アート・ファーマーの代表作
超オススメ! アート・ファーマーを聴くなら、まずこの1枚から。

 |
Argo
Recorded at 21-23 Sep. 1960
1 So Beats My Heart for You
2 Goodbye, Old Girl
3 Who Cares?
4 Out of the Past
5 Younger Than Springtime
6 Best Thing for You
7 I'm a Fool to Want You
8 That Old Devil Called Love
アート・ファーマー(tp)、トミー・フラナガン(p)、トミー・ウィアリアムス(b)、アル・ヒース(ds)
|
アート・ファーマーはクリフォード・ブラウン直系の、メロディアスなアイディアで勝負する知性派トランペッター。
豊かで滋味のある音色とフレーズはクセがなく聴きやすいし、高度なテクニックを用いながらもエキセントリックになることなく、(それにこれが特筆すべき凄いことなのですが)誰と共演してもその雰囲気に自然に溶け込み、出しゃばり過ぎることがありません。自分にソロがまわってくると、ここぞとばかりにはしゃぎ廻るリー・モーガンとは対照的なトランペッターといえるでしょう。
そんな知的で控えめなファーマーのプレイを堪能するには、ワンホーン・アルバムが最適です。駄演・駄盤の少ないファーマーの全アルバムのなかで、最もファーマーらしい雰囲気を持ち、トータルな完成度を誇っているのがこのArgo盤。バラッド中心の選曲も良好で、ジャケットの肖像画も素晴らしい。最晩年のビリー・ホリデイによる朽ち果てた老木のような名唱で有名な、フランク・シナトラ作詞による漆黒バラッドの決定版「I'm a Fool to Want You」は決定的名演です。
脇に徹してゴリ押しのないトミー・フラナガンのピアノも、僅かに与えられたソロ・パートにいぶし銀の輝きを放ち、しみじみと味わい深いアルバムです。
アート・ファーマーのベストセラー・ディスク
アート・ファーマー プロフィール
1928年8月21日アイオワ州カウンシルブラフ生まれ。
1945年に双子の兄弟のアディソンとロサンゼルスに出てホレス・ヘンダーソン楽団で働いたあと、1947〜48年はニューヨークでフリーとして活動。 1952年秋、ライオネル・ハンプトン楽団のヨーロッパ・ツアーに参加。その後、ホレス・シルバー、ジェリー・マリガンらと共演。1959年にベニー・ゴルソン(ts)、カーティス・フラー(tb)とともに3管フロントのジャズテットを結成。3年後に解散。
以後はジム・ホールのピアノレス・カルテットや自己のカルテットを率いて活動していたが、1965年にウィーンに移住。フィル・ウッズなど在欧のミュージシャンと共演したのち、70年代にニューヨークに戻った。
1981年、オーレックス・ジャズ・フェスティバルで来日。日本武道館のコンサートはライオネル・ハンプトン楽団との豪華二本立て。アート・ファーマーのステージは、ハンク・ジョーンズ(p)、バディ・ウィリアムス(ds)、エディ・ゴメス(b)のグレート・ジャズ・トリオとの共演で、フロントにはジャズテットの相棒ベニー・ゴルソンも並び、ナンシー・ウィルソンが華を添えていた。
晩年は記憶障害を起こし療養していたが、1999年10月4日、ニューヨークにて死去。公表された死因は心臓麻痺。享年71歳。