soe006 ぜんぜんオッケーっす!

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ぜんぜんオッケーっす!

September 29, 2003

「ぜんぜん」って副詞は、そのあとに打ち消しの言葉を続けて、
例えば……

「ぜんぜん知りませんでした」とか
「ぜんぜんイケてません」とか

そんな使い方をするのが当然のように思っていたのですが、
最近は、口頭語で肯定表現を強める場合、例えば……

「ぜんぜん大丈夫ですよ」
「ぜんぜん素敵ですね」とか

こんな使い方をする人が増えてきました。

どちらも、文法的に間違った使用ではないらしいので、
ぜんぜんオッケーっす!
ただ肯定表現の強調に用いるのに違和感を持っている人は、年齢に関係なく、多くいらっしゃるみたいですけど……

言葉は時代とともに変化するものだし、間違った用法でも日常的に大勢が使っちゃってれば、いずれそっちが正解になっちゃう、って事例には事欠かない世界なのであります。(参考:永井愛『ら抜きの殺意』)
そうした現実を受け入れることなく、いつの時代にも正しい日本語を守ろうとする方々もいらっしゃって、乱れた日本語を警告するような内容の本がけっこう売れているみたいですね。

ただ気になって仕様がないのは……
雑誌などのサントラ・レビュウや国内盤ライナーノートに頻繁に出てくる、「○○○を彷彿とさせる」ってフレーズなんですよ。

これ、ほとんどの場合、肯定的な文脈で用いられているんですね。
例えば……

「『タワーリング・インフェルノ』のスコアを彷彿とさせるのだ」とか
「ジェリー・ゴールドスミスを彷彿とさせる響きがある」とか

つまり過去の作品や他人の作品に似ているってことを言っているわけでしょう? それがなんで褒め言葉になっちゃうわけ?

「自己模倣」「再生産」「ネタ切れ」「マンネリ」「モノマネ」「パクリ」「ドロボウ」とかと同義語でしょう?

言葉の意味、分かって書いてないよね、この人。

あとね……
「このシーンでは、既成曲である「エニシング・ゴウズ」をウィリアムズがアレンジ、見事なミュージカル作品に仕上げたのである」って……
これじゃ、まるでウィリアムズさんが独自のアイデアでミュージカル・ナンバーに仕立てたみたいにとられるじゃないのさ。

あのなぁ、「エニシング・ゴーズ」はコール・ポーターが1934年のミュージカル「Anything Goes」の主題歌として作詞作曲したもので、初演の舞台と1936年の最初の映画化ではエセル・マーマンが、2度目の映画化(56年)ではミッチー・ゲイナーが唄って踊っていたの。
ちなみに、36年版は『海は桃色』、56年版は『夜は夜もすがら』って邦題がついて、日本でも公開されているんだぜ。

もともとミュージカルなんだよ。

こいつ、ぜんぜんオッケーじゃないっすよ。

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