soe006 ジョン・ウェイン 「ドノバン珊瑚礁」

ジョン・ウェイン 「ドノバン珊瑚礁」

July 21, 2005

なるべくノスタルジー(懐古趣味)に陥らないよう心掛けているつもりですが、「古い=劣る」って固定観念をお持ちの方には、ダサイと思われているのでしょうね。
ほら、いらっしゃるじゃないですか、モノラル録音ってだけで音質が悪いと思いこんでいる人とか、モノクロってだけの理由で往年の名作映画を敬遠している人って。

以前は公開されたばかりの映画についても書いてましたが、褒めるにしろ貶すにしろ、あとで読み返すとたいへん気持ちが悪い。
結局、役者の演技の優劣はその演技を指示した監督(演出)にしか分からないし、監督(演出)の優劣はその作品の台本を書いた脚本家だけにしか分からない。作品全体の優劣はその作品の製作者にしか正当な評価はできない……部外者がワケ知り顔で何か書いても、それはただの憶測に過ぎないわけです。
まして貶すとなれば、傲慢さゆえの愚行であることを覚悟したうえで書かねばならないでしょう。

くだらない映画を観て、くだらないと書き、公表する行為の不毛。
それでも何か書かずにいられない、貶さずにはいられないのは、自己の優位性を誇張したい、顕示欲の即物的露出に他ならない。

「桃井かおりってエロキューション滅茶苦茶なのに、あれでよく役者やってるよな」……と書くことによって、書いた本人は、役者よりも偉くなったような気分に浸っているわけです。なんら根拠もないのに。

30年前の7月21日

TBSの月曜ロードショーで、
ジョン・ウェイン主演の『ドノバン珊瑚礁』を観てました。
太平洋戦争で船を日本軍に沈められ、そのまま南海の小島に居ついてしまったジャック・ウォーデンは、現地人女性と結婚、子供も3人いる。その小島に、アメリカに残してきた娘(エリザベス・アレン)が訪れると知らせが届く。酒場「ドノバン珊瑚礁」の経営者で戦友のジョン・ウェインは、現地で作った奥さんと子供たちのことを誤魔化すため、ウォーデンの身代わりを引き受ける。そこへ……
普段は隣の島に住んでいるが、毎年同じ日にやって来てウェインと喧嘩するのが習慣になっているリー・マービンが現れて……

『一日だけの淑女』(『ポケット一杯の幸福』)の状況設定を逆に捻って『静かなる男』風に味付けした、ジョン・フォード監督、晩年期(1963年)の人情喜劇。

全体的に脳天気というかノンビリ・ムードながら、観ている間は幸福な気分にひたれる映画です。こういう映画を生涯の1本とか言ってる人がいたら、お友だちになりたいですね。
しかし、現代のCG漫画映画ばかり観ている(見せられている?)人には、ソッポ向かれそうな映画ではあります。

最大の見せ場は、ウェインとマービンの殴り合い。
マービンはフォードの前作『リバティ・バランスを射った男』でも同様の荒くれ男を演じてました……どうでもいいことですが、『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』のマッド・タネンは、リー・マービン(リバティ・バランス)が元ネタ(モデル)ですね。

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