soe006 標準レンズ

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標準レンズ

May 6, 2003

小津安二郎の映画は、ほとんどの場面を50mmレンズで撮影しています。
50mmというのは焦点距離のことで、レンズの前の方やマウントに刻まれている数字です。この値が大きくなればなるほど写角は狭くなり、逆に小さくなると写角は拡がります。
レンズには、25mm-250mmとか刻まれているものもありますが、これがズームレンズ。
リングを回すとマウントのレンズが前後に動いて、ワンカットで写角を広くしたり狭くしたりできます。
このズームレンズとトラックバック(縦の移動撮影)を組み合わせたものが、『めまい』のズーム・カットですね。『ジョーズ』や『家族ゲーム』でも使われていました。三谷幸喜の『ラヂオの時間』でもこのカットがありましたが、単なるお遊びで、まったく意味のないものでした。

昔から映画をご覧になってきた方はご存知でしょうが、小津安二郎や木下恵介は新しい映画技術にとても敏感な監督でした。
小津監督は50mmレンズを使っている理由として、自分が実際に見ている遠近感(パーステクティブ)に一番近いから、と答えていたそうです。当時の日本映画では、この50mmを標準レンズとして使っていたものが大半でした。六畳間や四畳半をそれらしい広さに感じさせる撮影ができたからです。
対してハリウッド映画では40mmが標準レンズとして採用されていたそうです。アメリカの住居を最適な遠近感で見せるためには、40mmの広がりが適当とされていたのでしょう。
日米の住宅事情をこんなところにも見ることができるんですから、映画って面白いですね。

撮影現場に縁の無い脚本家でさえ、この程度の知識は持っています。
テレビ局勤務のぼんくらなディレクターさんは、
俺と互角に話しがしたいのなら、もっと勉強してくださいね

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