ケニー・ドーハム プロフィール
1924年8月30日テキサス州フェアフィールド生まれ。
7歳からピアノを習っていたが、高校時代にトランペットに転向。1942-45年兵役を務めたのちプロとして活動を始める。
ディジー・ガレスピー、ビリー・エクスタイン、ライオネル・ハンプトンなどのビッグバンドに在籍した後、1948年にマイルス・デイビスの代役として、チャーリー・パーカーのコンボに参加。当時の演奏は「ロイヤル・ルースト」の実況録音盤で聴ける。ガレスピーやマイルスに負けじとバリバリに吹きまくり若者らしい覇気は感じられるが、まだドーハムらしい個性は見られない。
1955年に創立されたジャズ・メッセンジャーズの初代トランペッターとなり、実況盤『カフェ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズ』を録音。一気に名声を広めた。
1956年には、白人サックス奏者 J.R.モンテローズをメンバーに加えたグループ「ジャズ・プロフェッツ」を結成したが、クリフォード・ブラウン亡き後のマックス・ローチ・クインテットに呼ばれ短期間で終了。
ジャズ・プロフェッツのディスクは、スタジオ録音の『ケニー・ドーハム&ジャズ・プロフェッツ Vol.1』(ABCパラマウント)よりも、ギターのケニー・バレルがゲストとして加わったライヴ・セッション『カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム』(ブルーノート)のほうが活気に満ちてオススメ。ファンキーなリズムに乗ったメロディアスなアドリブがかっこいい。
多くのファンが代表作として推す1959年11月録音の『クワイエット・ケニー』(ニュージャズ)は叙情的なバラード集。
ワンホーン・カルテット編成の演奏なので、ファッツ・ナヴァロ、クリフォード・ブラウンの流れを継承したブルージーで柔らかな中音域、愁いをおびたドーハムの美しい音色がたっぷり楽しめる。選曲もいいし、共演のトミー・フラナガン(ピアノ)も素晴らしい。
その後、ジャッキー・マクリーンとの双頭コンボを結成するなど、50年代から60年代にかけてのハード・バップ黄金時代に大活躍。
モダンジャズの人気に翳りが出てきた60年代以降も、フランスに渡って映画音楽を録音したり、音楽雑誌に寄稿したり、貧民救済運動に参加するなど、幅広く活動していたが、1972年12月5日、腎不全によりニューヨークにて死去。