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六枚のとんかつ

January 20, 2007

いま『六枚のとんかつ』(講談社NOVELS)という、第3回メフィスト賞受賞の短編集を読んでいるんだけど、まったく面白くない。
驚天動地のアホ・バカ・トリック、ユーモア・ミステリの最終兵器!……とカバーに惹句があるのですが、あまりにも稚拙で、いささかうんざり。

バカ・ミステリー(蔑称ニ非ズ)は大好物で、東野圭吾の『名探偵の掟』や山口雅也の『日本殺人事件』には大いに笑わせてもらったし、霞流一の動物ものは新作が待ち遠しくてたまらないくらいなんですが、これはイケマセン。

文章は三流週刊誌の記事並に下手だし、トリックのネタはTVのバラエティ番組からの思いつきばかり。例えば……(ネタバレになりますけど)第一話の「音の気がかり」のネタモトは「タモリ倶楽部」の「空耳アワー」。誘拐事件が発生。犯人から掛かってきた電話の声の向こう側で、「ガッツ石松、ガッツ石松、ガッツ石松」を連呼する子供の声が聞こえる。これ実は「バックします、バックします、バックします」のトラック音声だった……
こんなのばっかり。

バカ・ミスだからって、何でも許されるわけじゃないっす。
ちゃんとミステリーになってなきゃダメっす。
地口、駄洒落、寒いギャグ(それも小学生でも馬鹿にしそうなくらい低レベルの)で推理を拒否してるのは、ミステリ・ファンに喧嘩を売っているつもりなんでしょうか?

いや作者は、そこまで根性の座った書き方はしてませんけど。

怒りを覚えつつ読んでいたので、お腹が減ってきました。
たまには、とんかつも食べたいものです。

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