伊坂幸太郎 「陽気なギャングが地球を回す」

陽気なギャングが地球を回す 伊坂幸太郎

祥伝社 NON NOVEL (2003)

陽気なギャングが地球を回す 伊坂幸太郎
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陽気なギャングが地球を回す 伊坂幸太郎

成瀬(リーダー)は嘘を見抜く名人、さらに天才スリ&演説の達人。紅一点は精確な体内時計の持ち主――彼らは百発百中の銀行強盗(ギャング)だった……はずが、その日の仕事(ヤマ)に思わぬ誤算が。逃走中に、同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯と遭遇。「売上」ごと車を横取りされたのだ。奪還に動くや、仲間の息子は虐め事件に巻き込まれ、死体は出現、札付きのワルまで登場して、トラブルが連鎖した! 最後に笑うのはどっちだ!? ハイテンポな知恵比べが不況気分を吹っ飛ばす、都会派ギャング・サスペンス!

タイトルと表紙デザインからも察せられるとおりの、
ライトなクライム喜劇。
作者あとがきには、「90分くらいの映画が好きです〜(略)〜あまり頭を使わないで済む内容であれば、そちらのほうが好ましいです〜(略)〜現実味や、社会性というものはあってもいいですが、なかったからと言ってあまり気になりません」と書かれていますが、まったくその言葉どおりに、「ドートマンダー」シリーズ(ドナルド・E・ウェストレイク)を現代のニッポンに移植したような内容になっています。
(つまり、作者の制作意図は達せられたわけですね)
但し、盗みのテクニックに、ドートマンダーもののような奇抜な趣向はありません。

泥棒たちのオフビートなお喋り(どーでもいいような蘊蓄披露)や、マンションの一室で死体を発見した際のクール&ドライな反応には、エルモア・レナードやタランティーノ映画に似たユーモアの感触もあります。
善人だけど悪党、悪党だけど善人の人物造形も素直に表現され、この小説には犯罪ものにありがちな陰の部分が希薄です。幾らだって残酷に描けるはずの、身体障害者をイジメる少年たちのエピソードも、あっけないくらいにアッサリ風味です。
警官マニア、携帯電話型盗聴器、監禁自動車など、クライマックスに向けての伏線も、セオリーどおりに(工夫もなく)用意されており、胃もたれせずにイッキ読みできる軽快さが、最大のポイントでしょう。
死体が転がるマンションで、部屋の電話機に残っていたリダイアル番号をプッシュしたら、ある人物の声が聞こえてくる中盤の転換点に、思わず、巧いな〜と呟いてしまいました。
但し、悪役に横領された4千万を取り戻すという本筋は、ストーリーからどんどん外れてしまい、最後はどうでもいいことになってしまったのには、興を削がれました。
泥棒4人組は爽やか設定(粘着性皆無)になっているので、それでも物語は成立するのですが……このあたりが、真保裕一の傑作クライム小説『奪取』(講談社)との相違ですね。
もっともそのような感想は読者の嗜好によるものなので、気楽に娯楽小説を愉しみたいという方には歓迎されると思います。

登場人物は(いささかマンガチックだけど)個性的に描き分けられ、脇のキャラクターもそれなりに魅力的。(小道具扱いのチンケな男が一人、死体で発見されるけど)他は誰一人として舞台から退場していないので、この4人組+脇役たちのストーリーは、いずれシリーズ化されそうな気がします。
続編は、悪役にいささか凄みが足りなかったので、こいつをパワーアップさせて、4人組に復讐するって話にしても面白いかも。

徹夜本コーナー
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伊坂幸太郎 「陽気なギャングが地球を回す」(2004年04月13日)
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