「バトル・ロワイアルII 鎮魂歌」
September 11, 2003
理不尽な殺人ゲームに駆りたてられる子供たちを描いた原作小説に、大東亜戦争中、少年時代を送った深作欣二の体制批判が込められた前作は傑作だった。
閉塞した社会で生きている現代の少年少女に、「走れ!」とメッセージを贈ったラストも爽やかだった。
今回の続編、脚本作りにどの程度深作欣二が関わっているのか不明だが……クソだ。
前作で生き残った藤原竜也は、テロリストのリーダーとなって、子供たちを理不尽な死に追いやったすべての大人たちに宣戦布告する。
政府はテロリスト壊滅のため、組織のアジトとなっている孤島に、中学生を新たな兵士として送り込む。ここまでは、いい。
問題はそのあとだ。
リーダーの藤原竜也は自ら動かず、毛布をかぶって苦悩した挙げ句、インターネットでアジ演説。自分の手を汚さず、孤島に引きこもって、全国の子供たちを煽っているんだよ。
それぢゃまるで前作で殺人ゲームを強要させた政府の態度と変わらんだろう! そんな奴等が許せなかったから、お前は宣戦布告したんだろうが!
今回の主役を務めるのは、前作で死んだキタノ先生の娘(前田愛)。彼女は父親が遺した一枚の絵に描かれていた娘が自分でなかったことの真相を知りたくて、戦いに参加した。
ところが、その肝心の娘(前作のもう1人の生き残り、前田亜季)が出演していないのだよ(ラストで少しだけ顔を見せる)。
この二人、決闘させなきゃ人物設定の意味ねえじゃんよ。
興行的にも子役姉妹の血みどろの対決、これ一番美味しい宣伝になるじゃんか。
『プライベート・ライアン』をパクった戦闘場面も、なんだかな?……かえって貧乏臭く見えたよ。