バーンスタインのマーラー交響曲
December 29, 2005
前回紹介したベートーヴェンの「第9」を、リンク先のアマゾンでお買い求めくださった方がいらっしゃいました。
ありがとうございました。
如何でしたでしょうか? お気に召していただけたでしょうか?
もし宜しければ、このようなCDも出ています。
グスタフ・マーラー作品集(1) DGパノラマ・シリーズ
交響曲第1番 ニ長調「巨人」 Deutsche Grammophon (2枚組) |
マーラーの代表的な交響曲が2つ、それに「第1番」と同時期に作曲され相互に関連性のある歌曲集が、2枚のCDに収録されて、これで1500円ぽっきりのお買い得盤です。
実は、マーラーはあまり好きな作曲家ではないんです。
身も心もとろけてしまいそうな美旋律もあるにはありますけど、他にもいろんなのがいっぱい詰まっていて、それらが無造作にゴチャゴチャ並べれられている、猥雑な印象があるんですね。
あと、音楽を好きになった子供の頃にまだマーラー・ブームは興っておらず、レコード屋にもあまり置いてなかったし。聴く機会もほとんどありませんでした。
俺には馴染みの薄い作曲家であります。
唯一の愛聴盤は、ワルター指揮コロムビア交響楽団の「第1番」(CBS)で、これは若者が世界に旅立って苦しいこと悲しいとこ辛いこと愉しいこと、様々な体験をしたあげくに挫折。しかし最後は再び立ち上がって歩み始める、といったストーリー性が身近に感じられて大好きなのです。ワルター以外の演奏も幾つか聴きましたが、やっぱりCBS盤が一番しっくりくる。1961年の古い録音ですが、これ以外に手元に残しておきたい「第1番」のディスクはありません。
また、第4楽章「アダージェット」がポピュラー人気な「第5番」は、インバル指揮フランクフルト放送交響楽団のDENON盤が音質優秀で、それとカラヤン指揮ベルリン・フィルの1973年録音盤の「アダージェット」が静謐で美しいので、この2枚を聴いていました。はっきり言って、好きでも嫌いでもない。どうでもいいような曲。マーラーがブームになったとき、へぇそんなにいいのかいな、とついでに買ったレコードです。
そんなわけで、上記バーンスタインのマーラー再録音が次々リリースされ評判になっていたときも、マーラーかあ、俺とは関係ない世界だなあ、とか思っていたのです。
2枚組1500円は安いし、ベートーヴェン「第9」を聴いているうちに晩年のバーンスタインに興味が出てきたので、ごく最近買いました。1500円で2枚組ってところが気に入りました。2000円だったら買っていなかったと思います。2000円あったら、デッカのストコフスキー国内盤が2枚買えるじゃありませんか。1500円だから買ったのです。
聴いて吃驚!
これがもう頭までどっぷり音楽に浸り、重石を載せて発酵させたような、感情移入たっぷりの濃厚演奏で、満腹度120パーセント超の大熱演。
長年愛聴してきたワルターの「第1番」は置いとくけど、インバルとカラヤンはこれにてお払い箱決定。マーラーの交響曲なんてそうしょっちゅう聴きたいとは思わないし、聴きたくなったら、今後はこのバーンスタイン盤しか聴かないでしょう。肌にしっくり馴染む、と言ったらよいのでしょうか、ようやく好みのマーラーに巡り会えたような気がします。