soe006 新宿歌舞伎町ルネッサンス

この日記のようなものは、すべてフィクションです。
登場する人物、団体、裏の組織等はすべて架空のものです。ご了承ください。

新宿歌舞伎町ルネッサンス

February 3, 2005

歌舞伎町ルネッサンスの推進について(新宿区役所ホームページ)

新宿歌舞伎町……東京を離れて十余年、なにもかも懐かしい。

裏社会が「悪」であることは間違いないし、警察権力で浄化できるものなら(アンダーグラウンドでこっそり癒着ってのは無しで)そうしてもらいたいと思います。 その一方で、(歌舞伎町じゃないけど思い入れのある映画館なので例にあげますが)「新宿昭和館」のような味わいのある映画館が閉館し、ファミリー向けハリウッド映画ばかり上映する小綺麗なシネコンだけしか存続できないような、そんな表層的なクリーン化はご免被りたいですね。

18歳で上京してからの数年間、歌舞伎町という街は、学校では教えてくれなかった多様な社会を俺に学ばせてくれました。
行政の中心施設(新宿区役所)と向かい合わせに、トルコ風呂(あえて当時の呼称を使っています)やノーパン喫茶などセックスを売る商売が軒を並べているという異様な景観も、田舎育ちの俺にはカルチャー・ショックでした。
歩行中に声をかけられれば(見ず知らずの他人であっても)即座に挨拶を返すのが当たり前の土地に育った俺は、路上に点在するポン引きのオジサンたちへも(相手に失礼のないような言葉遣いで)律儀に挨拶し、彼らを(まるで透明人間に接するかのように)無視して足早に去ってゆく通行人を横目で見ては、「なんと人情の薄い人たちなのだろう」と嘆いておりました。
この街で知り合いになり、そのまま友人関係を続けているとこっちもヤバい状況に追い込まれちまうぞと危機感をいだき、一方的に音信不通としてしまったチンピラ思慮は浅いが熱き志の若者も何人かいます。(いまごろなにしてるんだろう? 東京湾とか富士の麓で白骨化してなければ良いのだけど)

かつて飲み屋でボッタくられた被害者の一人ではありますが、それも一つの人生経験、勉強になったという意味も含めて、個人的にこの街への思い入れはとても大きい。
文部省の教科書的人生ルートから逸脱してしまった人たちの、憩いの場所、生活の余地を残しておけるような、そんな懐の深い行政に期待したいと思います。

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