ゲイリー・クーパー主演、セシル・B・デミル監督の西部劇大作。
1865年、南北戦争終結。平和が戻ったのは良いが、倉庫には新型ライフルがわんさか残っている。がめつい武器商人たちは、毛皮商のラティマ(チャールズ・ビックフォード)を仲介して、これを白人に友好的なインディアンに売り渡す計画を練る。そんなときリンカーン大統領が暗殺され政局は混乱。この機に乗じてラティマは好戦的なシャイアン族にライフルを横流しする。カスター将軍(ジャン・ミルジャン)から密命を受けたワイルド・ビル・ヒコック(ゲイリー・クーパー)は、シャイアンの酋長(アンソニー・クイン)の動向を探りにいくが、先に囚われていたツンデレ恋人のカラミティ・ジェーン(ジーン・アーサー)とともに拘束され、火炙りの危機。ヒコックの命を救うため、ジェーンは軍の輸送ルートを酋長に喋ってしまう。二人は開放されたが、輸送隊は待ち伏せしていたシャイアン族に襲撃される。誰がチクったんだと、疑惑の眼差しに晒されるヒコックとジェーン。武器横流しにラティマが関わっていることを知ったヒコックは、ラティマの悪事に加担していた軍服三人組を射殺し、お尋ね者になってしまう。ヒコック逮捕を命じられるのは、新婚ほやほやの旧友バファロー・ビル(ジェームズ・エリソン)。妊娠している新妻(ヘレン・バージェス)を残して、ヒコックを追う。
実在の西部劇ヒーローが主人公ではあるが、ストーリーはほとんど映画の創作。日本でたとえれば「忠臣蔵」とか「新選組」のようなものだろう。
酒場でカード遊びしていたヒコックが、背中から撃たれて死亡するのは史実。
巨匠デミル監督らしい娯楽大作で、公開当時大ヒットしたらしい。いま観てもストーリー運びはテンポ良く、戦闘場面も迫力があって退屈しない。ヒコックとジェーンの恋愛模様も適度なユーモアがあって、バファロー・ビル夫妻との対称関係も(定石どおりではあるが)良好。
ジェーンがキスするたびに顔を拭っていたヒコックが、凶弾に倒れたラストのキスでは顔を拭かない。この場面に(うまい脚本だなあと)感心した。
なにより、ゲイリー・クーパーが格好いい。
歴代ハリウッド俳優のなかで、最高の二枚目スターはゲイリー・クーパーだ(2位はケーリー・グラントかな?)。
「スター・ウォーズ」風のタイトルは、横断鉄道建設を描いた「大平原」(1939年)が元祖だと思い込んでいたが、こちら(1936年製作)が先だった。
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