soe006 NHK-FM波削減問題

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NHK-FM波削減問題

June 2, 2006

映画音楽についての話題が続いていますが、
ここで臨時ニュースです。

衛星、ラジオで最大4波削減
NHK、放送設備分離も−総務相懇談会 (時事通信)

竹中平蔵総務相の「通信・放送の在り方に関する懇談会」(座長・松原聡東洋大教授)は1日、焦点のNHK改革で、現行の8チャンネルのうち、テレビは衛星 2波、ラジオは1、または2波の最大4波を2011年までに削減を求めることで一致した。不祥事が続発した娯楽、スポーツの制作部門の分離に加え、全国を網羅する放送設備の切り離しも検討、組織のスリム化を図る。次回6日の会合で最終調整し、報告書をまとめる。
松原座長は会見で、「衛星は難視聴対策に3波も必要ない」と言明。ラジオ3波も音楽番組が中心のFMは民間で補完できる上、「AM2波(総合と教育)も1波にまとめる選択肢もある」と指摘した。
また、国際放送は本体から切り離して子会社を設立し、民間の出資や番組提供も受け入れ、海外向け情報発信の強化に取り組むよう求めた。

ここで最も気がかりなのは、ラジオ3波も音楽番組が中心のFMは民間で補完できる上、「AM2波(総合と教育)も1波にまとめる選択肢もある」と指摘の部分。

私は子供のころ、FM放送で育てられたと言っても過言でないくらいに、このチャンネルから多くのものを吸収し、現在もまた大いに愉しませてもらっているのだけど。
そんな個人的な感傷(センチメンタリズム)は、どうでもよろしい。
アッタマにくるのは、音楽番組が中心のFMは民間で補完できるの部分。
こいつら絶対に、NHKのFM放送聴いてないだろ!

「通信・放送の在り方に関する懇談会」 構成員
久保利英明 (弁護士)
菅谷 実 (慶應義塾大学教授)
林 敏彦 (スタンフォード日本センター理事長)
古川 享 (元マイクロソフト会長)
松原 聡 (東洋大学教授)(座長)
宮崎 哲弥 (評論家)
村井 純 (慶應義塾大学教授)
村上 輝康 (野村総合研究所理事長)

民放ラジオ局は、(それが民放の役割ゆえに)商業として成立するものしか放送しません。
世の中には銭儲けを目的としない音楽だってあるし、目的は銭儲けであっても時流に乗ることができず結果的に陽の目を見ない音楽だってあります……民放はこれらの音楽を、まったく相手にしていません。と言うか、相手にしません、出来ません。
現在の音楽産業を支えている歌謡曲というのは、宣伝に1億投資して、1億1千万の売上を企むアド商品。ボイストレーニングもロクにやっていない少年少女の、稚拙極まりない歌でも、宣伝の力で利益を生み出すのが現代の音楽業界。
民放は、そのための看板を貸して賃貸料収入で運営されているのであります。より大勢のリスナーを確保し、スポンサーから銭をいただくために、糞さえ喰う覚悟でやっておるわけです。

そんな商業主義とは相容れない、現代音楽や邦楽、クラシック、ジャズなど、細々とやってる分野を補完しているのが、NHK-FMであります。
いわば、文化としての音楽を、水際でかろうじて支えてきたのがNHK-FMなわけで、このチャンネルがなくなったら、ニッポンの音楽文化はいっきに低俗化(ないしは消滅)することが懸念されます。

いっぽう、こんな考え方もあります。
クラシックやジャズ、特に邦楽なんて、聴いているのはごく一部の少数派。公共の電波を使用するのであれば、より多くの人々に有益なコンテンツを提供しなきゃいかんでしょう。マイナー・ジャンルがお好きな方は、CDなりネット配信なり他の媒体で、勝手に聴かれたらよろしい。

それも一理あります。

虚飾ではあっても、大勢がそれを文化として認知している事実があるのだし。
したがって、(繰り返しになりますが)上記懇談会の発言を納得のいくものに言い換えれば、FMで現在放送されている音楽番組は少数の聴取者を対象としているものが大半を占めているので、公共の電波を用いて放送する必要性は認められない、とするべきでしょう。

話は脱線しますが……戦争のない平和な世界を祈念して、さぁみんなで「イマジン」を唄いましょう! ってのも、ムチャクチャ抵抗がありますね。ジョン・レノンやオノ・ヨーコに恨みはないけど(興味もないけど)。
みんながみんな一つの曲を好きになるなんてこと有り得ないし、それに迎合しないと体制に反抗しているように捉えられる。
これ、曲をワーグナーに変えれば、ナチスがやってたことの裏返しみたいな気がするんですね。
たかが音楽で、なんでそういうことになっちゃうのよ?
私だって戦争のない平和な世界を望んでいるひとりですけど、みんなと声を合わせて「イマジン」を唄うなんて、とてもできない。
バカっぽくて嫌です。

文化というものの役割というか意義を考えたとき、多数が求めているもののみをメジャーとし、マイナーなものは一部の人間の嗜好と斬り捨ててしまうのは、本末転倒じゃないかしら?
文化というのは、本来人種や国籍、思想の壁を超えてあるものだし、そうした垣根の向こうにあるものを、文化を通して理解し、相互の交流を深め、あらたな価値を共有するためのもの。
ならばより幅広く、メジャーマイナー問わず多様な文化を積極的に紹介し、国民の教養を高め、相互理解の精神を養うことに尽力しなきゃならんのでは?

今回の騒動を簡単にまとめると……
1.受信料の未払い増加で、NHKは経営困難になり、政府に泣きついた。あわよくば銀行の損失補填のような処置をとってはもらえないかと。
2.景気低迷で税収が落ち込んでいる政府に、NHKの面倒をみる余裕はない。
3.そこで、肥大化したNHKをスリム化すれば、と政府は提案。
要は自分の面倒は自分でみろってこと。
4.で、NHKのリストラなんだけど、民間家電メーカーとの技術提携や高視聴率番組枠の保護など、金銭がからむ(斬り捨てると損をする)部門は手が付けられない。
5.シガラミの少ないFMなら(他のチャンネルに比べて)問題ない。
まずここを捨ててしまおう。

ま、そんなところでしょう。
制作費がほとんどかかっていないFMを捨てたからといって、NHKの経営がラクになるとは思えない。それどころか逆効果で、ますます受信料未払いが増えると思うけど。
ケツに火がついてアタマがパニクっちゃってるから、そんな単純なことも判断出来なくなっちゃってるんでしょう。

いまは景気回復が政府の最優先事項だし、懇談会の親玉は、民放経済ニュースのコメンテーターとして名を売った竹中平蔵だし。経済効果だけでしか世間を見てないから、文化の保護育成なんか、そんなもん知らんってことです。
懇談会のメンバーは、子供のころに「ウルトラQ」を見ていなかったんでしょうね。
カネ、カネ、カネってばかり言ってると、カネゴンになっちゃうよ。

政治によって文化が殺されるって凶事は、これまで何度も繰り返されてきたことだから、いまさら驚きはしませんが、悲しいことには違いないです。

追記
6月6日の「通信・放送の在り方に関する懇談会」最終報告によると、チャンネル削減内容にFM波は含まれておらず、撤回された模様。

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放送事業とNHK
放送と社会,ラジオ・テレビ報道の社会に与える影響
カネゴン

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