soe006 「テキサスの五人の仲間」

「テキサスの五人の仲間」

July 25, 2005

30年前の7月25日

テレビの洋画劇場で、『テキサスの五人の仲間』を観ていました。
KBC(九州朝日放送)では毎年夏休みになると、キー局NET(現在のテレビ朝日)が過去一年間にオンエアした「日曜洋画劇場」から評判の良かった10本を選び、「日曜洋画劇場ベストテン」と題して夕方に再放送していました。
『テキサスの五人の仲間』はそのときの第6位。

これはもう淀川長治の、(映画の前後に付ける)解説抜きには語れない映画です。
19世紀末のテキサス。とある酒場で、年に一度の賭博大会が開催される。参加メンバーは、チャールズ・ビックフォード、ケヴィン・マッカーシー、ジェーソン・ロバーズ、ジョン・クァルン、ロバート・ミルドンと、如何にも西部の賭博師ヅラした面々。そこに謹厳実直を絵に描いたような旅の親子連れ(ヘンリー・フォンダ、ジョアン・ウッドワードの夫婦に、息子のジェラルド・ミチェノート)がやって来る。
いまでは博打と無縁の生活をしているフォンダも、大勝負の噂を聞いては黙っていられない。奥さんや息子の声も上の空、ポーカー・ゲームに入れてもらい…… のめり込み……そして大負け。せっかく博打から足を洗い、コツコツと地道に貯金してきた全財産を巻き上げられてしまう。なんとか挽回しようと最後の賭けに出る焦燥のフォンダ。配られたカードを見て心臓麻痺(だったと記憶)で倒れてしまう。気丈な奥さんジョアン・ウッドワードは医者(バージェス・メレディス)を呼び、ゲームが流れてしまうと無一文になってしまうので、賭を続行できるよう銀行屋(ポール・フォード)に掛け合い、手札を担保に融資を願い出る。
監督のフィルダー・クックはテレビ出身で、リアリズム演出。賭博に人生を狂わせてしまうヘンリー・フォンダ、窮地に立たされ、それでもなんとか頑張って未来を変えようとするジョアン・ウッドワード、子役ジェラルド・ミチェノートの健気さが涙を誘う。

……といった内容が、映画が始まる前の解説。
善良でありながら博打の魔力に抵抗できず、ズルズルと泥沼に堕ちてゆく主人公と、その家族の愛情の行方……なんてことを例の淀川節で(眉毛ピクピクさせながら悲壮感たっぷりに)語られると、まるでエリア・カザンの社会派舞台劇か、チャップリン風の人情悲喜劇か、と思いこんでしまう。

これが……映画が終わった後の解説では180度趣(おもむき)を変え、屈託なくニコニコ笑いながら「面白かったですね〜、粋ですね〜」
観ていたほうは、映画に騙され、淀川解説に騙され、つまり二重のブラフ(ハッタリ)にまんまと引っかけられて、頭のなかは真っ白。
昔の漫画なら、台詞の吹き出しに「ぎゃふん」と書かれているところ。
原題は「Big Deal at Dodge City ダッジ・シティの大いなる決闘」。

このずっと後に、水曜ロードショーで水野晴郎が『スティング』の解説をやっていたが、最初っから「最後のドンデン返しをお楽しみに」とか口を滑らせ、こいつ外見も鈍くさいが中身も無粋な奴だな、と呆れましたね。

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