴盤なんだ。
もちろん中学のときに買ったLPは中古屋に売っ払っちゃって、その後も経済危機のたびに何度も売ったり買ったりを繰り返し、現在手許にあるのは最近買い替えたOJC盤のCDだけど。
ソニー・ロリンズ:ウェイ・アウト・ウエスト
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もう30年、聴き続けてることになるんだなぁ。